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2016/02/25

「第10回台湾国際ドキュメンタリー映画祭」ノミネート作品発表!

0225tidf1台湾で5月6日〜15日に開催される、「TIDF台湾国際ドキュメンタリー映画祭」は今年第10回を迎え、インタナショナル部門、アジアインサイトコンペティション部門、台湾コンペティション部門のノミネート作品各15作品が発表になりました。
今回のエントリー作品は117の国から1,700本に及び過去最高、台湾コンペティション部門への参加作品は200近くに上りました。

この映画祭は1998年にスタートし、日本の山形国際ドキュメンタリー映画祭が開催されない隔年に実施という形をとっています。互いに良い効果をもらたすようにということで運営スタッフの人材交流も盛んになり、日台の絆がここでも結ばれているのです。

台湾ではドキュメンタリー映画の製作が活発で、2003年の『無米樂』は劇場でのヒットと共に台北電影節でグランプリを獲得、東京国際映画祭でも話題を呼び、2005年の『ジャンプ!ボーイズ(原題:翻滾吧男孩)』は金馬獎の最優秀ドキュメンタリー賞を獲得し日本では一般公開もされました。
この流れは2010年の『乘著光影旅行』から『沉沒之島』『爸爸節的禮物-小林滅村事件首部曲』『金城小子』『築巢人』『不能戳的秘密2:國家機器』と2014年まで台北電影節の最高賞5年連続というその牙城は揺るぎのないものでした。

また、2013年の齊柏林(チー・ボーリン)監督の『天空からの招待状(原題:看見台灣)』はドキュメンタリーとしては最大の2億元という興行収入を上げ、劇映画に混じって歴代14位という成績を残しています。この作品は日本でも大阪アジアン映画祭で上映された後、一般公開されました。
2015年は200本製作され14本が一般公開、うち7本はロードショー館のTOP36内という成績でしたが、そのトップは『湾生回家』で3000万元のスマッシュヒット。こちらも間もなく開幕する大阪アジアン映画祭のオープニングを飾り、日本での一般公開も決まっています。

台湾でドキュメンタリー監督として有名な楊力州(ヤン・リージョウ)監督の最新作『あの頃、この時(原題:我們的那時此刻)』も大阪アジアン映画祭で上映され、台湾でも一般公開されます。
そしてドキュメンタリー出身監督の『光にふれる(原題:逆光飛翔)』の張榮吉(チャン・ロンジー)は2006年に『ぼくのフットボールの夏(原題:奇蹟的夏天)』で台湾金馬奨最優秀ドキュメンタリー賞を受賞し、その後劇映画を続々と発表しています。
"出身"だけでなく、『GF*BF(原題:女朋友。男朋友)』の楊雅喆(ヤン・ヤージャ)監督や『世界一のパン(原題:世界第一麥方)』の林正盛(リン・ジェンシェン監督)、新鋭監督として注目される趙徳胤(チャオ・ダーイン)監督ほか劇映画とドキュメンタリー両方撮る監督も少なくありません。

張榮吉監督になぜドキュメンタリーを撮るのかを聞いた時、「台湾には撮りたいテーマ、撮らなくてはいけないテーマがたくさんあるから」と答えていたように、"社会を映しだす鏡"であるドキュメンタリー映画は、政治や社会問題から人々の暮らしの隅々まで台湾のアイデンティテイーとも大きく関わっていると思います。
そして、日本では普段ドキュメンタリー映画を見る機会がない方が多いですが、台湾では劇場で公開され、"普通に見る映画"なのです。

それから、『台湾アイデンティテイ』の酒井充子、『呉さんの包丁』の林雅行、『トーテム Song for Home』の若木信吾など日本人で台湾のドキュメンタリーを製作・発表している監督がいることも加えておきます。

