« 金馬影展 シンガポール・台湾合作映画『熱帯雨』Q&A | トップページ | 金馬影展 日本映画『ある船頭の話』オダギリジョー監督のQ&Aに永瀬正敏がサプライズゲスト! »

2019/11/20

金馬影展 台湾映画『返校』Q&A

1120detention1 台湾で今年一番のメガヒットになっている『返校』、金馬奨では作品、新人監督、主演女優、新人俳優、脚色、視覚効果、美術、アクション、編集、音効、オリジナル音楽、主題歌の最多12部門にノミネートされています。
20日の金馬影展では、エグゼクティブプロデューサーの李烈(リー・リエ)と李耀華(リー・ヤオホア)、徐漢強(シュウ・ハンチャン)監督、美術の王誌成(ワン・ジーチャン)、編集の解孟儒(シエ・モンジュー)、音楽の盧律銘(ルー・ルーミン)ら俳優以外のノミネート者が上映後のQ&Aに登壇しました。

1120detention5 本作は人気ゲームを映画化した台湾でも数少ない白色テロを大きく扱った作品で、ホラーと思われがちですが、ジャンルとしてはファンタジー・サスペンスです。
戒厳令下の台湾で、ある高校の一部の教師と生徒が禁じられている自由と民主に関わる読書会を行っていましたが、それが密告により悲惨な事態を引き起こすという物語。
エグゼクティブプロデューサーの李烈は、クランクインした時、実は製作費の半分しか資金が集まっていなかったことを明らかにしました。当時はかなり勇気の要った決断だったようです。

1120detention4 徐漢強監督は、「ゲームはプレイヤーが自分で進めていくので曖昧な部分も残しておくことができます。しかし映画はドラマ性を考えてゲームの名シーン以外に色々な物語を書き加えていきました。プレイヤーたちが特に気に入っているいくつかのシーンは、ドラマや特殊技術を考慮して諦めなければなりませんでした。でも白鹿のペンダントや壊れた恋を表す歌『雨夜花』などは残して、プレイヤーにも満足してもらえるような設定にしてあります」と、苦心の経緯を話しました。

1120detention2 美術の王誌成は、いかに立体的なイメージにして俳優達がその中に入り込めるかという部分が一番難しかったと言っていました。
編集作業に関しては、李烈がまず先入観を避けて自分の考え方で編集していく方が良いと、解孟儒に言ったそうです。

また、音楽を担当した盧律銘は当初デジタルサウンドを使う予定でしたが、この作品には時代の重圧感があるので、伝統的なオーケストラサウンドとデジタルサウンドを融合させたと語っていました。

この映画のヒットの要因は色々報道されていますが、単に人気ゲームの映画化というだけでなく、台湾の歴史の暗部が描かれていることによりこの時代を知らない若い世代が口コミで映画館へ足を運んだということも大きいそうです。
自分たちの歴史を知ることの重要性、そして今の台湾の民主と自由は決して誰かから与えられたものではなく、多くの犠牲と流された血によって自分たちが勝ち取ったものであることを、この映画で再確認したのでしょう。
香港の深刻な現状の中、この映画の意義をしっかりと受け止めなければと思います。

1120detention3 『返校』
監督:徐漢強(シュウ・ハンチャン)
出演:王淨(ワン・ジン)、曾敬驊(ツェン・ジンホア)、傅孟柏(フー・モンボー)
台湾で公開中

◆1962年の台湾、戒厳令が敷かれ政府が暴力により市民を威圧する中、翠華高校の女生徒が教室で目ざめると周りには誰もおらず、後ろ姿を見かけた憧れの教師を追ううちに下級生の男子と遭遇する。激しい風雨の中、ふたりで学校を出ようとするが門の外は洪水で行く手がふさがれ、校内に戻るしかなかった。
不気味な校舎の中でふたりが目にしたのは…。

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

 

|

« 金馬影展 シンガポール・台湾合作映画『熱帯雨』Q&A | トップページ | 金馬影展 日本映画『ある船頭の話』オダギリジョー監督のQ&Aに永瀬正敏がサプライズゲスト! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 金馬影展 シンガポール・台湾合作映画『熱帯雨』Q&A | トップページ | 金馬影展 日本映画『ある船頭の話』オダギリジョー監督のQ&Aに永瀬正敏がサプライズゲスト! »