鄭文堂(チェン・ウェンタン)監督インタビュー in 台北
鄭文堂監督は、2009年の『眼淚』の後3年間宜蘭縣文化局長を勤めたため映画の現場を離れていましたが、任期を終えてふたたびメガホンを取ったのが2015年の台北電影節でオープニングを飾った『菜鳥』でした。
これは新人の刑事が警察内の不正を目の当たりにし、正義感で立ち向かうもののさまざまな圧力や陰謀に巻き込まれていく中、愛や信頼を描いた作品。今年の台北電影節でコンペに参加して莊凱勛(キャッシュ・ジュアン)と簡嫚書(ジエン・マンシュー)が助演男優賞と助演女優賞を獲得しました。
まずは、『菜鳥』の製作のきっかけから経緯、そししてメインキャストの宥勝(ヨウシェン)、莊凱勛、簡嫚書のキャスティングについて聞きました。
もともと監督が見出して育ててきた俳優莊凱勛は、脚本の段階からこの役はピッタリだと思っていたそうで、簡嫚書にはこれまでの清楚な役柄では新鮮味がないということでクラブで働く女性にキャスティングしたということでした。その体当たりの演技が評価されての受賞、監督としてもうれしかったでしょう。
そして、今年春〜初夏に放送したドラマ『燦爛時光』は、二世代の愛と青春を歴史的事件や社会運動を背景にして描いた二部構成のドラマです。これはご自身の企画で製作し、あとからテレビ局が購入したという経緯だそうです。二世代それぞれの主役を演じた巫建和(ウー・ジエンハー)と林柏宏(リン・ボーホン)の演技についても色々お話しして下さいました。林柏宏は「台湾エンタメパラダイスVol.15」でインタビューした時に「この経験で俳優という仕事の考えが変わった」というほど、鄭文堂監督の影響は大きかったと話していました。
さらに、監督がこだわり続けてきた台湾の歴史を映画やドラマで描くことで、台湾の歴史を知らしめることについて、この『燦爛時光』でその成果を実感したとおっしゃっていました。このドラマを学校で見せたときに、多くの学生から「今まで知らなかった台湾の歴史を知った」という声を聞き、また社会全体も自分たちの歴史を知りアイデンティティを追求しようという風潮が根付いてきたとも言っていました。
特に今年は、この『燦爛時光』や国共内戦終結後の激動の歴史の中で3人の女性と空軍兵士の夫の愛情を描いた『一把青』、1920年〜80年代の大稻埕を舞台にした「紫色大稻埕』など台湾の歴史と人間を描いたドラマが上半期に放送されました。作品もこの現象もとても興味深いのですが、なかなかこういうドラマは日本で買い付けられることがないのが残念です。
10月8日に発表される金鐘奨では、鄭文堂監督が『燦爛時光』で監督賞にノミネート、『一把青』は13部門で最多ノミニーとなっていますので、結果が楽しみです。
この鄭文堂監督のインタビューは、10月15日から2週に分けてPodcast配信します。
ぜひお聞き下さい!
なお、『サマーズ・テイル~夏のしっぽ~』という邦題でDVDリリースされた映画『夏天的尾把』についてと監督が語るディーン・フジオカについては、10月17日発売の「台湾エンタメパラダイスVol.16」に掲載しますので、こちらもあわせてどうぞ!
定価 1,500円+税
発行元 キネマ旬報社
◆鄭文堂監督プロフィル
1958年生まれ。1987年からドキュメンタリーやシリアスなドラマを手がけ、映画は1997年の『藍月』が監督第一作。2004年の『經過』は『時の流れの中で』というタイトルで東京国際映画祭で上映、続く2006年の『深海』は『深海 Blue Cha-Cha』の邦題で同年に日本でも公開された。戴立忍(ダイ・リーレン)や莫子儀(モー・ズーイ)といった名優が常連出演者で各作品とも数々の受賞歴があり、台湾を代表する監督の一人。
2010年から宜蘭縣政府文化局局長に着任し製作現場から一時離れるが、退任後2013年から復帰して2015年復帰第一作『菜鳥』が台北電影節のオープニングを飾った。今年は自身の企画でドラマ『燦爛時光』を製作、金鐘奨の監督賞にノミネートされた。(※結果は10月8日発表)
2007年に台湾公開した映画『夏天的尾巴』が『サマーズ・テイル~夏のしっぽ~』の邦題でDVD発売中。
※鄭文堂監督に関するこれまでの記事
2015/06/26
2015台北電影節開幕、鄭文堂(チェン・ウェンタン)監督の『菜鳥』がオープニング!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2015/06/2015-5660.html
2007/05/07
「夏天的尻把(夏のしっぽ)」台南ロケ地レポート
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2007/05/post_fd19.html
★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。
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