2020大阪アジアン映画祭 グランプリはタイの『ハッピー・オールド・イヤー』!
2020大阪アジアン映画祭が3月15日に閉幕し、グランプリはタイの『ハッピー・オールド・イヤー』、来るべき才能賞は韓国のパク・ソンジュ監督、最優秀男優賞は『コントラ』(日本)の、間瀬英正、ABC テレビ賞がフィリピンの『愛について書く』、薬師真珠賞に台湾の『君の心に刻んだ名前』に演技により戴立忍(ダイ・リーレン)、JAPAN CUTS Awardは日本・香港・韓国の『ある殺人、落葉のころに』、芳泉短編賞が日本の『Hammock』、観客賞は中国・香港の『少年の君』に決定しました。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、映画祭をできるかぎり縮小、人々が集う相互の接触を減らすため舞台挨 拶、Q&A など、参加者が交流する場を割愛という対処で、ア ジアの姿を映す「上映」だけに、全力を集中した大阪アジアン映画祭の運営に関わった全ての方々に、敬意を表すると共に感謝を申し上げたいと思います。
受賞一覧
★グランプリ(最優秀作品賞)
コンペティション部門上映作品を対象に、審査委員会が最も優秀であると評価した作品に授与。副賞として賞金 50 万円 を贈呈。
『ハッピー・オールド・イヤー』(Happy Old Year)タイ
監督:ナワポン・タムロンラタナリット (Nawapol THAMRONGRATTANARIT)
<授賞理由>
現代的な独特のスタイルに定評のあるナワポン・タムロンラタナリットの才能がいかんなく発揮され、オリジナリティあふれる作品 として見る者を魅了する。物を捨てるという文明社会に生きるすべての人間が抱えるカジュアルな問題にはじまり、それにとどまら ずさまざまな問題に波及していき、深みに達する映画的な視線がすばらしい。
★来るべき才能賞
コンペティション部門上映作品を対象に、審査委員会が最もアジア映画の未来をう才能であると評価した方に授与。副 賞として賞金 20 万円を贈呈。
パク・ソンジュ(PARK Sun-joo) 監督 韓国/『家に帰る道』(Way Back Home)
<授賞理由>
この映画の時間と、ヒロインの過去が癒されていく時間が水の流れのように重なり、ゆっくりと浄化されていく過程が美しかった。 監督として今後の作品にも期待したい。
★最優秀男優賞
コンペティション部門審査委員会の総意により、本年度、特別に選出・授与された賞。
間瀬英正(MASE Hidemasa) 日本/『コントラ』(Kontora)主演男優
<授賞理由> 映画全体の狂気を体現し、緊張感を絶やさず、強烈なインパクトを与えてくれた。
★ABC テレビ賞
当映画祭実行委員会参加の朝日放送テレビにより創設されたスポンサーアワード。アジア映画の新作(一部作品を除 く)を対象に、朝日放送テレビが最も優れたエンターテインメント性を有すると評価した作品に授与。副賞として賞金 100 万 円[テレビ放映権として]を贈呈(ただし、放送用素材製作費を含む)。
『愛について書く』(Write about Love) フィリピン
監督:クリッサント・アキーノ(Crisanto AQUINO)
<授賞理由>
シリアスなテーマも織り込まれつつ、観れば明るく元気になれる、素晴らしいラブコメディである。現実世界は 4☓3、映画のシ ーンは 16☓9 で、やがて 2 つの世界が混じり合いシネスコサイズへ、と演出も非常に凝っていた。
★薬師真珠賞
薬師真珠によるスポンサーアワード。上映されたすべての作品の出演者を対象に、薬師真珠が最も輝きを放っていると評価 した俳優に授与。副賞として薬師真珠より真珠装飾品を贈呈。
レオン・ダイ(Leon DAI/戴立忍) 台湾
『君の心に刻んだ名前』(Your Name Engraved Herein/刻在 你心底的名字)助演男優
<授賞理由>
主人公⻘年の中年時代を、繊細さと緻密にコントロールされた情念で説得力たっぷりに演じきり、『君の心に刻んだ名前』に 核心的な深みと陰影を与えた。彼の演技人生の新しい一頁がここに記されたことは、間違いない。
★JAPAN CUTS Award
インディ・フォーラム部門の日本映画を対象に、米国ニューヨーク市のジャパン・ソサエティー(日本映画祭「ジャパン・カッ ツ!」主催団体)がエキサイティングかつ独創性に溢れると評価した作品に授与。
『ある殺人、落葉のころに』 日本・香港・韓国
監督:三澤拓哉(MISAWA Takuya)
<授賞理由>
腐敗した小さな町、男特有の毒性、若者の不安をひるむことなく描き切った『ある殺人、落葉のころに』は極めてよく作り込ま れた物語として、インディ・フォーラム部門の中でも際立っていた。三澤拓哉監督のストーリー構築に対する鋭い目と映画言語 の卓越した手腕が存分に発揮されている。潔く大胆でありながらも完成度の高い本作は、三澤監督の今後の作品はもとより、 日本インディペンデント映画のダイナミックかつ重要な表現の将来性について、大いに期待を抱かせるものである。『ある殺人、 落葉のころに』に JAPAN CUTS Award を授与できることを光栄に思う。
★芳泉短編賞
芳泉文化財団により創設されたスポンサーアワード。今年度映画祭で上映された 60 分未満の作品(協賛企画《芳泉文 化財団の映像研究助成》を含む)のうち、日本初上映の作品を対象に、審査委員会が最も優秀であると評価した作品に 授与。副賞として次回作研究開発奨励金 10 万円を贈呈。
『Hammock』 日本
監督:岸建太朗(KISHI Kentaro)
<授賞理由>
ほぼ全編が1軒の家の中で展開する『Hammock』は大きな悲劇と、喪失や記憶、夢、希望といった思いを、ほとんど言葉 を発しない 1 人の少女の視線から、素晴らしいバランスで描く稀有な短編作品である。さまざまな感情が重層的に描かれ、い ずれ⻑編映画になるべき作品であろう。
★観客賞
全部門の上映作品の内(一部作品を除く)、当映画祭の上映が日本初上映となる作品について、観客の投票による得 点平均が最高の作品に授与。副賞として薬師真珠より真珠装飾品を贈呈。
『少年の君』(Better Days/少年的你) 中国・香港
監督:デレク・ツァン(Derek TSANG/曾國祥)
★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。
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