0225tidf2台湾のドキュメンタリー映画の現状説明が長くなりましたが、そんな中で「第10回台湾国際ドキュメンタリー映画祭」の台湾コンペティション部門には、前述の趙徳胤監督の『挖玉石的人』(2015年金馬影展で上映)や黄信堯(ホアン・シンヤオ)監督『雲之国』(2016年大阪アジアン映画祭で上映)、李念修(リー・ニェンショウ)監督の『河北台北』(2015年山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映)など注目作が並んでいます。

ノミネート一覧
【インターナショナルコンペティション部門】
「A Family Affair」監督:Tom Fassaert/ベルギー、デンマーク、オランダ
「Behind the Yellow Door」監督:Lucas Verniert/フランス
「Brothers 」監督:Aslaug Holmt/ノルウェー
「Checks and Balances」監督:Malek Bensmaït/アルジェリア、フランス
「Covered with the Blood of Jesus」 監督:Tommaso Cotroneit/イタリア、ナイジェリア
「Daughter of the Lake esto」監督: Cabellos Damiánt/ペルー
「Drought」監督:aria Augusta Ramost/ブラジル
「Eldorado」監督:Rui Eduardo Abreu, Thierry Besseling, Loïc Tansont/ルクセンブルク
「Elephant's Dream」監督:Kristof Bilsent/ベルギー、イギリス
「Kiev/Moscow. Part 1&2」監督:Elena Khorevat/エストニア、ロシア、ウクライナ
「日曜日式散步者」監督:黄亜歴/台湾
「殘響世界」監督:陳界仁/台湾
「Rio Corgo」監督:Sérgio da Costa, Maya Kosat/スイス
「Spoon」監督:Michka Saält/カナダ
「Those Who Feel the Fire Burning」監督:Morgan Knibbet/オランダ

0225tidf3【アジアインサイトコンペティション部門】
「A Roar of the Prairie」監督: 呉敏旭 Oh Minwook/韓国
「Aragane」監督: 小田香 Oda Kaori/ボスニア・ヘルツェゴビナ、日本
「Cities of Sleep」監督: Shaunak Sen/インド
「風の波紋」監督: 小林茂 Kobayashi Shigeru/日本
「飛地」監督: 李維/中国
「Hero and the Cloak」監督: Arash Lahooti/イラン
「靈山」監督: 蘇弘恩 Su Hung-en/台湾
「Murmurs from the Somber Depths of Sta.Mesa」監督: Hector Barretto Calma/フィリピン
「My Leg」監督: Khon Soe Moe Aung/ドイツ、ミャンマー
「Of Cats, Dogs, Farm Animals and Sashimi」監督: Perry Dizon/フィリピン
「Remote Control」監督: 匿名/フランス
「大路朝天」監督: 張贊波/中国
「額日登的遠行」監督: 顧桃/中国
「歡迎來扮家家酒」監督:Kim Soo-vin/韓国
「灣生畫家-立石鐵臣」監督: 郭亮吟、藤田修平 Kuo Liang-yin, Fujita Shuhei/日本、台湾

0225tidf4【台湾コンペティション部門】
「日曜日式散步者」監督:黄亜歴/台湾
「台北抽搐」監督:林婉玉/台湾
「末代叛亂犯」監督:廖建華/台湾
「有一天都要說再見」監督:李珮毓/台湾
「河北臺北」監督:李念修/台湾
「南國小兵」監督:李立劭/台湾
「挖玉石的人」監督:趙徳胤/台湾
「海」監督:柯金源/台湾
「就是那個聲音」監督:盧彦中/台湾
「殘響世界」監督:陳界仁/台湾
「雲之国」監督:黄信堯/台湾
「戲台滾人生」監督:呉耀東/台湾
「蘋果的滋味」監督:李恵仁/台湾
「靈山」監督:蘇弘恩/台湾
「灣生畫家-立石鐵臣」監督:郭亮吟、藤田修平/日本、台湾

詳しくは公式サイトをご覧下さい。
http://www.tidf.org.tw/zh-hant

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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