【7日間の映画チャレンジ】ピックアップ
おこもりの日々、FBで色々なリレー投稿が行われていて、私が受け取った映画のバトンで投稿した作品中でアジア映画をまとめてご紹介します。
『ラヴソング(原題:甜蜜蜜)』。
ホンコン・ドリーム目指して大陸から来た男女の出会いと別れ、そして再会までの10年を、テレサ・テンの「甜蜜蜜」と「月亮代表心」の歌にのせて描いた珠玉のラブストーリーです。
香港からニューヨークへ、これでもかというすれ違いも、通俗とはかけ離れた陳可辛(ピーター・チャン)の見事な演出力でグイグイ胸に迫ります。
テレサ・テンの死を伝えるニュースを電気店に並んだテレビを凝視して左右から近づく再会のシーンは、見る度に涙滂沱。
だって微笑むんだもん、二人が。いろんな思いを噛みしめながら。決してガシッと抱き合ったりしない。
やられた…。
それにしても黎明(レオン・ライ)は、やっぱり白いランニングが一番似合う。
名優エリックとっつぁんも泣かせるし、張曼玉(マギー・チャン)は田舎娘から成金マダムまでほんとに巧い。
そして、この映画を通してテレサ・テンの中華圏におけるポジショニングを知ることができた事も、収穫でした。
『ラヴソング(原題:甜蜜蜜)』
1996年香港公開、1998年日本公開
監督:陳可辛(ピーター・チャン)
出演:黎明(レオン・ライ)、張曼玉(マギー・チャン)、(エリック・ツァン)
『ほえる犬は噛まない』。
シュールだけどファンタジー、残酷だけど暖かい、荒唐無稽だけどリアル。ポン・ジュノ監督は、長編デビュー作とは思えないほど鮮やかに人間を様々な角度から切り取って見せてくれました。
これを見た時、こんな映画が韓国から出てきたのか!?と、びっくり。
以来目が離せなくなったポン・ジュノ監督は、次々とあの手この手で私たちを驚かせてくれましたね。
ついには『パラサイト』でカンヌのパルムドールとオスカーまで獲っちゃったし。
教授を目指す大学講師と団地の管理事務所で働く女の子を中心に、飼い犬失踪事件を縦軸に社会への風刺をユーモアたっぷりに描き、ペ・ドゥナの魅力が満載。
いやぁ、とんでもない女優が現れた、と多くの人が思いましたよね。正義感溢れるけど空回りばかりのさえない女の子を、こんなにも素敵な自然体で体現してくれました。
エンディングテーマは、原題の『フランダースの犬』からこれをジャズアレンジした曲でかっこよかったです。
『ほえる犬は噛まない』
2000年韓国公開、2003年日本公開
監督:ポン・ジュノ
出演:ペ・ドゥナ、イ・ソンジェ、ピョン・ヒボン、キム・ルェハ
『天安門、恋人たち』
婁燁(ロウ・イエ)監督が、激動の中国現代史を背景に描く、恋人たちの心の旅を描いた作品です。
時代を変える先鋒としての大学生たちと、そこに必ず存在する愛と性、天安門事件の時代を駆け抜けた若者達たちを描いた、まぎれもない恋愛映画です。
当局から許可を得ないままにカンヌ国際映画祭に出品したことで中国国内での上映禁止と監督の5年間の表現活動禁止という処分になったのは、わずかな天安門事件のシーンよりも、中国ではこれまでにない激しいセックスシーンの多さということではないか?
1987年、北京の大学に入学したヒロインが運命の恋人と出会い、自由と民主化を求める嵐が吹き荒れる中、狂おしく愛し合い、そして激しくぶつかり合います。
ところが1989年6月の天安門事件を境に、離ればなれに。ヒロインは故郷へ帰り、そこから国内をさすらい色々な男と出会っては身体を重ねるという日々。心の中に青春の残り火をくすぶらせながらも、新しい時代を生きようともがくヒロインは、強い!
そして月日が流れても心の中ではお互いを忘れることができず、7年後に再会します。
この再会からラストへのシーン、ほとんど言葉を交わさず、というか互いに色々な思いが言葉にならない。
でもわかってしまう、もうあの日々は戻らないのだと。
(あえて書きませんが)こういう映像で締めくくる婁燁、やっぱり凄い。
この痛み。私にとって特別な1本になってしまいました。
『天安門、恋人たち』(原題:頤和園)
2006年 中国/フランス 2008年日本公開
監督:婁燁(ロウ・イエ)
出演:郝蕾(ハオ・レイ)、郭暁冬(グオ・シャオドン)
劇場にかかると、パブロフの犬のように必ず見に行っていた作品です。
ご存じのように王家衛(ウォン・カーワイ)の監督デビュー作ですが、チンピラ映画であり良質の恋愛映画でもあるこの作品、随所にこの後のスタイリッシュな作品群で熟成される王家衛ワールドの兆しを楽しむことができます。
血まみれがこんなにも美しく似合う劉徳華(アンディ・ラウ)、この頃は弟分を演じたらアジアいちの張學友(ジォッキー・チュン)、可憐な中にきりりとした芯を持ち合わせる張曼玉(マギー・チャン)が織りなす愛と友情の物語は、王傑(ウォン・キッ)の主題歌がせつなさを盛り上げ、何度見ても胸キュンなのです。
特に、「帰るな」と言われて躊躇した後に意を決して部屋への階段を上がっていく時に流れる歌声は、思い出すだけでジーン。
喧噪の旺角と対極の素朴なランタオ島が舞台になっていますが、激しいキスシーンを展開する電話ボックス、劉徳華が重傷を負いながら転げ落ちてくるフェリー乗り場の階段、夜中に駆け込む小さな医院、2001年に行った時にはランタオ島には数々の名シーンのポイントが、そこだけ時間が止まったように残っていました。
今はどうでしょうか…。
ラストの警察の庭では、はためくシートのバタバタッという音の効果、後ろを通り過ぎるバスの赤がこれから起きる悲劇を象徴し、出色のシーンになっています。
ちなみに、この映画は挿入歌が違う4つのバージョンがあります。
この事について書いた古い記事がありますので、興味のある方は以下をご覧下さい。
台湾版だけ違うラストシーン(劉徳華が死なない)についても書いてあります。
http://www.asianparadise.net/2005/06/post_4d1d.html
また、2001年のロケ地巡りレポートはこちらをどうぞ。
http://www.asianparadise.net/2001/12/post-21b7eb.html
『いますぐ抱きしめたい』
1988年香港、1991年日本公開
監督:王家衛(ウォン・カーワイ)
出演:劉徳華(アンディ・ラウ)、張曼玉(マギー・チャン)、張學友(ジォッキー・チュン)
★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。
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