台湾映画の新しい潮流を感じよう!〜上映会&トークショーは第8回『藍色夏恋』アンコールで締めくくり!
『藍色夏恋』は、2002年9月28日に台湾で公開、東京国際映画祭での上映後2003年7月26日に日本で一般公開されました。
しかし、現在では日本での全ての権利が切れている為、台湾の権利元と直接交渉し限定上映が可能になりました。
また、当初の日本語字幕で気になるところがいくつかありましたので、今回新たな日本語字幕を付けてご覧いただきました。
『藍色夏恋』の原題は『藍色大門』。この意味について何人かに聞かれたことがあるので、今回のトークではまずこのタイトルの意味からお伝えしました。英語タイトル『Blue Gate Crossing』が示すように「青い門」、つまり青春期からおとなへの過程で誰もが経験する通過点がこの「門」です。
映画の最後に、桂綸鎂(グイ・ルンメイ)扮する孟克柔のモノローグを思いだしてみて下さい。
「一年後,三年後,五年後、私たちはどんな風に変わっているのか…(中略)…数年後、私は見つける。藍色の門の前に立っているあなたを…(中略)…目を閉じても自分は見えないけれどでも、私はあなたが見える」
冒頭のシーンは、真っ黒な画面の中で孟克柔の声だけが聞こえます。
「見えない。何も見えない」
目をつむっても自分の未来図が見えなかった孟克柔が、張士豪と出会い彼の数年後の姿が見えるようになったのです。
そして、それは間もなく自分の姿も見えてくることを暗示しています。思春期独特の頑なさを自分でも持て余しもがいていますが、真っ直ぐな張士豪と関わることでゆっくりとそれが溶けはじめ、自身のアイデンティティを確立していく孟克柔の成長こそが、この映画の肝と言えるのではないでしょうか。
前回の陳柏霖(チェン・ボーリン)に加えて、先日台北で易知言(イー・ツーイエン)監督にいただいたムービーメッセージを流しましたので、その内容の一部をご紹介します。
「この映画の脚本を書いているときは台湾映画界がどん底の状態で、資金が集まってこれが本当に完成するのかどうかわからない状況でした。
脚本を書き終わってから映画が完成するまでに3年近くかかっています。
脚本を書きながら資金を集めるかたわら、主人公の若い俳優を探していました。しかしクランクインできないうちに俳優はどんどん役の年齢から離れていくので、毎年新しい俳優を探し陳柏霖と桂綸鎂は3年目にやっと見つかりました。
2人を見つけてからは順調に撮影にこぎ着けたので、この出会いは運命だと言えます。
それ以後2人の成長はずうっと見て来ました。デビューからもう14〜5年経ちますが、たぶんほかの俳優と監督の関係よりもかなり近く、父親が見守ってきたという感じです。
2人が目指す方向性はかなり違いますが、その歩みの中で全く新しい世界で自分たちの業績を残していっていることをとてもうれしく思います。
この業界に導いたのは私ですが、その後彼らが自分たちの道を切り開いていった事は素晴らしいし、とてもうれしいです」
そして、トークの後半は11月26日の行われた金馬奨のご報告です。
主な受賞者とレッドカーペットの写真をお見せしながら、受賞結果や授賞式の様子など取材エピソードを交えてお話ししました。
今年最後の抽選会は、易知言(イー・ツーイエン)監督のサイン入り特製カード、金馬影展のパンフレット、雑誌「な〜るほど・ザ・台湾」、台湾文化センターよりご提供いただいた特製ダイアリーをプレゼントしました。
今回の『藍色大門』の上映にあたり快諾をして下さった台湾の権利元である吉光電影、新字幕制作に多大なご協力をいただいた易知言監督、字幕制作のアテネフランセ、字幕・翻訳の樋口裕子さん、素敵なムービーメッセージを送ってくれた陳柏霖と事務所(台湾&日本)の皆さま、藍色工作室の皆さま、ありがとうございました!
そして、このイベントシリーズに来て下さった全てのお客様に心よりお礼を申し上げます。
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