台湾映画上映&トークイベント〜台湾映画の"いま"〜オリジナリティと未来へ向けて『念念』脚本を手がけた俳優の蔭山征彦のスペシャルトークで大盛況!
蔭山さんにはイベント開始時ににひと言ご挨拶をいただき、フォトセッションの後映画の上映です。
この作品は2015年4月10日台湾で公開、同年東京フィルメックスにて上映されました。
3人の若者たちの心の葛藤を繊細かつ大胆に描いた作品で、梁洛施(イザベラ・リョン)、張孝全(チャン・シャオチュアン)、柯宇綸(クー・ユールン)が演じています。
そして、蔭山さんのカメオ出演という楽しいおまけも付いています。
映画が終わると大きな拍手が沸き起こり、感動の涙で目が潤んでいるお客様もも多くいらっしゃいました。
そして蔭山征彦さんが登場し、MCがこれまでの活動歴の紹介。
2004年ドラマ「寒夜續曲」で台湾デビュー、2004年の初映画「經過(時の流れの中で)」(東京国際映画祭でも上映)で準主役、2008年「海角七號(海角七号 君想う国境の南)」のナレーターほか映画中心に活動。2009年「不能沒有你(あなたなしでは生きていけない)」の音楽を担当、2012年「手機裡的眼淚(父の子守歌)」で日本人俳優としては田中千絵以来の台湾映画初主役、大阪アジアン映画祭でも上映されました。
「KANO(KANO 1931〜海の向こうの甲子園)」では俳優として出演しているほかに若手の演技指導、演出補ほか多くの役割を担っています。
2015年自らの脚本『念念』が張艾嘉(シルヴィア・チャン)の目にとまり、脚本家デビュー、香港電影評論学會の脚本賞を受賞しました。
今回上映した『念念』で、なぜ俳優の蔭山さんが脚本を書いたのか、から伺いました。
「これは2007年頃から書き始めたのですが、常に脚本は書いていました。ただ僕は脚本をちゃんと勉強したわけではないので最初は長編は難しいと思い、「思慕」をテーマに3つの短編を書いたのが、『念念』の始まりです」
そして、その脚本がなぜ張艾嘉の目にとまり映画化されたのか…。
「知り合いの製作会社の社長にこんな話を書いたと話したら、それはいいねと興味を持ってくれました。そして脚本を見せたらいつの間にか張艾嘉(シルヴィア・チャン)の手に渡り、ある日呼び出されたのです。そこに張艾嘉が来たのでびっくりし、とてもいい脚本だから私撮るわ、と言われて更に驚きました。こんな大御所、雲の上の人から認められたことがとってもうれしかったし、自信に繋がって、僕のターニングポイントになったかなと思います」
もともとの脚本は3本のオムニバスだったそうですが、それをひとつにつなげるようにという監督の指令で、それぞれの主人公を兄と妹、その恋人という関係にして構築していったということです。
完成した映画は台湾の東に浮かぶ緑島ですが、最初の脚本では北海道の函館が舞台だったそうです。そしてヒロインは桂綸鎂(グイ・ルンメイ)、兄役は妻夫木聡のようなイメージを抱きながら書いていたと語っていました。
先述の蔭山さんがカメオ出演は、兄の育男が台風の夜にバーで不思議な体験をするシーンです。この経緯については
「鏡の中に登場する男のポスターを貼ってあるという設定はどうかと思いつき撮影の前に監督に話したら、それはいいねと言われました。そしたら数日後にスタッフから連絡が入り監督がこの男を僕にやれと言っていると。それで演じることになりました」
ということです。
撮影現場には脚本家が行くことはないのですが、蔭山さんは張艾嘉監督がどういうカット割りをするのか間近で見たい、どんな演出をするのかとても興味があったということで、撮影の邪魔はしないからとお願いしてほとんど毎日現場に行っていたそうです。
「初日に、ノートとペンを持ってやる気満々で監督がモニターをのぞいているすぐ横で僕も見ていたら、ベテランの録音の方から近すぎる、もう少し離れろと注意されました(笑)。この時のノートは今でも大切にしている宝物です。いつか僕が監督をするかもしれないので、本当に貴重な体験をさせてもらいました」
張艾嘉監督はとても穏やかで、ご自身が長い女優経験をお持ちなので、俳優達が気持ちを作るのに適した現場にするという意思で各部署に必要な時以外は大声をあげないようにと指示していたそうです。その為にとても心地よい空間だったと言っていました。
そして、香港電影評論学會の脚本賞を受賞した時、ひとつしかないトロフィーを、蔭山さんに「持って行きなさい」と渡してくれ、感激した蔭山さんは香港から台湾まで大事に手に持って帰ったということです。
続いて日本で秋に公開になる新作映画『バオバオ フツウの家族(原題:親愛的卵男日記)』についても、お話しいただきました。
この映画は二組の同性カップルが子供を持ちたいという願望から展開するヒューマン・ストーリーで、蔭山さんはイギリスに住む台湾と日本のハーフのビジネスマンという役どころです。
「僕の周りの同性愛の方々に色々聞いて、チャーミングでありながらちょっと狡猾なところもある複雑なキャラクターを演じました」
と、公開前なので、ネタバレしないように気遣いながら役作りについて語ってくれました。
『バオバオ フツウの家族』は9月に新宿のK’s cinemaほか全国順映となります。
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2019/04/post-2d5d34.html
ここまでのトークは、ADCニュースが動画で配信を開始しました。
どうぞご覧下さい。
http://www.adcvnews.com/entry/taiwancinema_12
この後会場の皆さんとのQ&A、そして恒例の抽選会では『念念』の製作会社提供の素敵なレターセットと、蔭山さん自らが持ってきてて下さった台湾の『バオバオ フツウの家族』の特性トートバッグを合計13名の方にプレゼントしました。
二度目のフォトセッションは、客席で皆さんと一緒に記念撮影。応援に駆けつけてくれた『KANO』で共演した錠者(札幌商業の投手)を演じた青木健さんと、予選大会の実況アナウンサー役をつとめた文化放送の斉藤一美さんも混じっての貴重なショットになりました。
最後のご挨拶です。
「台湾に行ってこの仕事を始め、あっという間に15〜16年の月日が流れました。色々なことをやって来ましたが、日本人として日本と台湾がもっと繋がっていけるように、自分のフィールドで活動を続けていきたい思っています」と締めくくられました。
続く、サイン会では日本公開記念のオリジナルポストカードへにサインしながら、お客様と交流している蔭山さん、中には蔭山さんの"思慕"をテーマにしたこの映画を見て感動しホームシックになったという台湾の方を慰めるひと幕もありました。
次回は、蔭山征彦さんも出演している『セデック・バレ』を、6月22日(土)と23日(日)の二日に分けて前後編を上映します。
詳しいお知らせは明日お伝えします。
主催:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター/アジアンパラダイス
協力:松澤國際影業股份有限公司/彥恩國際經紀事業股份有限公司
★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。
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