魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)プロデュース映画「KANO」クランクイン!
会見は、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)がプロデュースする台北の家で行われ、まずはこの映画の制作についてのプロデューサーや監督のコメント、嘉義農林高校野球チームの紹介、素人キャストたちの訓練風景などで構成された10分ちょっとの映像が流されました。
そして、監督とプロデューサーが登壇してのご挨拶、さらに、嘉義農林高校野球部選手たちのご家族が台湾国内はもとより日本からも駆けつけて、当時使っていたバットやグローブ、ボールを監督達に手渡しました。
「賽德克、巴萊(セデック・バレ)」で描かれた霧社事件の翌年、台湾人と日本人、そして原住民で構成された嘉義農林高校野球チームが夏の甲子園大会に出場し、なんと決勝戦まで勝ち上がりました。惜しくも名門の中京商業に敗れましたが、3民族結束しての戦いぶりは見る者に感動を与えたそうです。
文豪菊池寛は、「僕はすっかり嘉義びいきになった。異なる人種が同じ目的のために努力する姿はなんとなく涙ぐましい感じを起こさせる」と述べています。
この嘉義農林高校野球部「KANO」チームを采配したのは、四国の強豪松山商を育て上げた近藤兵太郎監督で、その後も春1回、夏4回甲子園に出場しました。
7年前、「賽德克、巴萊(セデック・バレ)」制作に関わる膨大な資料の中からこの嘉義農林高校の快挙を知り感動した魏徳聖は「目を見はった。台湾の野球史にこんな一ページがあったとは!」と、すぐに脚本を書くことを決め、資料収集なども含めて6年の歳月をかけて完成させたそうです。
もともと自分で監督するつもりでいたそうですが、昨年の「賽德克、巴萊(セデック・バレ)」のプロモーション中に馬志翔が脚本を読み、興奮して「このストーリーに感動しました!僕は中学の時に野球をやっていました。」と言うので、彼に監督を任せ、自分は黃志明と共にプロデュースにまわることに決めたということです。
魏徳聖は「彼は優秀な演出家であり脚本家だ。重要な事は、良いものをそれに適した方法で完成させること。彼は野球の経験があり、よく解っている。僕が脚本を渡した時、すでに心の中で彼に撮らせようと思っていた」と語っていました。
任された馬志翔は「こんな素晴らしい脚本を撮れるなんて、本当に感謝しています。この物語の中には、僕自身の体験と同じものがいくつもあり、登場人物の成長ぶりが自分と重なってありありと浮かびます。」
今回の嘉義ナインを演じるのは、全て5年以上の野球経験がある素人です。このあたりも「賽德克、巴萊(セデック・バレ)」と同じ考え方で、リアリティ重視ということでしょう。馬志翔監督は「演技は我々が訓練する」と言っていましたが、すでに二ヶ月以上前から演技訓練を始めています。この指導に当たっているのは、「海角七号〜君想う国境の南」の日本人教師のナレーションをつとめた蔭山征彦。
「我々が撮るのは、甲子園に出場する野球チームだ。野球の技術がなければ、説得力がない。観客に、本当に甲子園に出場できるようなチームを見せたい。」と魏徳聖が強調していました。
「KANO」は11月7日から正式にクランクインし、台中、嘉義、台南、高雄で撮影され、来年2月末にクランクアップ予定、2014年の旧正月映画として公開になります。
「アジアンパラダイス」では、「海角七号〜君想う国境の南」「賽德克、巴萊(セデック・バレ)」同様、この「KANO」についても継続的に情報を発信していきます。ご期待下さい。
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コメント
一人チーム「ありがとう台湾」ランナーの髙橋です。
李登輝友の会会員、日本李登輝学校第二期研修生で
ブログ"「空二モ書カン」祖国への祈り"を書いている
者です。当ブログにて『甲子園への憧れ今も、82年前の
台湾・嘉儀農林, 甲子園準優勝』を書いていたところ
「台湾映画・KANO(嘉農)が来春公開に」を知り、
遅まきながら、情報拡散、PRをして、わたしの
「ありがとう台湾」を進めたいと思います。
http://ameblo.jp/dalulangren/entry-11599721543.html
投稿: 高橋玉次 | 2013/08/25 21:30
台北の南天書局から刊行された『人間機関車・呉昌征』の著者、作家の岡本博志です。呉明捷さんの子息で台湾から変えられた友人の堀川盛邦さんからこの案内をいただきました。
映画が台湾でヒットし、日本での公開を心待ちにします。
私事でありますが、私のブログで「私の台湾関係史」、アメリカの高校野球部を舞台にした小説「オー、マイボーイ」を公開しています。ご参考まで。
http://okamotohiroshi.blogspot.com
投稿: 岡本博志 | 2012/11/10 10:49