アジアンパラダイス

プレミアの前にマスコミ向けのフォトコールと囲みがあり、この時にはプロデューサーの李志薔（リー・ジーチェン）も参加しました。
何度もお仕事をさせてもらっている溫昇豪（ウェン・シェンハオ）は、囲みの時にすぐ私のマイクを持ってくれ、有り難い限りです。
キャスト全員が脚本を読んで感動したので、この映画に参加できたことをうれしく思う、と異口同音。
溫昇豪（ウェン・シェンハオ）は「みんな見るときはティッシュを持って来ないとダメだよ。」と笑いながら言っていました。

この後、メディアもプレミア会場へ誘導されたのですが、私はチケットを買っているので、一旦外へ出て一般客として正面入り口へ向かいました。すると、入場の列だけではなく、やけにすごい人だかりでカメラのフラッシュがバシバシ炊かれています。列に並びながら入り口を見て見ると、なんと、キャスト4人が左右に分かれて観客を迎えているのです！
しかも、モギリをやっている！
そりゃあ、大騒ぎでのはず。係員が「俳優がチケット切るので、あらかじめ折り目を付けて、少し切り口を作っておいて下さい！」と連呼。早速指示通りにして、絶対に溫昇豪（ウェン・シェンハオ）にモギッてもらわないと…と、男優二人がいる左側へ進みました。順番からすると莊凱勛（キャッシュ・チュアン）の手が空いて、受け取ってくれようとしたのですが、心の中で“ごめんなさい”とあやまりつつ、シェンハオの前に。
「あれ？何で？」とちょっとビックリされ、「ちゃんと自分でチケット買ったから」と言うと「ありがとう」と半券を切って渡してくれました。

この映画は、台湾の中部雲林を舞台に家族と夫婦の愛を描いた作品で、監督の蔡銀娟（ツァイ・インジュアン）は、脚本家、プロデューサー、絵本作家としても活躍する多才な女性です。

台北で暮らす鳥類研究家の溫昇豪（ウェン・シェンハオ）は、渡り鳥の観察員。妻の白歆惠（ビアンカ・バイ）も美術関係の仕事に従事し仲の良いカップルでしたが、不妊に悩んでいました。
一方雲林の実家で母親と暮らす弟の莊凱勛（キャッシュ・チュアン）は、様々な事情で恋人と別れ、母親が手配した斡旋業者の紹介でベトナムから海倫清桃（ハイルン・チンタオ）を妻に迎えることになります。定職がなく日雇い仕事と肝臓疾患で通院する日々…兄とは180度違う人生で、なかば捨て鉢になっていました。小さい時は仲の良い兄弟で、よく一緒に野球をやっていた二人なのに、話すことすらしなくなって長い年月が経っていました…。

社会が抱える問題、それが個個の生活に及ぼす影響…それは小さな家族にも様々な波紋を起こします。そんな中、時に自分を見失ってしまうこともあるものの、夫婦愛や家族愛に向き合い、互いを理解し、忘れていたものを見つけることで再び前を向いて歩むことができる…。美しい台湾の湿地に毎年訪れる渡り鳥が、“何か”を運んでくる。

上映が終わると、感動で大きな拍手がわき上がりました。
Ｑ＆Ａでも活発な質疑応答が展開され、溫昇豪（ウェン・シェンハオ）へのラブコールも止みませんでした。

そして会場の外でポスターサイン会が行われたので、この日もダッシュで列に並びました。監督の後ろで見守る李志薔（リー・ジーチェン）プロデューサーにご挨拶し、監督に「とても感動しました。素晴らしい映画をありがとうございました。」と伝えました。
笑顔で迎えてくれた溫昇豪（ウェン・シェンハオ）には「良い映画ですね。あなたの演技は素晴らしかったです。」と言うと、日本語の「ありがとうございます」の後、「中国語が進歩したね。ちゃんと聞き取れるよ」と言ってもらい、とってもうれしかったです。

よく練られた脚本と美しい映像、そしてキャストたちの素晴らしい演技で、感動のヒューマンドラマとなっている「候鳥來的季節」は、9月28日から台湾で一般公開となります。

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