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2018/03/11

中国映画祭「電影 2018」 in 東京!

0311cn2018国際交流基金、ユニジャパン、上海国際影視節中心が主催する開催中の中国映画祭「電影 2018」は、昨日10日に東京での上映を終了しました。
ゲストには『無言の激昂』の忻鈺坤(シン・ユークン)監督と温素純(オン・スーチュン)プロデューサー、『シティ・オブ・ロック』の監督兼主演&『奇門遁甲』主演の大鵬(ダーポン)がオープニングセレモニーと上映後のQ&A、舞台挨拶に登壇しました。

0311dapeng1俳優、監督、脚本、司会、歌手などマルチな才能の大鵬は場の盛り上げがとても巧く、オープニングセレモニーで「僕は『わたしは潘金蓮じゃない』に出ていましたけど、見た方は?」と客席に問いかけ、結構な人数の手が挙がったものの「では、僕が何の役だったか覚えている人は?」には場内シ〜ン。
すると「そうなんです。僕は出演していても認識されない、そういう俳優なんです」と笑いを誘っていました。

0311dapeng2この大鵬監督・主演の『シティ・オブ・ロック(原題:縫靱機楽隊)』は、監督自身の出身地である吉林省の集安市を舞台に、ロックが盛んな町のランドマークが都市計画によって取り壊しになるのに抵抗して再びロックコンサートで町を盛り上げよう奮闘する1980年代の物語です。
大鵬は、この為に北京から呼ばれてくる敏腕マネージャーという役柄で、クライマックスでは自らが歌うシーンもあります。バンドのメンバーは初めて楽器を演奏する俳優たちですが、80年代のロックシーンの大御所崔健(ツイジェン)やBeyondが劇中で色々な形で登場。大物のカメオ出演も多く、とても楽しめる作品でした。

0311dapeng3Q&Aでは、集安市のランドマークにそびえ立つビッグ・ギターのモニュメントはCGなのかという質問に「中国は人が多いですから、CGより実際に作った方が安上がりなのです。4ヶ月かけて作りました」と、これまたユーモラスに答えていました。
そして、『奇門遁甲』は上映前の挨拶だったのに「まだ映画見ていないけど、質問があったら何でも答えますよ」と珍しい展開を提案。「映画を見た後だと何を言われるか心配なので、これで帰ります」と、最後まで笑わせて36時間の日本滞在からアメリカへと向かいました。

0311yukun東京でもう一人のゲスト忻鈺坤(シン・ユークン)監督は、前作の『心迷宮』が素晴らしかったので、Q&Aでは中国人観客からやや失望気味の感想が述べられました。しかし、監督としてはもともと今回の『無言の激昂』の方を先に撮りたかったのだけど、諸事情により『心迷宮』がデビュー作になったと語っていました。
『心迷宮』は、田舎の小さな村で起きた殺人事件で死体が入れ替わり、誰が誰を殺したのか、何故死体が入れ替わったのか…を追求していくうちに様々な人間模様が露呈していくヒューマン・ミステリーです。

1229baolieそして今回の『無言の激昂』は、言葉を失った男が行方不明になった息子を探すうち犯罪に巻き込まれていくというストーリーで、『心迷宮』同様人の心の弱さや闇を巧みに描き、一瞬ファンタジー?と思わせながらの一筋縄ではいかない表現に唸らされます。
映画は人それぞれ感じ方が違うものですが、私としてはどちらも素晴らしいと思いました。

0130fenghuaオープニングを飾った馮小剛(フォン・シャオガン)監督の『芳華』は、1970~80年代を舞台に、共産党傘下の芸術団に所属する団員たちの青春と運命に翻弄される姿を描いた作品です。
国や社会背景は異なっても青春期の心模様は同じということを痛感させる秀作でした。
監督自身が舞台となった芸術団の美術係として在籍していたそうで、主役の黄軒(ホアン・シュアン)に投影された部分があるのかも知れません。

0130zhuizongまた大阪と名古屋にゲストとして参加する李霄峰(リー・シャオフォン)監督、辛鵬(シン・ポン)主演の『追跡(原題:追・踪)』は、医学部の学生と製鉄所の工員による交換殺人を描いたサスペンスです。
時間軸が交錯しながら事件を追う刑事と犯行前後の二人が描かれ、とても緊迫感のある構成で、印象的な色彩もこの映画の力強さの大きな要因となっています。

0130chengfengそして、一番楽しみにしていた韓寒(ハン・ハン)監督の『乗風破浪~あの頃のあなたを今想う(原題:乗風破浪)』は、期待通りのおもしろさでした。
レーサーの主人公がタイムスリップして若き日の父親の仲間に加わり、彼が生まれて間もなく亡くなった母に再会し自分と両親の過去をを知るというストーリーです。
プロのレーサーでもある監督だけに、カーレースのシーンもリアルで、笑いと涙の青春映画になっています。
鄧超(ダン・チャオ)と彭于晏(エディ・ポン)が、父子であり仲間という役柄を好演しており、特に老け役にもトライした彭于晏のますますの成長ぶりに目を見張りました。

0311cn20182この他、郭采潔(アンバー・クォ)主演のグルメ・コメディ『無敵名人の最強食譜(原題:絶世高手)』、雲南省とミャンマーの国境にある村を舞台に出稼ぎ家庭と母と娘の関係修復を描いた『ライスフラワーの香り(原題:米花之味)』、袁和平(ユエン・ウーピン)監督の武侠ファンタジー『奇門遁甲』、趙又廷(マーク・チャオ)と楊子珊(ヤン・ズーシャン)のサバイバル・ラブストーリー『南極の恋(原題:南極之恋)』、成龍(ジャッキー・チェン)と若手スター王俊凱(ワン・ジュンカイ)、董子健(ドン・ズージェン)らとの顔合わせによる東野圭吾原作の中国版『ナミヤ雑貨店の奇蹟(原題:解憂雑貨店)』と、豊富なジャンルの中国映画の新作を見ることができました。
そして、鄧超、黄軒、董子健、彭于晏ら旬の俳優達の活躍を実感できたのも、大きな収穫です。

大阪は明日12日まで、名古屋が12日から14日で開催ですので、ぜひこの貴重な機会をお見逃しなく!
詳しくは公式サイトをご覧下さい。
http://www.jpfbj.cn/FilmFestival/denei2018/

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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