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2015/08/08

おいしい台湾映画〜台南・嘉義紀行『祝宴!シェフ(原題:總舗師)』の巻

0808chef1台南と言えば貴重な歴史的遺産が多く、"台湾の京都"と呼ばれています。そして明・清王朝の貴族の専属料理人が民間に伝えた技術によるものから、オランダ統治時代、明・清王朝、日本統治時代などの歴史から生み出されたものまで、多様で繊細なグルメの街として知られています。
そんな台南を舞台に、伝統的な宴席料理を作る出張料理人總舗師(ツォンポーサイ)を描いた映画が2013年に作られ台湾で大ヒット。その年の東京国際映画祭で上映され、2014年『祝宴!シェフ』という邦題で一般公開されました。

0808chef2この映画は、『熱帯魚』(95)『ラブゴーゴー』(97)で世界に衝撃を放った台湾映画界のヒットメーカー陳玉勳(チェン・ユーシュン)が実に16年ぶりの長編で復活、"人々を幸せにする究極の料理"を巡って、個性的で愛すべき登場人物たちが繰り広げる幸福な大喜劇です。
映画の中に出てくるのは、辦桌(バンド)と呼ばれる屋外宴会で出される伝統的な絶品料理。この辦桌でメニューと調理を取り仕切るのが總舗師(ツォンポーサイ)と呼ばれる出張料理人です。

0808chef3映画の中で夏于喬(キミ・シア)が演じるヒロイン小婉チームの決戦メニューがこちら。

●雞仔豬肚鱉(雞と豚とスッポンのスープ)
●換骨通心鰻(鰻の野菜詰め)
●大火炒鱔魚(田鰻の炒め物)
●菊花筍絲干貝(千切り干貝と筍の炒め物)」
●菜尾湯(肉と野菜のスープ鍋)

0808chef4今回取材した中の一軒、阿美飯店で映画に出てきた「雞仔豬肚鱉」(雞と豚とスッポンのスープ)に出会うことができました。名前は違いますが、「桂花干貝(千切り干貝と筍の炒め物)」は「菊花筍絲干貝」と、「乾炒鱔魚(田鰻の炒め物)」は「大火炒鱔魚」と、映画の中のメニューとほぼ同じでしょう。この店はかつて日本統治時代に高級料亭で日本人に出されていた「酒家菜」を50年以上守り続けている老舗です。この「酒家菜」はたいへんな手間がかかるため、今では作れる人がいなくなってしまったメニューもあると、2代目オーナーの蔡坤益さんが言っていました。
ちなみに、阿美飯店の名物料理は豚骨ベースのスープに鴨肉と白菜や豆腐などを煮込んだ「砂鍋鴨」で、旧正月には1日1000食も売れると言います。

0808chef6この日の「酒家菜」メニュー。
●三色拼盤(エビ団子・カニ団子・ソーセージ)
●雞仔豬肚鱉(雞と豚とスッポンのスープ)
●乾炒鱔魚(田鰻の炒め物)
●桂花干貝(千切り干貝と筍の炒め物)
●一品海参(ナマコの魚のすり身と野菜ペースト詰め)
●砂鍋鴨(鴨肉鍋)
●紅蟳米糕(ワタリガニのおこわ)

0808chef7阿美飯店
台南市民權路二段138號(台鐵台南駅からタクシーで約85元)
電話:06-222-2848
営業時間:11:00〜21:00
年中無休、予約制、現金のみ。
http://amei.com.tw/aboutus.html

0808chef8そして、実在の總舗師の味はここにも。
安平古堡など歴史のある建物が多く残る台南の海沿いの地区、安平にある周氏蝦捲は、その名の通り蝦捲(エビロール)が大人気の店です。新鮮なエビを豚のアミ脂で巻き衣をつけて揚げたもので、創始者が擔仔麵の屋台のメニューの一つとして出していたそうですが、改良を加えて人気メニューになり、現在ではセントラルキッチンで一日約1万本も作られています。
ここの創始者が総舗師。現在の二代目も、子供の頃から父の手伝いをしながら跡を継ぎ、2002年には國宴と呼ばれる政府首脳が各界の著名人を招待して催す宴席もここで行われました。
二代目オーナー曰く「一時はすたれた總舗師ですが、映画のヒットのおかげで復活の兆しがあります」。

0808chef9この日のメニュー。
●カラスミ
●黃金海鮮派(イカ・エビ・タラのすり身揚げ)
●擔仔麵
●周氏蝦捲(エビロール)
●虱目魚・蝦丸湯(サバヒーとエビ団子のスープ)
●紅豆杏仁豆腐(あずき杏仁豆腐)

0808chef10周氏蝦捲
台南市安平區安平路408號-1(台鐵台南駅からバス「2番」で「望月橋駅」下車)
電話: (06)280-1304
営業時間:10:00〜22:00
年中無休、クレジットカード(VISA)扱いあり、日本語メニューあり
http://www.chous.com.tw/

0808chef11『祝宴!シェフ』(原題:総舗師)
監督・脚本:陳玉勳(チェン・ユーシュン)
出演:林美秀(リン・メイショウ)楊祐寧(ヤン・ヨウニン)夏于喬(キミ・シア)
DVD発売&レンタル中。

ストーリー
台湾では、お祝いごとがあると屋外で宴が開かれ、そこで腕を振るう、総舗師(ツォンポーサイ)と呼ばれるおもてなしの心を極めた宴席料理人がいる―
その中でも、“神”と称された伝説の料理人を父に持つシャオワンは、料理を嫌い、モデルを夢見て家を飛び出していたが、夢破れ帰省。そこで亡き父がレシピノートに残した“料理に込めた想い“に心を動かされたシャオワンは、時代の趨勢で衰退の一途をたどっている宴席料理の返り咲きをかけ、全国宴席料理大会への出場を決意する。 しかし料理は初心者。果たして、シャオワンは父の想いを引き継ぎ、“究極の料理”に辿りつくことができるのか?

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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