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2020/03/09

2020大阪アジアン映画祭 香港映画『私のプリンス・エドワード​(原題:金都)』

0308jintu12020大阪アジアン映画祭で昨夜上映された香港映画『私のプリンス・エドワード​(原題:金都)』は、これが長編単独監督代一作目の黃綺琳(ノリス・ウォン)監督が、等身大のアラサー女性を主人公にした作品です。これまでも大阪アジアン映画祭では香港政府が新人監督を支援するプロジェクト「首部劇情電影計劃」から数々の優れた作品を紹介してきましたが、本作もその入選作。
香港電影評論学会大奬で最優秀脚本賞を受賞、台湾の金馬奨では新人監督賞や主演男優賞、主演の鄧麗欣(ステフィー・タン)が歌う主題歌もノミネートされました。
そして、今年の港電影金像賞の脚本賞、新人監督賞、主題歌賞にノミネートされています。

0308jintu3 この作品は、太子(プリンス・エドワード)に実存するショッピングビル金都を舞台に、10数年前から増えてきた偽装結婚をモチーフに、実際のエピソードをいくつか集めて構成した物語だそうです。
香港の私立探偵の仕事の多くは、偽装結婚で行方の知れない夫や妻を探し、離婚手続きをすること。偽装結婚の目的のほとんどが、香港の身分証を獲得する為に大陸の男性が香港人の女性と入籍するという状況だそうです。これによりお金を手にした20才前後の香港女性が生活の基盤をつくり、いざ本当に結婚したいと思った時に偽装結婚の相手と離婚しようとしても相手と連絡がつかない…。
本作では、まさにそういう女性の物語が描かれ、主人公の鄧麗欣(ステフィー・タン)が結婚とは、自由とは、と揺れ動く心模様を見事に表現しています。
0308jintu2 ◆ストーリー
「金都商場」のウェディングドレス店で働く阿芳(フォン)は、同棲している同じビルで結婚写真のカメラマンをしているエドワードからプロポーズされ、戸惑う。
実は、10年前に金銭目的で大陸の男性と偽装結婚していたからだ。
結婚準備と偽装婚姻の離婚手続きを同時に進める彼女の前に、戸籍上だけの夫が恋人を連れてやって来る…。
監督は小さい頃金都の近くに住んでいた為このショッピングビルのことを熟知しており、ここを舞台に映画を撮ろうと決めていたそうです。ここには劇中の主人公が働いているようなウェディングドレス店やヘア・メイク、結婚写真ほか結婚式に必要なさまざまな専門店が入っていて、とても興味を持っていたとか。
映画の中で主人公にプロポーズする男性が結婚写真のカメラマンという設定というのも、頷けます。
これを演じる朱栢康(ジュー・パクホン)はあまり馴染みのない俳優ですが、舞台での活躍が多いというだけに、硬軟自在な演技力はさすがです。
黃綺琳(ノリス・ウォン)監督は脚本家からスタートし、作詞家としても活躍。2012年短編映画『赤鱲角到天水圍是我愛你最佳距離(ミッドナイト・ドライブ)』が第21回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映され、2013年短編映画『落踏』が香港鮮浪潮國際短片映画祭で最優秀脚本賞を受賞しました。
今年32才の監督は、結婚に対して特に幻想を抱いていないそうですが、機会があれば結婚してみたいと香港のインタビューで答えています。
『私のプリンス・エドワード』は3月12日(木)16:00からABCホールで2回目の上映があります。
『私のプリンス・エドワード(原題:金都)』
監督:黃綺琳(ノリス・ウォン)
出演:鄧麗欣(ステフィー・タン)朱栢康(ジュー・パクホン)鮑起靜(パウ・ヘイチン)金楷杰(ジン・カイジエ)林二汶(イーマン・ラム)
★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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