第四十八屆金馬獎レポート〜プレスルーム編
今年の会場はあまり大きくなく、プレスルームとして使用した場所も一階から三階に設置されました。一階には受賞者が来て撮影やインタビューをするスペースと、カメラマンのひな壇があるので、メディアの席は限られてしまいます。台湾の大手メディアは事務局によってすでに場所が確保されているので、その他&海外メディアは必死で席取りをするのが慣例です。なんとか、最後列の端を確保したものの、受賞者が来る度に行き来するには通路が狭く人も多いので、とても不便。
しかし、どんな環境でもそこで良い仕事をするのが使命、頑張ります。
最初の助演男優賞を注目の的である「賽德克、巴萊(セデックバレ)」の徐詣帆(Bokeh Kosang)が獲得したので、授賞式会場は大いに盛り上がっていましたが、プレスルームでも歓声が沸いていました。やはり、この国産映画ブームで、台湾メディアの高揚ぶりも当然の事ですね。彼は新人賞にもノミネートされていましたが、これまで演技経験がないにも関わらず、台北電影節で受賞した柯宇綸(クー・ユールン)や大御所王羽(ジミー・ウォン)を押しのけての助演男優賞受賞、さぞ嬉しかったでしょう。
助演女優賞は、ノミネート者の中で一番年上の唐群(タン・ジュン)。惠英紅(クララ・ワイ)、蔣雯麗(ジャン・ウェンリー)、劉嘉玲(カリーナ・ラウ)という名女優たちの戦い、どんな展開だったのか気になるところです。唐群(タン・ジュン)はもともと音楽界の人で、最初に台湾に来たのは合唱コンクールだったとか。今回は女優になって初めての受賞だそうです。「金馬奨は今年で48回目だけど、私の年はもっと上。たぶんこれが私にとって最後の受賞でしょう。」そして、台湾の鄧勇星(タン・ユンシン)監督との仕事はとても楽しかったと語っていました。
そして新人賞、林慶台(リン・チンタイ)ら「賽德克、巴萊(セデックバレ)」の3人を相手に、「那些年,我們一起追的女孩(あの頃、君を追いかけた)」の柯震東(クー・チェンドン)が勝利を収めました。
大健闘ですね。
プレスルームでは、タキシードをたくし上げ、勝利の祈りをこめた赤いパンツを披露するひと幕もあり、その喜びが一様でなかったことは明らかです。そして相手役の陳妍希(ミシェル・チェン)に、心からの感謝を述べ、カメラマンたちからのどんなポーズの要求にもしっかり応えていました。
主演女優賞の発表の時、授賞式のステージではプレゼンターが劉徳華(アンディ・ラウ)。受賞者の名前を見て司会の曾志偉(エリック・ツァン)に発表をゆだねたアンディ、「桃姐」で共演の“ママ”葉德嫻(デニー・イップ)に跪いてトロフィーを渡しました。
この葉德嫻(デニー・イップ)がプレスルームで取材を受けている時に次の主演男優賞の発表となったため、葉德嫻(デニー・イップ)はモニターの前で食い入るように発表を見ていました。果たして劉徳華(アンディ・ラウ)が受賞すると大喜び。カメラマン達は葉德嫻(デニー・イップ)を取り巻いてシャッターの嵐が始まったのでした。
金馬奨では二度目の主演男優賞を獲得した劉徳華(アンディ・ラウ)、プレスルームににこやかに登場、芸能界の母と慕う、葉徳嫻(デニー・イップ)と共に受賞は、格別の喜びでしょう。主演男優&女優賞のふたりはツーショットが恒例となっていますが、この日のツーショットはほほをピッタリつけての特別バージョン。「キスして」の要求に、アンディはデニーママのほほに何度もキス。
対象作品となった「桃姐」は、許鞍華(アン・ホイ)も監督賞を受賞しましたが、実はこの作品まだどこでも一般公開されていません。9月のベネチア国際映画祭での上映、10月の東京国際映画祭ではクローズドのマーケットスクリーニングのみ、11月は台湾金馬影展で一回だけの上映。地元香港では来年3月に公開されるということです。
そして、いよいよラストの作品賞、「賽德克、巴萊(セデックバレ)」と発表された時、プレスルームは大歓声が上がりました。実は、監督賞の発表の時、私の周りの記者達から魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)コールが起こっていたのです。これが残念な結果だったので、この作品賞の時の喜びようは大変なものでした。
プロデューサーの黄志明(ジミー・ホアン)、メイン投資者である中影のCEO郭台強(グォ・タイチャン)らと共にトロフィーを持ってプレスルームに来た魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)監督、本当に嬉しそうでした。膨大な制作費をかけただけに、まだまだこれから“回収”という大きな課題が残っていますが、「海角七号」に続いて台湾映画史上に新たな1ページを書き加えたことは大きな功績です。
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