『再見瓦城』の趙德胤(チャオ・ダーイン)監督インタビュー
金馬影展の会期中、東京フィルメックスと金馬奨の直前、そして一般公開のプロモーションという多忙をきわめる趙德胤監督でしたが、快く取材を受けて下さり、たっぷりとお話しを伺いました。
『再見瓦城』は、実際の事件をもとにミャンマー出身の監督が家族や友人たちのエピソードを盛り込んで作られた、不法労働者のカップルの物語です。
監督は2010年から5年かけて脚本を執筆、その間にタイとミャンマーに取材に行き、クランクイン時は第12稿の脚本だったそうです。
タイではミャンマー人の不法滞在者100人以上取材したそうで、「彼らの環境があまりに劣悪で、僕がこの映画を撮ったからといって彼らの生活は何も変わらないという無力感に打ちのめされた」と言っていました。
監督のミューズともいえる吳可熙(ウー・カーシー)が今回もヒロインを演じていますが、あて書きではなく、脚本を書き終わってから数人の候補の中から選んだそうです。気の強い性格や何事にもまっすぐに突き進むというところが一番ふさわしいというのがキャスティングの理由です。
そして、なによりも重要だったのが、役の体験をする為に皿洗いのバイトや工場で働く1年半という時間に応じてくれたくれたことだということです。
柯震東は人からの紹介でこれまでの作品を見て俳優の天分を持った青年だと思い、実際に会ってみると子供っぽいところがあり、これが映画の役とピッタリだったので彼を選択したそうです。
ただ、これまでの役柄とは全く違うので、マネージャーやアシスタントなしで一年半、タイの工場で従業員と同じ生活と仕事を体験させたのです。
吳可熙と柯震東が工場労働者の生活をしている間、監督はロケハンほか撮影準備をしていたそうですが、2週間に一度彼らの様子を見に行ったそうです。
「この時は、まるで刑務所に面会に行くような感じだった」と、監督は笑っていました。
とにかく、通常の映画では考えられない準備の時間と内容は興味深い話ばかりでしたが、詳細は2017年2月発売予定の雑誌「台湾エンタメパラダイス」で掲載します。
どうぞお楽しみに!
◆趙德胤プロフィル
1982年ミャンマー生まれ。
16才の時に台湾に留学、移民して2006年に台灣科技大學の卒業制作の短片『白鴿』が釜山とヨーテボリ映画祭に入選、この後もコンスタントに短編を撮りつづけた。2011年に長編第一作『歸來的人』が釜山とロッテルダム映画祭で受賞。
2014年『冰毒』は台北電影節で監督賞を受賞、金馬獎ほか海外の映画賞にもノミネート。
またドキュメンタリー『挖玉石的人』と『翡翠之城』でも数々の受賞、最新長編『再見瓦城』は2016年の金馬奨で6部門ノミネート、趙德胤が台灣年度傑出電影人を獲得した。
『再見瓦城』
12月9日より台湾で公開
監督:趙德胤(チャオ・ダーイン)
出演:吳可熙(ウー・カーシー)柯震東(クー・チェンドン)
※『再見瓦城』に関するこれまでの記事
016/11/25
金馬影展豪華な締めくくり!『再見瓦城』と『我不是潘金蓮』の監督・キャストもレッドカーペットに!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2016/11/post-f100.html
2016/09/06
台湾映画『再見瓦城』ベネチア国際映画祭で絶賛!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2016/09/post-fd23.html
2016台北金馬影展オープニングは鍾孟宏(チョン・モンホン)監督の『一路順風』!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2016/08/2016-09bd.html
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