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2020/05/16

2020 台北電影獎ノミネート、審査員の顔ぶれと雑感

0516tff1昨日15日に発表された「2020 台北電影獎」ノミネートについて、気になるところなどをお伝えしたいと思います。
特に決まりはないのですが、歴代のノミネートや受賞結果を見ると、台北電影獎の特徴は若手の発掘とドキュメンタリーの強さにあると思います。
最高賞である100万元大賞を獲得したドキュメンタリーの多さ、そしてノミネートを見ても顕著なのが伸びしろに期待して明日の台湾映画界を支える新世代への評価の高さ。これは、他の映画賞と一線を画しているでしょう。

0516tff2昨日のノミネート会見の最後に総監の李亞梅(リー・ヤーメイ)の質疑応答で、「残念だったのは、『江湖無難事』の邱澤(ロイ・チウ)と『灼人秘密』の吳可熙(ウー・カーシー)が主演男優と主演女優に入らなかったことだ」と言っていました。
主演男優賞は李康生(リー・カンシェン)と莫子儀(モー・ズーイ)以外の3人范少勳(ファン・シャオシュン)、曾敬驊(ツェン・ジンホア)、吳念軒(ウー・ニエンシュアン)は20代で全て初主演作品でのノミネート、范少勳は新人賞とのダブルノミネートです。
主演女優賞もまた、呂雪鳳(ロー・シュエフォン)以外の王淨(ワン・ジン)、游珈瑄(ヨウ・カーシュアン)、張雅玲(チャン・ヤーリン)、Laila Putli Pagtitahan ULAOは若手です。

0516tff3 そして、今年のノミネートを眺めると、金馬奨で話題をさらった『返校』が12部門、金馬奨ではあまり評価されなかった『下半場』が最多14部門のノミネート。
2月のベルリン国際映画祭でテディベア賞を受賞した蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督の『日子』は手堅く作品賞、監督賞、主演男優賞候補。
一方で國立臺北藝術大學卒業制作の短編『家庭式』が、作品賞と監督でもある游珈瑄が主演女優賞と新人賞にノミネートされているのも興味深いです。
同じく短編映画の『主管再見』も台北藝術大學の卒業制作で作品賞、脚本賞、新人賞ということで、今年は若い監督の短編が台風の目になるかも知れません。

0516tff4 大阪アジアン映画祭で上映された『江湖無難事(ギャングとオスカー、そして生ける屍)』は脚本賞、助演女優賞など7部門、『刻在你心底的名字(君の心に刻んだ名前)』で助演男優賞を受賞した戴立忍(ダイ・リーレン)は、こちらでもノミネート、主役の一人陳昊森(チェン・ハオセン)は新人賞に入っています。短編の『伏魔殿』はデザイン奨とアクション賞に入りました。
丁寧(ディン・ニン)が助演女優賞候補になっている『殘值』は、公共テレビの「公視人生劇展」という電視電影(テレビ映画)。これは映画的手法で製作される作品なので、この枠からのノミネートは台北電影奨では恒例。

0516tff5 さらに気になるのは、莫子儀(モー・ズーイ)が主演男優賞にノミネートされた『親愛的房客』。
これはおそらく台北電影節がワールド・プレミアになるのではないかと思いますが、鄭有傑(チェン・ヨウジエ)監督がドラマ『他們在畢業的前一天爆炸2(太陽を見つめた日々)』をはさんで映画としては『太陽的孩子(太陽の子)』以来5年ぶりの新作で、プロデューサーに楊雅喆(ヤン・ヤージャ)の名前が連なっています。
病気の大家とその孫の面倒を見ていた青年が、大家の死後に疑惑をかけられ…という内容のようです。鄭有傑監督ですから、社会問題を扱っているのだと想像できますね。

さて、どんな映画賞も異なる感覚を持つ審査員によって討議されて決まりますから、その顔ぶれも興味深いところです。
台北電影獎の審査員は映画業界のプロフェッショナルで構成され、初選、複選、決選の三段階で審査されます。
初選は長編劇映画、ドキュメンタリー、短編、アニメーションの4種に分かれて担当。それぞれの部門で選ばれた作品が次の複選に進みます。
複選の審査員はこの中からノミネート作品を選定。決戦の審査員は複選の審査員に更に広くプロフェッショナルを加えて審査員ームを結成し、本選に臨むというシステムです。

初選審査員
長編劇映画:王子維(プロデューサー)、王育麟(監督)、李啓源(監督、映画学者)、項貽斐(専門記者、批評家)、楊貽茜(監督)
ドキュメンタリー:王慰慈(映画学者)、吳耀東(監督)、黃柏喬(インディーズ・プログラムディレクター)、黃淑梅(監督)、鄭慧玲(監督)
短編:王耿瑜(プログラムディレクター、プロデューサー、監督、批評家)、洪伯豪(監督)、連奕琦(監督)
アニメーション:王世偉(監督)、王登鈺(監督)、謝春未(アニメ制作者)

複選審査員
王耿瑜(プログラムディレクター、プロデューサー、監督、批評家)、王登鈺(監督)、吳慷仁(俳優)、林良忠(カメラマン)、侯季然(監督)、蔡珮玲(美術、デザイン)、陳博文(編集)、賀照緹(監督)、鄭文堂(監督)

決戦審査員
上記の複選審査員+4名(未発表)

決戦の審査員には例年海外から招聘される映画人が加わるのですが、今年はCOVID-19の影響で海外からの招聘は断念したので、台湾の映画人オンリーの審査チームになるということです。

どんな結果になるのか、楽しみですね。

※2020台北電影奨、台北電影節に関するこれまでの記事

2020/05/15
2020 台北電影獎&国際新人監督コンペティション ノミネート発表!
http://www.asianparadise.net/2020/05/post-98715f.html

2020/05/11
2020台北電影節、映画祭大使は陳庭妮(アニー・チェン)、PR動画の監督は洪子烜(ホン・ズーシュアン)!
http://www.asianparadise.net/2020/05/post-b2f843.html

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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