東京国際映画祭『共犯』張榮吉(チャン・ロンジー)監督インタビューと上映後のQ&A
開催中の東京国際映画祭で唯一の台湾映画『共犯』の張榮吉(チャン・ロンジー)監督に、24日インタビューしました。
前作『光にふれる』に続き東京国際映画祭で上映されましたが、監督は当時来日しなかったので、ご自身が参加するのは今回が初めてになります。
本作は台北電影節のオープニングフィルムで、9月に台湾で公開されたばかりの作品です。
脚本のコンペで注目され、プロデューサーが張榮吉(チャン・ロンジー)を監督を指名して制作された本作は、女子高生が5階から転落、そこに偶然居合わせた三人の男子高校生が彼女の死の真相を探るために勝手に動き出し、思わぬ展開に…というストーリー。前作とは全くテイストの異なるミステリーですが、そこには青少年の孤独、ソーシャルネットワークの功罪など社会が抱える問題も含まれ見ごたえのある作品です。
上映後のQ&Aでは、この題材を選んだのはストーリー展開の中で次々と人物が出てきて状況が予測できない方向へ向かっていくミステリーの面白さ、それぞれの孤独感にとても惹かれたと語っていました。そして、最後に「この作品は台湾以外の人にもぜひ見て欲しかったので、今回この映画祭に参加できてとても良かったです」と喜びを語っていました。
この後単独インタビューになりましたが、監督は早くから取材部屋にいらして、通訳の水野衛子さんが来るまで少し雑談をすることができました。同行の台湾の制作会社の担当者とは数年前からの知り合いの為、媒体の説明とかは全部彼が監督に伝えてくれたので、有り難かったです。
今回一番気になっていたのは、台湾では興行的にはなかなか難しいミステリーというジャンルに挑戦した事だったのですが、「マーケットのことはさておき、何本かの脚本を読んで本作が一番おもしろいと思ったので」という明快な回答。彼の才能にかけたプロデューサーの英断と言って良いでしょう。
台湾映画では青少年がメインキャストの場合、新人を起用することが多いのは、この世代の俳優がいないという単純な理由ですが、今回男女6人のうち4人は演技未経験者。彼らには二ヶ月間演技の訓練をしたそうですが、俳優経験のある巫建和(ウー・ジェンハー)を起用したのは、やはり彼の演技力を買ったということでした。彼は鄭有傑(チェン・ヨウジエ)監督の『他們在畢業的前一天爆炸』で助演男優賞を獲得し、コンスタントに映画出演している若手です。
台北電影節のQAで、巫建和が役作りの参考に監督から奇妙なビデオを沢山見せられたと言っていたので、どんなビデオだったのか聞いてみると、苦笑いしながらスマホで検索してビジュアルを見せてくれました。ポール・トーマス・アンダーソン監督の「ザ・マスター」というホアキン・フェニックス主演の映画でした。なるほど…興味のある方は見て見て下さい。
そして、次回作はまたまたミステリーで劇作家の紀蔚然(ジー・ウェイラン)が書いた小説「私家偵探」。脚本もほぼ出来上がり、イメージする俳優にオファーしているところだとか。来年クランクインということなので、楽しみです。
さらに、今後撮ってみたいのは大人のラブストーリー。細やかな表現が巧いこの監督のラブストーリーはきっと素敵だろうなぁ、と、こちらも期待です。
このインタビューは、10月27日からPodcastで配信します。お楽しみに!
2014台北電影節開幕!オープニングは張榮吉(チャン・ロンジー)監督の「共犯」
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2014/06/2014-7b8a.html
2014台北電影節オープニング&クロージング作品決定!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2014/05/2014-a873.html
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