2008・冬、台北映画レポート1
まずは、西門町の絶色影城で「渺渺」。
これは王家衛の映画会社制作で、プロデューサーが關錦鵬。6月の台北電影節で。程孝澤監督、主演の柯佳_、張榕容、范植偉が登壇して少しだけ映像を見た作品です。
日本から帰ってきた転校生の渺渺が、探していたケーキ屋がCDショップに変わっていて、そこの無口な店長に恋をします。仲良くなったクラスメイトの小[王愛]との友情+αがいかにも關錦鵬という、可愛らしい青春映画。
主演の柯佳[女燕]と張榕容のみずみずしい演技が印象的。張榕容は、「貧窮貴公子 山田太郎ものがたり」で四子を演じた少女。「一年之初」「Candy Rain:花吃了那女孩」にも出ていて、女優として着実に成長、「渺渺」で金馬奨の主演女優賞にノミネートされました。
そこに関わってくるお久しぶりの范植偉は、親友だったミュージシャンの死を引きずっているという役で、このキーになる主題歌「Get Together」は、これまたお久しぶり、という感じの張智霖(チョン・チーラム)が歌っています。
続いて台湾映画の「停車」。今年の金馬影展のオープニング作品にもなりましたが、今回見た中でダントツのおもしろさでした。
主人公の張震が、気持ちのすれ違いで危機を迎えている妻、桂綸[金美]との関係を修復しようと、ケーキを買って家へ帰る途中、二重駐車で車を出せなくなってしまいます。邪魔になっている車の持ち主を捜しているうちに、様々なトラブルにあうという巻き込まれ映画。
偶然と必然のバランスがとても良い脚本で、きっちりとした構成の中、思わず声を出して笑ってしまうところもかなりありました。
片方の手が不自由な理髪店の店主高捷(ガオ・ジェ)、オーダーされたシャツを自分のサイズで仕上げてしまう洋服店の杜[シ文]澤(チャップマン・トー)、悪徳女衒の戴立忍(ダイ・リーレン)など、ひとクセもふたクセもある登場人物が織りなす人間模様が見事です。
これはCM界出身の鐘孟宏監督の映画デビュー作で、カンヌ映画祭「ある視点」部門に参加しました。
びっくりしたのは、映画が終わると、いきなり監督とプロデューサーが入ってきて、これからQ&Aを行うと言うのです。劇場には三分の一くらいしか客がいませんでしたが、活発な質疑応答が展開され、目ウロコものでした。しかし、何を言っているのか解らないくやしさ…。
おそらくここだけではないであろう、このような観客との直接のふれ合い、制作側の熱意とそれにこれまた熱く反応する若い観客たち。台湾映画の元気の素をこの目で見て、うれしく、そしてうらやましいショックを受けました。
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