東京国際映画祭、開幕!
イ・ジュンイク監督と一緒に登場したイ・ジュンギは、相変わらずきれいで、カム・ウソンもドキッとしたという唇の美しさは格別です。
ご挨拶の後の質問の時、映画祭ですから、司会の質問を通訳の方が英語に訳すのですが、その間合いが気になるらしく、きっかけにとまどっていた様子。英訳している間、ずうっとそちらを見て頷き、いよいよ自分が答える時に「Yes」と言って会場は大受けでした。
その後は「八月的故事」のプレス上映を見る為に再び六本木へ向かいます。
会場へ入ると私の名前を呼ぶ声が。久々にお会いする水田菜穂さんが、立ち上がって手を振ってくれていました。
最近は字幕のお仕事が忙しく、ブログを拝見していてもハードな日々のようなのでメールするのも控えていたのですが、会えてうれしかったですね。
東京フィルメックスの事務局の方も見えていて、ご挨拶すると『あちこちで色々な方と会うので休みって気がしないですね。』と笑っていらっしゃいました。
確かに、映画祭では色々な人に会えて、それも楽しみのひとつです。
初日に見た2本は、どちらもとても面白かったですよ。
「I'll Call You 」は、香港で見ていたのですが、日本語字幕が付くと完璧に内容が把握できます。
しかも、水田菜穂さんの字幕ですから、面白さが違います。
字幕は、翻訳の力だけではなく、その国の歴史や文化、生活習慣など全てにわたっての知識が大きく左右します。
さらに、その国の映画に精通しているからこそできる台詞の“ニュアンス”。制限のある中で、できるだけその俳優の持ち味を生かした台詞にする工夫が、作品に影響してきますので、中国映画の水野衛子さん、韓国映画の根本理恵さん、そして香港映画の水田菜穂さんの字幕は面白いのです。
特に「I'll Call You 」は、劉徳華(アンディ・ラウ)プロデュース作品で、ご本人もサポート出演していますから、これは水田さんが最適。
この中で不思議な日本の演歌(歌唱:坂井洋一)が流れ、エンディングにも使われているのですが、このいきさつを、実は昨日聞きました。内容については今もろもろ確認中で、できたら「Weekly Asia Box」で紹介したいと思っています。
もう一本の香港映画「八月的故事」は、麥婉欣(ヤンヤン・マク)監督が「胡蝶」に続いて田原(ティェン・ユアン)を主役にした青春映画です。
17才の八月に経験した淡い恋の思い出を描いたもので、ときめきと切なさが痛いほど伝わってくる、とてもいい映画でした。
好きな映画というのは、冒頭のシーンから掴まれることが多いのですが、まさにこの作品がそう。主人公がラジオから流れる王菲(フェイ・ウォン)の歌を歌いながらアイロンをかけています。この間にフレームの中で彼女と相手役の青年の気持ちが視線で語られ、曲は完奏してしまうという長回し。素晴らしいですよ。
青年役の藤岡竜雄は端正な顔立ちの日本人。アジア各地で俳優やモデルをしているということで、この作品では英文字幕にもかかわっているそうです。
色々な才能がボーダレスで活躍していて、アジア映画はますます楽しみですね。
マスコミ向けにはコンペ作品だけ事前試写があって、そこで見た中国映画「考試」は素晴らしかったです。
中国の自然とそこに息づくドラマ、新しい才能はすごいですね。
僻地の教師と子供の話ですが、自然体…というか、演じている人たちが本物なのです。実話をその人たちが演じているので、ドキュメンタリーでもなく、新しい表現方法ですね。
こういう中国映画らしい感動作を見ると、ほんとうに心がふわ〜っと広がる感じがします。
主演の先生が、なんとなく水野衛子さんみたいな雰囲気でしたが、字幕はその水野さんでした。(笑)
ご都合がつく方には、ぜひお薦めです。
※ブレス上映
今年は、一般上映にプレス席が設けられず、マスコミだけのプレス上映というのが別枠で組まれています。
取材と重なってやむを得ず席を空けてしまい、一般の皆様が不快に思う…ということをなくすには良いシステムだと思います。
私は、例年皆さんと同じようにチケットぴあに並んだりインターネット予約をしたりしてチケットを購入していますが、取材スケジュールにより、このプレス上映も利用しています。(Eguchi)
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コメント
Eguchiさん、初めてコメント書かせていただきます。国際映画祭もとうとう開幕して、いつも観に行きたいと思っているのですが、残念なことに未だ、開催中には、観にいけたことがないのです。今回、ご紹介いただいた映画3本も、とても興味をそそられる映画ですね。きっと、本格上映もあると信じていますが、3本の中で、最もEguchiさんの印象に残っている作品は、どれでしょうか?きっと、どの作品も味わいや見所、ストーリー、ジャンルが違うのだと思いますが、よろしければ、ご意見聞かせてください。宜しくお願いします。 by sam
投稿: sam | 2006/10/24 02:07