東京フィルメックス『酔・生夢死』Q&Aと李鴻其(リー・ホンチー)インタビュー
台北電影節で主要6部門、金馬奨でも4部門で受賞した張作驥(チャン・ツォーチ)監督の台湾映画『酔・生夢死』が東京フィルメックスで上映され、プロデューサーの高文宏(カオ・ウェンホン)と出演者の李鴻其(リー・ホンチー)、王靖婷(ワン・チンティン)が上映後にQ&Aを行いました。
李鴻其はこれがデビュー作でいきなりの主役、そして台北電影節でで主演男優賞と新人賞、金馬奨で新人賞という大きな賞を3つも獲得した新鋭です。もともと高校・大学と演技を専攻してきただけになかなかの演技力。Q&Aでの答えを聞いていても、とても頭の良い、そして映画愛の深い青年だと思いました。
今回の主役についても「監督は僕自身の感情をとても大事にしてくれたのでのびのびと演技させてもらい、思い通りにできたと思います」と語っていました。
主人公の従姉妹で重要な役を演じた王靖婷は、実は製作スタッフだったそうですが、監督からちょっと出てみない?と言われ、たいした役ではないだろうと思い引き受けたところ、メインの役だったので驚いたということです。
そして、出来上がった作品を見て「まさかこんな風に撮って編集されているとは思わなかったので頭がクラクラしました。人生ってやはり予測できないんだなぁ、いろいろな断片が集まって集約され、一過性で出会ったり過ぎ去っていく姿を監督は撮ったのだと思いました。特別な作品です」と言っていました。
この映画は時間が交錯している構成になっているのですが、それについて李鴻其が答えました。
「人生は楽しかったり辛かったりしたことを明確にいつだったか覚えていないように、時間軸で動いているのではなく、情緒の軸で動いていると思う。僕は毎回見る度に違う感じ方をしますし、詩的な映画ですね。何百年も前からある中国の詩は見る人によって全く解釈も違うし広い。物事は明確でなく曖昧だったり、時間的にも交錯してしまったり、でも何か心に残るものがある、それがこの作品だと思います」
また、プロデューサーにタイトルについての質問が投げられました。「『酔・生夢死』の『酔』のあとに『・』があるのは、アル中で生きているのか死んでいるのかわからない母とその他を区切る為です。残りの『生夢死』については李鴻其に説明してもらいましょう」と言い、それを受けた李鴻其の答えです。
「『生夢死』は3人の男ですね。生きる為にホストをしている仁碩が『生』、『夢』が成績も優秀な僕の兄役の上禾に託されたもの、僕の役が『死』ですね。いつもいろいろな『死』を抱えていて、周りの『死』を見ている。『死』はある意味そこからの始まりかも知れないし、シュールな意味での『死』だと僕はとらえています」
このように、明晰な頭脳と新人ながらしっかりとした考えを持つ李鴻其に、正直驚きました。
このQ&Aの後に個別インタビューでしたが、本人の希望によりロビーでサイン会が行われました。映画祭ならではの観客との交流を大事にする姿勢にも感心しましたが、実は彼自身が去年まで映画祭でチケットをたくさん買って見ていた映画青年だったのです。だからこそ、このサイン会を希望したのでしょうね。
インタビューでも、賈樟柯(ジャ・ジャンクー)や婁燁(ロウ・イエ )が好きで、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の映画に出たいと言う李鴻其、張作驥監督にも自身の主張をはっきり言ったそうですし、台湾映画界にすごい新人が出てきたのだと実感しました。
このインタビューは、来年2月に発行予定の雑誌「台湾エンタメパラダイスVol.14」に掲載後、Podcastで配信予定です。
ご期待下さい。
※これまでの『酔・生夢死』に関する記事
2015台北電影節、『醉.生夢死』が100万元グランプリなど6冠!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2015/07/20151006-817f.html
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