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2016/12/13

第53回金馬獎頒獎典禮〜林柏宏(リン・ボーホン)助演男優賞受賞編

1213bohong1既報のように第53回金馬獎は中国映画の圧勝という結果でしたが、その中で健闘した林柏宏(リン・ボーホン)の助演男優賞受賞についてあらためてお伝えしたいと思います。
今年の台湾映画は残念ながら飛び抜けた秀作が少なく、技術面の賞ではなく作品として結果を出したのはドキュメンタリー作品賞の『日曜日式散步者』のみでした。
林柏宏が評価の対象となった『六弄咖啡館』は、彼の助演男優賞だけがノミネートされていました。

1213bohong7このような状況の中、しかも秦沛(ポール・チョン)、曾志偉(エリック・ツァン)、林雪(ラム・シュ)というベテランと前評判の高かった納豆(ナードゥ)という強敵を制したことは快挙と言って良いでしょう。
誰もがビックリした受賞でしたが、おそらく一番驚いたのは本人だったのではないでしょうか。
しかし、新世代の若手俳優の中でも林柏宏の演技力は以前から評価されていましたし、今回の受賞は多種多様な作品で挑戦をしてきた彼の努力と今後への期待値の表れでしょう。
台湾映画にとって、将来性を認められたこの受賞はたいへん意義あることだと思います。

1213bohong3プレスセンターと、その後の囲み取材でのQ&Aをご紹介します。

Q:今のお気持ちはいかがですか?
A:審査員の皆さま、ありがとうございます。ノミネートされた皆さんは大先輩で素晴らしい方々ばかりですから、受賞できるとは全く思っていませんでした。ノミネートされた事自体がとても光栄な事だと感じています。審査員の皆さんが認めて下さり、たいへん感謝しています。先ほど舞台で感謝したい方々には全員お礼を言いました。でもメディアの皆さんをお待たせしてしまいました。実はあの後舞台裏で泣き崩れていたからです。もちろんその涙はあまりに嬉しくて気持ちが高ぶって出た涙です。
Q:あなたは既成のイメージを脱したと高く評価されています。また本作に強い力を与える演技を見せてくれました。ここで審査員の陳建斌(チェン・ジエンビン)があなたに対して言った言葉を伝えましょう。「林柏宏は優秀な役者が持つ貴重な素質である“柔軟性”“ユーモア”“爆発力”の全てを備えている」。陳建斌はあなたの事は知らなかったのですが、映画を見てあなたの持つ特性を見抜いたようです。いかがですか?
A:とても興奮します。陳建斌先生は大好きな俳優ですので、たいへん光栄です。

1213bohong2Q:では『六弄咖啡館』のオファーを受けてからこれまでの経過を語って下さい。
A:初めて監督からお話しをいただいた時、とても驚きました。というのはこれまでどの監督も私に今回のような悪ふざけが大好きでやんちゃなキャラクターをやらせてくれる機会をくれた事がなかったからです。
そしてとても幸運だったのは、『六弄咖啡館』では共演の董子健(ドン・ズージエン)、顏卓靈(チェリー・ガン)から多くの事を学びました。ほかの出演者も皆素晴らしいので、だからこそこのように優れた映画になったのだと思います。
Q:このように高い評価を受け、あなた自身の演技に対する考え方の変化やこれからの演技について何か影響はありますか。
A:『六弄咖啡館』ではここまで一つの役柄を楽しんだ事はありませんでした。演技において重要な事は、"演技をしているその時、その場を楽しむ事"だと思います。
Q:下馬評では曾志偉の評価が高かったですが、彼と何か話しましたか?
A:僕は小さい頃から彼の演技が好きでしたから、曾志偉さんの横を通り過ぎる時に、敬意を示したいと思ったのですが、体の反応が追いつきませんでした。でも、受賞が発表された時最初に「おめでとう、おめでとう」と言葉をかけてくれ、感激しました。感謝しています。
記者Q:次回作ではどんな事を?
A:次回作では主題歌を歌う事にします。(笑)

1213bohong4この質疑応答の中で、台湾メデイアらしい映画の中のおふざけアクションをやってみて、というリクエストがありましたが、もちろんきちんと応えて左右、センターのカメラマンから声がかかるたびに何度も実演していました。

そして、この後別室で行われた囲み取材の様子です。

Q:おめでとうございます。挨拶の準備はされていなかったのではないですか?
A :感謝したい人は考えていました。でも本当のことを言うと、あの時は一言も出てきませんでした。
Q:先ほど舞台裏で泣き崩れていた時の気持ちを教えてください。
A :監督、共演俳優、事務所のいずれにかかわらず、これまでずっと支えたくれたたくさんの人に心から感謝しました。家族がテレビの目の前で見ているはずだと思ったら、壇上ですでに泣きたくなりました。
Q:「星光大道」に参加し、選ばれてから今までの道のりで教えられたことは何ですか?
A :「星光大道」に参加した時は、歌手になりたい、芸能人になりたいとか、何の考えもありませんでした。幸運にも僕を映画に出演させてくれる監督がいて、演技とはどんなことかも知らないままやってきました。2作目、3作目、4作目とたくさんの監督に教えてもらえたのは、きちんと演技を学んでいない僕にとってとてもありがたかったです。
僕は真面目な生徒といった性格なので、どの役でもひたすら真摯に準備して演技に臨みましたが、演技をする時はいつも恐る恐るでした。『六弄咖啡館』での役を演じる時、監督は僕に「君は蕭柏智だ。蕭柏智は宿題なんてしない。めいっぱい楽しんでいれば、すでに表現できているんだ」と言いました。ですからこの役を演じた時は、クレイジーに楽しみました。撮影現場でこんなに駆け回ったり叫んだりしたことは初めてです。このような方法で自分を蕭柏智の役に近づけて役に入り込むのは特別な経験でした。

