2018年の台湾映画を振り返る!
『比悲傷更悲傷的故事』は10年前の韓国映画『悲しみよりもっと悲しい物語』のリメイクで、“号泣映画”という打ち出しが口コミで広がり10代の中高生の動員に結びついての2億突破だそうです。
社会背景とかアイデンティティなどとは無縁のストレートなラブストーリーと直接的な涙腺刺激がなぜここまで台湾の観客の心を掴んだのか不思議でしたが、オリジナルを知らない、台湾では珍しいタイプの映画であることが中高生に新鮮だったのでしょうか。
以前も書きましたが、作品のクォリティはさておき、張書豪(チャン・シューハオ)と陳庭妮(アニー・チェン)の好演がこの作品を支えていることを、再度強調しておきます。
ちなみに、主演コンビは劉以豪(リウ・イーハオ)と陳意涵(チェン・イーハン)です。
2位の『角頭2:王者再起』は、2015年に思いがけずヒットした黒社会映画のシリーズですが、監督もキャストもストーリーの繋がりもありません。
少年時代に苦楽をともにした二人が時代の流れと共に敵対するボスとなり、そこから抗争が…という展開を、王識賢(ワン・シーシエン)やいま売れっ子の鄭人碩(チェン・レンシュオ)の好演で想像以上におもしろかった作品です。
鄭人碩は、この演技により台北電影奨で2度目の助演男優賞を獲得、金馬奨にもノミネートされました。
地方の大家族が展開する人情コメディドラマ『植劇場-花甲男孩轉大人(お花畑から来た少年)』の大ヒットから映画も作られた『花甲大人轉男孩』は、監督もキャストも世界観もそのままに盧廣仲(クラウド・ルー)演じる主人公が子供時代にタイムスリップする作品で、1.07億を記録しました。
盧廣仲のベタつきのないシンプルな演技はドラマアワード金鐘奨で主演男優賞と新人賞をダブル受賞、今年はアーチストとしてものりにのっている彼の当たり年とも言えるでしょう。
4位はホラー映画のヒットシリーズ第三弾『人面魚 紅衣小女孩外傳』。監督は程偉豪(チェン・ウェイハオ)から莊絢維(デビッド・ジュアン)にバトンタッチし、パート2からさらに時間を遡り虎爺(フーイエ)という山神の使いをフィーチャーして魚の悪霊に取り憑かれた主人公を救うという話になっています。
久々の徐若瑄(ビビアン・スー)の主演が話題になりましたが、ここでも鄭人碩が虎爺として大活躍しました。
そして5位の『誰先愛上他的』は台北電影奨で4部門、金馬奨で3部門受賞した、圧倒的なおもしろさの作品です。名脚本家 徐譽庭(シュー・ユーティン)が若手の許智彥(シュー・チーイエン)と共同監督で作り上げた本作は、亡くなった舞台演出家の妻が夫の恋人に保険金の取り立てに行くところから始まり、夫婦、親子、恋人の愛を描いた泣いて笑えるヒューマン・ドラマです。
台北では『比悲傷更悲傷的故事』と同じくらいの成績を上げましたが、地方で弱く、同性婚の国民投票の結果とリンクしている現実が残念でした。
続く6位はホラー映画の『粽邪』。7位に10年前の台湾ドラマを映画化した切ない青春映画『鬥魚』、こちらはオリジナルキャストの安以軒(アンアン)や藍正龍(ラン・ジェンロン)らが最後の10分間に登場してオールド・ファンには涙もの。
8位にホラー映画『切小金家的旅館』、イケメン・アイドル李玉璽(ディノ・リー)と畢書盡(Bii)ダブル主役の学園ストーリー『有一種喜歡』が9位、東京国際映画祭で上映された原住民の少年と家族を描いた『只有大海知道(海だけが知っている)』が10位でした。
また、惜しくも11位だったのが社会派ミステリーの『引爆點』です。台北電影節のクロージング作品でしたが、台風の影響で上映が中止になったことで前宣伝の機会を失い、ベスト10からこぼれました。
鄭人碩といま台湾の二大売れっ子である吳慷仁(ウー・カンレン)が法学医を演じて環境汚染と政治の問題を追求し、深い人間ドラマも織り込まれた秀作だけに残念でなりません。
この他、日本を始め海外の映画祭にも出品された何蔚庭(ハー・ウェイティン)監督の時間を遡って主人公の生き方を描いた『幸福城市』、東京フィルメックスでも上映されました。
アジアフォーカス福岡国際映画祭で上映された鍾孟宏(チョン・モンホン)プロデュースで新人の黃榮昇(ホアン・ロンシェン)監督の『小美』は、9人の証言から失踪した一人の女性を浮かび上がらせていくという手法で、『幸福城市』と同様に実験的で映像が素晴らしい映画でした。
そして、LGBTの2組のカップルの愛と苦悩を描いた『親愛的卵男日記』も掘り出し物で、もっと多くの人に見て欲しかった作品です。
今年も一年間、アジアンパラダイスをご覧いただきありがとうございました。
皆さま、どうぞ良いお年をお迎え下さい!
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