『KANO』台湾嘉義プレミアで感動の拍手鳴り止まず!
車内では魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)プロデューサー、馬志翔(マー・ジーシアン)監督と、近藤兵太郎を演じた主役の永瀬正敏が、日本と台湾&香港メディアそれぞれ別に囲み取材を行いました。
まだ出来上がった映画を見ていない永瀬正敏は、「一般の皆さんと同じドキドキ感があります。僕が最初に台本を読んだ時に思ったのが、近藤さんが当時の環境の中で人種を越えてチームを作られた、そして結果も出されたという、先駆者ですよね。未来志向の考え方を持った人だというのを皆さんに知ってもらいたいです。そして野球だけでなく、心の中を感じ取って欲しいですね。僕はかつて楊徳昌(エドワード・ヤン)監督プロデュースのシリーズで台湾映画に出演してとてもお世話になったので、『KANO』のお話をいただいた時はその恩返しができたらいいな、と思いました。それにしても、魏さんのアイデアは凄いですよね。特別列車でみんなで嘉義へ行って一緒に見るなんて、ないですからね。映画って作ってしまうとみんなバラバラになってしまうんですけど、こういう機会があるとまた一緒になれてうれしいですね」と語りました。
その後、一般客が乗った車両ではサインや握手、写真撮影などに応じながらの交流タイム。こんなに間近にふれあえるチャンスはなかなかない為、皆さんも大喜び。この特別列車は高鐵(新幹線)ではなく在来線なので、揺れる中で思いがけないスキンシップもあったりで、楽しそうでした。
永瀬正敏さんの人気はもちろんですが、国民的監督の魏徳聖人気の凄さを再認識しました。この様子を見守っていた黃志明(ホアン・ジーミン)プロデューサーも、にこやかにサインに応えていたのが印象的です。
車内では名物の台鐵弁当が配られ、4時間近い列車の旅もあっという間に過ぎ、嘉義駅へ到着。駅では降りてくる永瀬正敏らを見ようとホームはごった返し、改札を出たところに設けられたボードの前でフォトセッションが行われました。
駅前広場にはいくつもの大きなテントが張られ、『KANO』『海角七号 君想う国境の南』『セデック・バレ』などそれぞれのチームの看板が立てられ、嘉義市営球場へ向けてのパレードの集合場所になっていました。
撮影が終わると私たちメディアは急ぎ足でパレードの起点となる場所に作られた大きなゲートに向かい、スタンバイ。
嘉義市長と馬志翔監督、永瀬正敏らのセレモニーを取材し、いよいよパレードの開始です。この日は嘉義市の小中学校、高校、大学までの野球部員が終結、彼らに続いて『KANO』『海角七号 君想う国境の南』『セデック・バレ』の魏徳聖作品のキャストが勢揃いという華やかさ。
さらに、近藤兵太郎監督の台湾での教え子さんたち嘉義農林OB会の皆さん、故郷愛媛県松山市から参加した教え子さんたち、皆さんかなりのご高齢ですがとてもお元気です。
パレードの中間地点噴水広場では、嘉義農林のエース呉明捷(ウー・ミンジエ)投手の彫像の除幕式が行われました。円形の広場の中心に特設されたステージの周りと放射状の道路はパレードに参加した2000人と沿道の観客ら60000人で埋め尽くされ、圧巻!
ここでは呉明捷のお孫さんから、嘉義市長へ最後に投げた貴重なボールが寄贈されました。そして馬志翔監督、永瀬正敏、呉明捷を演じた曹佑寧(ツァオ・ヨウニン)らで赤い紐を引き幕が引き下げられると、独特のフォームを再現した呉明捷の大きな彫像が現れました。
そこからさらにパレードの列はプレミア会場となる嘉義市営球場へ続きますが、私たちメディアは専用車で先に向かいます。
球場の入り口にはレッドカーペットが敷かれ、パレードが到着するまで私たちは取材のスタンバイ。
そろそろ陽も傾いてきた頃、レッドカーペットのウォーキングがスタート。当時の嘉義農林チーム選手のお孫さんたちや嘉義農林OB会、日本から参加した「近藤兵太郎監督をたたえる会」の代表が遺影を胸に掲げて、愛媛県知事からのメッセージを代読しました。
そして永瀬正敏、選手役たち、葉星辰(イエ・シンチェン)、喬喬(チャオチャオ)、游安順ら『KANO』チームの登場です。
永瀬正敏の娘役を演じた、台湾のスーパー・ネットアイドル喬喬ちゃんはその可愛さで撮影中にみんなをメロメロにしたというエピソードが有名になりましたが、司会者のリクエストに応えて「おっとーさーん」と呼ぶと、胸を押さえてヘナヘナとなる永瀬正敏…。「あまりのイベントのスケールに圧倒されました。嘉義の人たちの温かい歓迎は本当にありがたいですね。僕らは映画という共通言語を持っているので、国境を超えられます。この映画が日台の懸け橋になれば、と思います」と語りました。
その後は主題歌を歌っている范逸臣(ファン・イーチェン)、羅美玲(ルオ・メイリン)、Suming舒米恩(スミン)、中孝介、Rakeが続きます。范逸臣と中孝介はそのまま残って田中千繪、馬念先(マー・ニエンシェン)、民雄、大大、吳朋奉(ウー・ポンフォン)の『海角七号 君想う国境の南』チームに合流。劇中のバンドでキーボードを担当した大大がすっかりお姉さんになってビックリです。
そして、『セデックバレ』の林慶台(リン・チンタイ)、大慶(ダーチン)、阿飛(アフェイ)、徐詣帆ら原住民俳優に羅美玲も再び加わりました。林慶台は、やっぱりかっこいいですね。芸能活動をやめたのが残念ですが、もともとの本業である牧師さんとしての仕事に専念するのは当然のことなので、こういう機会にまた私たちの前に姿を見せてくれることに期待したいです。
しんがりは黃志明、魏徳聖両プロデューサー、馬志翔監督でした。
さぁ、間もなく上映開始ということで、私たちは球場のグラウンドへダッシュ。ピッチャーマウンドの後ろ、セカンドベースあたりに大きなスクリーンが設置されています。『KANO』のタイトルが投影されたスクリーンの前にはマイクスタンドが6本立てられていて、嘉義農林OBたちによる校歌斉唱です。これが全て日本語で、あらためて歴史を感じたシーンでした。
スタンドには2000人の観客。ここでスタッフもキャストも、そして私たちメディアも一緒に完成したばかりの映画を見るのです。
映画『KANO』は、とにかく素晴らしい作品でした。
3時間5分という時間を感じさせない、そして結果はわかっているのにドキドキハラハラする試合展開。さらに、近藤兵太郎が単なる鬼監督ではなく、自らが苦悩し選手と共にアイデンティティを確立していく…という人物像を深く描いています。そしてそれを見事に体現している永瀬正敏の演技力に唸りました。甲子園出場に向けての熱血ストーリーだけではなく、人間ドラマがきっちりと組み込まれており、3回も泣かされました。本当に魏徳聖の才能と馬志翔の奮闘には脱帽です。
エンドクレジットになると、なんと!范逸臣、羅美玲、Suming舒米恩、中孝介、Rakeが登場して主題歌「勇者的浪漫~風になって~」の生歌です。なんという素敵な演出!
拍手は鳴り止みません。
またまた魏徳聖が創り出した歴史的な時間に立ち会えて、本当に幸せでした。
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