1213bohong5Q:どんなお祝いをしたいですか?
A :今夜は家族やたくさんの大切な友達を呼んで食事をします。でもまだ『給19歲的我自己』という新作映画の撮影中で明朝早くに飛行機で杭州に行くので、本当はみんなに会いたいけれど、少しは体力を残しておかないといけません。
Q:同じく助演男優賞にノミネートされていた納豆さんは受賞の呼び声も高かったですが、彼に言いたことはありますか?
A :納豆さんとは仲が良いんです。元々先輩ともいえる人で、テレビ番組に出演し始めたばかりのころは、よく励ましてくれました。その後、二人とも映画に出演することになってとても嬉しいです。少し前に、彼の番組に出て映画の宣伝もさせてもらいました。お互いに励まし合っていたので、張り合うような感じはありません。
Q:先輩たちのノミネート作は見ましたか?
A :まだ全ては見ていませんが、曾志偉さんの『一念無明』は予告編の彼のアップのシーンを見ただけで感動して泣きそうになりました。
Q:受賞時『六弄咖啡館』の監督とは?
A :抱き合いました。監督と抱き合った時、もう崩れ落ちそうだったので押し返しました(笑)。いえいえ、もう本当に感動してどうにかなりそうだったので、とにかく感謝しました。

1213bohong6金馬奨受賞式の後は受賞者全員の祝賀会があり、さらにその後個別に作品ごとのパーティが行われます。
ここ数年このパーティ取材には行っていなかったのですが、今回は林柏宏の初受賞ですからお祝いに駆けつけました。
会場は某居酒屋ですが、映画会社のスタッフが設置した取材スペースで写真撮影、そしてここでも囲み取材を行います。内容はすでに先述の二箇所でのものと大差ないので省きますが、笑顔がチャームポイントの林柏宏のとびっきりのうれしそうな顔が印象的でした。
これからも色々な役にチャレンジして、更なる成長を期待します。
(取材協力:西本有里、二階堂里美)

林柏宏プロフィル
1988年1月27日生まれ、國立台灣師範大學在学中にテレビの人気オーディション番組「第二屆超級星光大道」に出演したことがきっかけでデビュー。
主な経歴:2009年 映画『帶我去遠方』主役(デビュー作)
     2010年 映画『帶一片風景走』
     2011年 映画『回聲』
     2012年 ドラマ『回家』
     2013年 ドラマ『イタズラな恋愛白書Part2(愛的生存之道)』
     2014年 ドラマ『金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件』
         映画『甘い殺意』
         映画『到不了的地方』主役
         映画『トランスフォーマー/ロストエイジ』
         映画『オーロラの愛(極光之愛)』主役
     2015年 ドラマ『事事達人』
         映画『缺角一族』主役
         映画『追婚日記』
         ドラマ『燦爛時光』主役
     2016年 ドラマ『滾石愛情故事-愛我別走』主役
         映画『六弄咖啡館』ダブル主役

※林柏宏に関するこれまでの記事

2016/12/11
第53回金馬獎頒獎典禮〜プレスセンター受賞者編
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2016/12/53-2782.html

2016/07/14
台湾映画『六弄咖啡館』台北プレミア!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2016/07/post-4d32.html

2015/08/17
Podcast 林柏宏(リン・ボーホン)インタビュー2015 in 台北
http://asianparadise.sblo.jp/article/161700571.html

2015/06/11
林柏宏(リン・ボーホン)インタビュー in 台北2015
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2015/06/in-2015-1ea5.html

映画『缺角一族』台北でプレミア!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2015/05/post-9f3d.html

2014金馬影展開幕!オープニング作品は『極光之愛』 2014/11/07
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2014/11/2014-bcb7.html

Ella 映画『愛上缺角族』で檳榔西施に!相手役は林柏宏(リン・ボーホン) 2014/08/20
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2014/08/ella-1cfb.html

Podcast 張睿家(レイ・チャン)&林柏宏(リン・ボーホン)インタビュー i n 台北2014 パート2
http://asianparadise.sblo.jp/article/102526207.html

Podcast 張睿家(レイ・チャン)&林柏宏(リン・ボーホン)インタビュー i n 台北2014 パート1
http://asianparadise.sblo.jp/article/102282441.html

張睿家(レイ・チャン)&林柏宏(リン・ボーホン)インタビュー i n 台北2014 2014/06/11
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2014/06/i-n-2014-f506.html

『到不了的地方』台北プレミア 2014/05/22
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2014/05/post-7c50.html

「帶我去遠方」の監督とキャストのインタビュー 2009/08/16
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2009/08/post-6cff.html

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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