台湾のドキュメンタリー映画『擬音』王婉柔(ワン・ワンロー)監督インタビュー!
音を創り出す職人の映画ですが、冒頭からその映像のセンス、素晴らしさに引き込まれました。この監督はただ者ではない、と思い調べると、ネットで検索して出てきた写真は若い女性でした。台湾は女性監督が多いものの、このシブい音響効果に焦点をあてたことにちょっと驚き、話を聞きに行きました。
実際に会ってみると、背が高くて小顔でチャーミング、モデルみたいな方でしたが、とても知的で、そのうえ気さくなお人柄。
まずは、この映画を撮ろうと思った経緯から伺いました。監督は、洛夫という文学者を記録したドキュメンタリーでデビュー作『無岸之河』の制作時に、彼の詩は超現実的で映像だけだと表現に限りがあることを痛感、しかし音声や音響効果に知識がなかったことがとても悔やまれたので、本格的に「音」を勉強しようと思ったのがきっかけだそうです。
そして、もともと知り合いだった胡定一に取材して色々話を聞き、最初は本にまとめようと思っていたと言います。
「彼の仕事ぶりを見るうちに映像として記録したいという気持ちがわいてきました」
本作の制作過程は、多くの映画と同様に、決して楽なものではなかったようです。映像に合わせて音を作っていくサウンドデザインの仕事だけに、制作途中をドキュメンタリー映画の為に見せることを承諾してくれる人はなかなかいなくて、唯一協力してくれたのが、李崗監督。『想飛』(2014年)の音作りの現場が本作の中で紹介されています。張睿家(レイ・チャン)と許瑋甯(アン・シュー)が夜道を歩くシーンでの足音ほか、色々な音作りがとても興味深いシーンの一つです。
そして、かつて香港映画の華やかなりし頃、映画の各部門のプロが足りずに台湾からも多くの職人が借り出されていたことがあり、その時のことを聞きにショーブラザーズに行ったり、経済発展の中で映画産業も右肩上がりの中国で仕事をする人も増えて来たため中国へも監督が取材に飛んでいます。そこで見たり聞いたしたことから見えて来る台湾映画の問題点などについても、話して下さいました。
『擬音』は台北で4週間の公開を終え、最終日に監督は映画館の前で深々とお辞儀をする写真と観客への感謝のメッセージが公式FBにポストされています。
この監督の思い、本作にかけた情熱を日本の皆さんにお伝えしたいので、今回のロングインタビューを6月12日からノーカットで、3回に分けてPodcastで配信します。
ぜひお聞き下さい。
※これまでの『擬音』に関する記事
2017/04/12
音響効果ひとすじ40年、台湾のドキュメンタリー映画『擬音』プレミア!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2017/04/40-2748.html
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