『欲望の翼』デジタルリマスター版公開記念 !ロケ地の想い出
香港映画の名作、王家衛(ウォン・カーウァイ)監督の『欲望の翼』デジタルリマスター版の公開が迫ってきました。
LDもDVDも持っているけれど、またスクリーンで見られると思うとわくわくしますね。しかもデジタルリマスターですから。
最後にスクリーンで見たのはいつだったか…思い出せないくらい前になってしまいましたが、色々なシーンが脳裏に蘇ります。
そういえば、ラジオで番組を作っている時に『欲望の翼』のロケ地と音楽の特集をしたことを思い出しました。放送は聞いて下さる方々の耳に届くと同時に消えてなくなってしまうので、ここに記事として再生しようと思います。まずは、ロケ地の想い出から。
この映画は今更説明するまでもありませんが、1960年の香港を舞台に6人の若者の青春群像を、独自のスタイリッシュな演出で綴る王家衛(ウォン・カーワイ)の代表作のひとつです。
張國榮(レスリー・チャン)劉徳華(アンディ・ラウ)張學友(ジャッキー・チュン)張曼玉(マギー・チャン)劉嘉玲(カリーナ・ラウ)梁朝偉(トニー・レオン)…豪華すぎるキャスト、名シーン・名台詞もたくさんあり多くの人を魅了しました。
この頃はインターネットも普及していなかったので、ロケ地の手がかりは映画本編と地図をたよりにとにかく歩き回ること。
『欲望の翼』のロケ地、まずは有名店なので行きやすかったクイーンズカフェから。
ここはレスリーがジャッキーとカリーナとご飯を食べている時に義母が来るという設定のシーンで使われている、ロシア料理のレストランです。
1952年に北角(ノースポイント)にオープンし、1964年に銅鑼灣(コーズウェイベイ)に移転、当時はおしゃれなレストランとしてとして話題でしたが、その後少しさみしくなり、この映画に登場して再び注目されるようになったそうです。
1994年にいったん閉店しましたが、それを惜しむ声に応えて、翌年に同じ銅鑼灣(コーズウェイベイ)の別の場所に移って新しくオープンしました。当時は店内の壁に『欲望の翼』のサイン入りポスターが貼られていて、ケースの中にアンティーク風の撮影当時の写真があったそうです
その頃もう一軒2号店ができて、この店が大好きだったレスリーがオーナーを務めていた時期もあったようですが、2〜3年で退いたということです。
どちらの店舗も王家衛組の美術監督の張叔平(ウィリアム・チャン)が内装デザインを手がけているそうで、映画のままのレトロな雰囲気を残していました。
最近は行っていないのですが、今は北角にも復活し店舗も増えているようで、リノベーションされながらも当時の雰囲気は残っているということです。
なにより安心したのは、「Queen's Café」の「Q」の字を象ったドアノブは創業以来変わっていないと友人が言っていました。(当時の写真がどうしても見つからず…残念)
もうひとつはアンディ扮する警官がパトロールをしたり、マギーと歩くトンネルの道。
中環(セントラル)のヒルサイドエスカレーターを上りきった、ミッドレベルにあるキャッスルロードという所です。エスカレーターの終点から右に歩いていくと、熱帯特有の木々が見えて来て、ぐるりと回って降り、上の道路と交差する形になります。
あとから知ったのですが、実はここ人が歩いてはいけない自動車専用道路だそうです。歩行者がいなくて写真撮りやすいと思った記憶がありますが、道理で…。
もちろん、そこにはアンディがマギーから電話がかかってくるのを待つ電話ボックスはありません。あれは、撮影用に設置しただけだそうです。
そういえば、そこで立ったままアンディがオレンジを食べるシーンを覚えていらっしゃるでしょうか。2005年に日本でも公開された『愛と死の間で(原題:再説一次我愛你)』という映画の中で、アンディが最後の方でオレンジを食べるシーンがあります。来日インタビューの時に、あれは監督の演出なのかどうか聞いてみたところ、アンディ本人のアイデアだったそうで、もしかしたら『欲望の翼』の事がチラリと頭をかすめたのかも…とついつい深読みしたくなってしまいます。
このほかレスリーがマギーと出会うサッカー場の売店とか、終盤のレスリーとアンディが追跡劇を展開するフィリピンの駅など印象的なスポットはたくさんあるのですが、あの頃行っておけば良かったと後悔してもすでに遅し…です。
香港映画ファンはもちろん、香港映画を見たことない方、公開した1990年当時を知らない若い世代の皆さんにもぜひ見ていただきたい作品です。
『欲望の翼』デジタルリマスター版
2月3日よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開
監督・脚本:王家衛(ウォン・カーウァイ)
撮影:クリストファー・ドイル
出演:張國榮(レスリー・チャン)、劉徳華(アンディ・ラウ)、張學友(ジャッキー・チュン)、梁朝偉(トニー・レオン)、張曼玉(マギー・チャン)、劉嘉玲(カリーナ・ラウ)
1990年/香港/95分/カラー/モノラル
字幕翻訳:寺尾次郎 原題:阿飛正傳/DAYS OF BEING WILD
配給:ハーク
公式サイト:http://hark3.com/yokubou/
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※『欲望の翼』に関するこれまでの記事
2017/11/17
『欲望の翼』デジタルリマスター版で2018年2月に公開決定!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2017/11/20182-2cd8.html
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