台湾映画『淡水河の奇跡(原題:鮮肉老爸)』高炳權(ガオ・ピンチュアン)監督インタビュー!
シリーズ7作の中で一番好きな作品なので、5月には台湾文化センターでの「台湾映画上映&トークイベント〜台湾映画の"いま"」で上映し、それにあわせて台北で高炳權監督にインタビューして来ました。
監督は新作映画の撮影真っ只中でしたが取材の時間をとって下さり、たっぷりとお話しを伺いました。
このシリーズは7本のうち劇場で公開されたものが3作、あとの4作はテレビで放映されました。
台湾では映画的手法で製作したドラマ「電視電影」というジャンルがあり、主に公共電視で製作され、映画祭で上映されることも多く、劇場用映画と並んで賞の対象となります。最近では大阪アジアン映画祭で上映された『川流之島』もそうで、作品の台北電影節では尹馨(イン・シェン)が主演女優賞を獲得しています。
「電視電影」の多くがシリアスな作品ですが、この「台北発メトロシリーズ」は娯楽性が強く、台湾の映画チャンネル衛視電影台で2016年の4月に放送されました。
高炳權監督によると、『淡水河の奇跡(原題:鮮肉老爸)』はもともと連続ドラマとして企画されていたそうで、それが110分の電視電影に変わったということです。脚本も蔡顗禾が書いたオリジナルを監督が書き直していますが、完成作品にはクレジットされていません。
そして、監督は本作について「映画は予算も機材も違うので、これは電視電影です」と強調しています。
それにしてもよくできた作品で、少ない予算ゆえのチープさも逆手にとって笑わせていたり、監督のセンスと手腕は見事です。
タイムスリップしてきた自分と同い年くらいの男が父と名乗り、戸惑う息子や妹、そして中年になった妻の複雑な感情を笑いと涙で描いています。
主役の優吳慷仁(ウー・カンレン)はすでに決まっていたそうで、息子役に侯彥西(ホウ・イエンシー)をキャスティングしたのは「映画ではないので興行収入を気にすることもないし、すでに吳慷仁が決まっていたので気心知れた侯彥西を試してみました」と、前作『愛的麵包魂』でも使った侯彥西にチャンスを与えたようです。
そして本作のおもしろさのひとつとして、80年代アイドルを盛り込み、実際に当時大人気だった曹西平(ツァオ・シーピン)を出演させています。
「当時は小虎隊が一世を風靡しましたが、権利がややこしいので曹西平に依頼して彼のヒット曲を使わせてもらい2人のユニットアイドルに設定して本人にも出演してもらいました」
本人は謙遜するものの吳慷仁はけっこう歌が上手なのでこのアイドル役はぴったり、劇中のアイドルユニットが歌い踊るシーンやMVはわくわくします。
その他苗可麗(ミャオ・カーリー)の起用のポイント、タイムスリップのアイデアほか、製作中の新作映画『江湖無難事』についても聞きました。
このインタビューは、DVDリリースにあわせ7月30日からPodcast配信します。
どうぞお楽しみに!
高炳權監督プロフィル
台湾大学演劇科を卒業後、台北芸術大学の大学院で映画を学び、2006年にテレビ映画『拳擊手套布娃娃』と『愛的麵包魂』を発表。『愛的麵包魂』は2007年の台北電影節で審査員特別賞と観客賞、特別推薦監督を獲得、2007年には短編『靜夜星空』も制作。
2011年には五月天(メイデイ)のコンサートライブと3つのオムニバスストーリーで構成された映画『五月天追夢3DNA』の、コンサートライブ部分の演出を担当。
そして2012年、陳妍希(ミシェル・チェン)と陳漢典(チェン・ハンディエン)、倪安東(ニー・アントン)で『愛的麵包魂』を映画化、『パンのココロ』という邦題で東京国際映画祭で上映。
現在「106年度徵選優良電影劇本」で受賞した『江湖無難事』を邱澤(ロイ・チウ)主演で撮影中、年末から年明け頃に台湾で公開予定。
『淡水河の奇跡(原題:鮮肉老爸)』
監督:高炳權(ガオ・ピンチュアン)
出演:吳慷仁(ウー・カンレン)、侯彥西(ホウ・イエンシー)、苗可麗(ミャオ・カーリー)
◆ストーリー
『淡水河の奇跡(原題:鮮肉老爸)』(2016年)
阿給は幼い時に父親が失踪し、淡水で母が商う魚丸店を手伝いながら、自分でパブを開こうと計画している。ところが候補物件をめぐって闇金に騙され、母の店まで抵当としてとられることになってしまう。そんな折り、淡水河で溺れかけている若い男を助けると、なんとその男は自分の父親だという。男は服も髪型も80年代風で、当時のアイドルユニット「クリームチーズ」のBonyだと言い張る…。
◎DVD
8月2日発売
価格:3,800円(税抜)
封入特典:ブックレット(高炳權監督単独インタビュー掲載)
発売・販売元:ディメンション
★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。
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