アジアンパラダイス

金鐘獎は、全てのテレビ番組のジャンルや形式ごとに賞が設定されているので、授賞式は5時間越えという長丁場になります。その中で、一番者上がるのは、やはり長編（連続）ドラマ。終盤にその各賞が発表され、立て続けに大きな賞を獲得していった『我們與惡的距離（悪との距離）』だったため、主演男優賞も吳慷仁（ウー・カンレン）が持っていくのか…という勢いでしたが、こちらはベテラン龍劭華（ロン・シャオホア）が『菜頭梗的滋味』の演技により受賞。芸歴40年にして初受賞、その喜びはひとしおのようでした。
審査員長の瞿友寧（チュウ・ヨウニン）監督が授賞式後の会見で語ったところによると、今回もっとも激烈だったのが主演男優賞だとか。最後は龍劭華と『日據時代的十種生存法則』の若手俳優吳政迪（ウー・チェンディー）との一騎打ちで、僅差でベテランの勝利となったそうです。

主演女優賞の賈靜雯（アリッサ・チア）も長いキャリアを経ての初受賞。トロフィーを受け取り、「この役に出会えたことでまた前へ進むことができます」と語り、3人のお子さんと夫である修杰楷（シュウ・ジエカイ）への感謝を述べていたのが印象的でした。
子供を殺した犯人の妹が部下として一緒に仕事をすることになるテレビプロデューサー役で、母として妻としての葛藤を見事に演じ、まちがいなく本作は代表作となるでしょう。
審査の経緯は『雙城故事（双城故事: 彼女たちの二都物語）』の曾珮瑜（ツェン・ペイユー）に競り勝ったと瞿友寧監督が言っていました。

『我們與惡的距離（悪との距離）』から林哲熹（リン・ジャーシー）、洪都拉斯【洪勝德】（ホンジュラス）、溫昇豪（ウェン・シェンハオ）の3人がノミネートされた助演男優賞では、林哲熹と溫昇豪の対決になったそうです。外に爆発させる役と、内に秘めた演技という正反対のキャラクターでしたが、内面の演技に軍配が上がりました。
これまで5回のノミネート歴があり、初めての受賞。ステージに上がった溫昇豪は「すみません、想定外でした。（ノミネート者は）みんな優秀な俳優で素晴らしい演技だから、運が良かったのでしょう。これからまた頑張らなければ、と思います」と、彼らしい謙虚なスピーチでした。

初ノミネートで助演女優賞に輝いた曾沛慈（ツェン・ペイヅー）は、テレビのオーディション銀組『超級星光大道』出身で歌手、アイドルドラマと進んできましたが、今回は『我們與惡的距離（悪との距離）』の林哲熹演じる心を病んだ弟を持つ役が評価されました。最後は『菜頭梗的滋味』の謝瓊煖（シエ・チョンシュン）との対決になったそうですが、瞿友寧監督曰く「自らの心の痛みを抱えつつも愛にあふれる姉役は見る者を感動させたということで、異議を唱える審査員はいなかった」ということでした。
「人生は様々な意外の連続です。本当にこの受賞は意外ですが、とてもうれしいです。デビューから12年、幸運に恵まれました」と、涙で声をつまらせながらスピーチしました。

と、ここで公視からニュースリリースが届きました。
開催中の釜山国際映画祭併設のAsian Film Marketで、『我們與惡的距離（悪との距離）』が脚本賞を受賞したそうです。
昨日金鐘賞で脚本賞を受賞した呂蒔媛が釜山へ飛び、トロフィーを受け取りました。
「主催者とこの作品に関わった全ての人に感謝します。更に多くの方に見ていただけることを望んでいます。心の病に苦しんでいる人、心に傷を負った人、みんな理解してもらえる暖かい社会になりますように」とスピーチしました。

『我們與惡的距離（悪との距離）』は現在U-NEXTで配信中ですが、CS衛星劇場で10月15日(火)後9:00より日本初放送。
毎週(火)後9:00／翌(土)後11:00

☆2019電視金鐘獎〜ミニドラマ・テレビ映画部門は明日掲載予定です。

※『我們與惡的距離（悪との距離）』に関するこれまでの記事

2019/08/16
台湾ドラマ『我們與惡的距離』が『悪との距離』との邦題で今日8月16日よりU-NEXTで配信開始！
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2019/08/post-f849b3.html

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