台湾で視聴率上昇中の台湾ドラマ「兩個爸爸」
このドラマは、"どっちの子かわからないけど、よろしく"と書き残して消えた元カノの子を、二人の男性が一緒に育てるイクメンストーリー。
二人のパパを演じるのは林佑威(リン・ヨウウェイ)と楊一展(ヤン・イージャン)で、日本ではほとんど知名度のない主役です。もちろん台湾ではキャリアはありますが、かつて李威(リー・ウェイ)とWEWEというアイドルユニットを組み、アルバム一枚を出している林佑威は、ドラマでは2005年の「45度C天空下」以来の主役、準主役の多かった楊一展はこれで初めて主役に昇格。
キャストの中で日本で知られているのは、娘の学校の先生役の賴雅妍(メーガン・ライ)と、楊一展の父親を演じている張國柱(チャン・グォチュー)くらいでしょうか。
15日に三立電視でこの「兩個爸爸」のイベントがあり、取材に行って来ました。もともとこれは視聴者の為のイベントで、あまり積極的にメディアに通知はしていないものでした。
ドラマのテーマにちなんで"父子"と謳ってはいますが、会場にはお母さんも含め招待されたファミリーがぎっしり。開演前にはドラマのボードの前で記念撮影をする列ができているほどの人気ぶりです。
パパ役の一人林佑威(リン・ヨウウェイ)と娘を演じる樂樂、その同級生「曾正雄」役の闕小佑が出席しましたが、最初に姿を現した闕小佑に場内から大喝采。コロンとした身体と細い目が可愛らしく、劇中ではちょっとぼーっとした男の子の役が受けているみたいですね。『小雄、愛してる!』と声がかかってビックリしていました。
典型的美少女で、受け答えもしっかりしている樂樂に比べて、まだ芸能界慣れしていないというか、素朴な感じが魅力かも知れません。
さらに、最近登場した賴雅妍(メーガン・ライ)の弟役孫其君(スティーブン・スン)も顔を出し、イケメン登場に場内が沸きました。要チェックの若手俳優です。
イベントでは、会場のファミリー参加のゲームなどが行われて、とても和やかで楽しいひとときでした。
そして最後は林佑威と楊一展が表紙の雑誌「華流」のサイン会が行われました。実はこのの雑誌「華流」は、三立電視が昨年12月に創刊した自社のテレビ番組PRを目的としたもので、主役スターのインタビュー、作家や心理学者などのドラマ解説、ドラマロケレポートやスターのグルメレポートなど盛りだくさんで、読み応えのある内容です。
創刊号の宥勝以来、溫昇豪(ウェン・シェンハオ)、邱澤(ロイ・チウ)など表紙を飾った人気ドラマの主役が同様のイベントサイン会を行っており、グッズも含めて販売促進も合わせた三立の戦略。
さて、この「兩個爸爸」がなぜ人気なのか。
冒頭にも書いたように、"どっちの子かわからないけど、よろしく"と書き残して消えた元カノの子を、二人の男性が一緒に育てるという設定がまず興味深く、第一話のテンポがとても良い。病院で初めて顔を合わせてから一緒に子育てをする経緯が簡潔に映像処理されて、娘が小学校に入学したところから本格的に物語が始まります。ゲイカップルと誤解されることもしばしばの笑いの部分、必死に育児と仕事を両立させていくふたりの奮闘ぶりと心温まる家族愛がバランス良く展開します。
花屋を経営し、きれい好きで料理も上手、家事全般を見事にこなす草食系の林佑威、バリバリ活躍する辣腕弁護士で一見肉食系だがこの世で一番大事な女性は娘、という楊一展のキャラクターのコントラストがおもしろい。
そして、元カノ=消えた母親のことはふたりの間では語らないという暗黙の了解が、自然にドラマの行間に表されているのは、台湾ドラマでは珍しいことです。
もちろん、台湾語のおっちゃんのベタな演技もありますが、それはそれで嫌みのないアクセントになっています。
ふたりのパパそれぞれのさわやかなラブストーリーもこれから展開していくであろうと思われ、いま折り返して後半に入ったところなので、元カノ=消えた母親のことがどのように描かれるのかが楽しみ。
台湾の文化や風習を盛り込んだ国産ドラマを制作し、海外に向け新しいビジネスモデルとして発進していこうという「華流」計画のもと、國際製作規格のHD制作に大バジェットをかけ、平日夜の帯枠を強化した三立の試み。「真愛找麻煩(真愛找麻煩~True Loveにご用心)」「愛上巧克力(ティアモ・チョコレート~甘い恋のつくり方~)」「我們發財了」「剩女保鏢」「真愛趁現在(邦題未定、2013年放送予定)」「愛情女僕」「美味的想念」そして「兩個爸爸」と試行錯誤を重ねてきました。
成功したもの、そうでないもの、玉石混合ですが、その中で豪華キャストでもなく、人気アイドルに頼らない、いや、頼れないからこそしっかりした内容で作られるドラマが出て来たことは評価したいですね。
なお、増設した平日9時台は、現在放送中の「美味的想念」終了とともにドラマは撤退、バラエティになるそうです。ダメだと思ったら素早く転換、という潔さも良いですね。
「剩女保鏢」から月〜木だったこの枠も、来週から月〜金に戻ることが「兩個爸爸」のイベントで発表されました。
人気スターが出ていなくても、こういったストーリーの面白さが視聴率に反映するのは、非常に健全です。
※三立電視のドラマ戦略に関する参照記事
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2012/07/post-a839.html
★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。
| 固定リンク
コメント