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2020/08/29

2020台湾映画上映&トークイベント「台湾映画の"いま"〜進化する多様性」第3回『ここからの未来(原題:未來無恙)』オンライン開催! 台湾ドキュメンタリー映画の深さ、充実ぶりに驚嘆の声!

0805event2000年以降の台湾映画の新しい流れがどのように台湾映画の"いま"に繋がってきたのか、そして"いま"何が起きているのかをお届けする台湾文化センターとアジアンパラダイス共催のイベントシリーズ、今年は新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、オンラインでの開催に変更しています。
この上映イベントは2000年以降の台湾映画の新しい流れがどのように台湾映画の"いま"に繋がってきたのか、そして"いま"何が起きているのかをお届けし、5年目を迎えました。今年は全て新作と未公開作品で台湾映画の「進化する多様性」を伝えていきたいと思っています。
ラブ・ファンタジー、シリアスな社会派、アクション・サスペンス、ドキュメンタリー、短編、青春映画、コメディなど、ここでしか見られない話題作と注目作を集めました。
第3回は、花蓮に住む2人の貧困家庭の少女の成長を追ったドキュメンタリー『ここからの未来(原題:未來無恙)』です。

本作は賀照緹(ハー・ジャオティ)監督が7年かけて、ふたりの少女に寄り添いながら記録した映画です。
崩壊している家、それゆえに欠乏している愛、これが少女達の青春を侵していきます。
その背景にある多くの社会問題を見据えながら、未来のある彼女達の姿をどこまでこの映像を通して世に伝えるのか、監督自身の葛藤も見え隠れしています。
様々な問題を提起したこの作品は、昨年の台北電影奨で彼女達の勇気、生きる力に感動した記者達に支持され、メディア推薦奨を獲得しました。

アンケートの回答には、「秀逸なドキュメンタリー」「日本にも共通する様々な社会構造的な問題が見て取れた」「ドキュメンタリー映画を観ることはあまりないので新鮮、とても良い作品」「困難な環境の中で、それでも他人を思いやりながら生きていく2人の少女の強さが印象に残った。明るい未来を願う」「ドラマでは見かけない台湾の風景・日常に衝撃を受けた。なかなか出会うことの無い作品に出会えて良かった」「花蓮をいち観光者として去年観光してきた身としては突き刺さる内容」などと、ふだんドキュメンタリーを見る機会がない方々も、衝撃とともに色々な思いを感じられたようでした。

また、トークでの作品解説は、「作品の背景など丁寧な説明がうれしい」という声が多く、「監督の紹介から原住民についてのお話があり作品をより理解できた」「かゆいところに手が届くように作品の背景が分かるので、ますます充実した鑑賞体験になった」ほか、「これまであまりドキュメンタリーに興味がなかったが、この作品を見て迫力を感じ、今後も見たくなった」という方も何人かいらっしゃいました。
本作にあわせてお話しした台湾のドキュメンタリーの流れと現状については、「こんなに盛んであったことを今回初めて知った」「紹介された他の作品もぜひ見てみたい」「台湾ではどうしてドキュメンタリーが映画として成立するのかず~っと不思議だったが、解説を聞いてよくわかった」「台湾映画の現状を知る事が出来益々興味が広がった」ほか、うれしい感想をたくさんいただきました。

 

0829slide1この映画には、2人の少女の青春が記録されています。
青春というにはあまりに厳しい現実に直面していて、一般的な青春映画の世界とはまるで違います。
輝珍(フイチェン)と沛穎(ペイイン)は、花蓮に住む原住民の少女。
花蓮県には、政府に認定されている16民族のうち6民族が暮らす地域です。6民族は、台湾最大の原住民人口を誇るアミ族ほかサキザヤ族、タロコ族、セデック族、ブヌン族、そして、クバラン族。クバラン族は全原住民16民族のうち唯一の平地に住む民族、平埔族です。
そして、花蓮は原住民、漢人、外省人、客家人がほぼ4分の1ずつ暮らす地域でもあります。
2人の少女がどの部族であるかは特に表されていませんが、それはあまり重要な事ではありません。

0829slide2この映画の中では、台湾の有名観光地である花蓮の紹介、観光客向けの原住民の踊りや、前向きな原住民政策のニュース映像を見せています。
これは、実際に映画で語られているのがこの裏側にある現実であるという、監督の明らかな意図的メッセージです。
2016年に、蔡英文総統が原住民に対し、これまでの不平等な扱いを謝罪しました。
日本統治時代の同化・皇民化政策や、戦後の中華民国政府の方針で、原住民が持つもともとの言語や文化、尊厳が失われたことなどに言及。「われわれは今日、前へ踏み出さなければならない」として、政府を代表し謝罪しました。
原住民政策が大きく前進したことは確かですが、それぞれの生活環境や労働環境の改善にはまだまだ時間がかかりそうです。

0829slide3この映画の製作のきっかけとなったのは、2011年に監督がソーシャルワーカーと一緒に職業体験プログラムに参加したことでした。
学校に行かれない子ども達の体験を聞くうち、これを撮ろうと思ったそうです。
「最初はや確固たる動機はなかったのですが、撮影の過程で明確になってきました。青春は人を動かす。でも青春はもろくて、残酷です。残酷さに直面するには勇敢になる必要があります。私は彼らの成長に寄り添い、記録しました。」と監督は語ります。

0829slide4では、賀照緹監督がどういう方か、ご紹介しましょう。
教師の父と専業主婦の母を持つ監督は、思春期の頃はあまり楽しくなかったと言います。厳しい家庭で独自のルールに縛られてはいたものの、両親から愛される長女だったそうです。
父親から言われたことでよく覚えているのは、座っているときに足を開いてはいけない」ということ。だそうです。
愛されているゆえの心配と束縛から解放されたのは、大学へ入ってからだと言っています。

0829slide5いま思い返すと、自分はとても恵まれていたという監督は、思春期の頃、成績や入試の不安、肥満への恐怖などがあったそうですが、「この映画で彼女達を記録していると、自分のこの頃の悩みはどれも些細なことばかり。申し訳ないという言葉しかでてこない」と語っています。

0829slide62001年にインディーズバンドを記録した『縣道184之東』で監督デビュー、以来数多くのドキュメンタリー映画を製作、2014年のひまわり運動を記録した『太陽,不遠』ではプロデューサーを務めています。
その後もコンスタントに撮り続け、世界各国の映画祭に参加、そして受賞。今は台灣國家電影中心(映画センター)の理事や、臺北市紀錄片從業人員職業工會(ドキュメンタリー映画協会)の監事,台灣女性影像學會の理事など広く活躍しています。
また、映画関係だけでなく、水泳のコーチや料理家としても活動しています。

0829slide7ドキュメンタリー監督として20年、これほど被写体に近づいたのは本作が初めてで、カメラを持ったおばさんは少女達を守ることができる数少ないおとなの一人でもありました。
少女たちから秘密を託され、撮影者と被写体という境界線を踏み外すのではないかという危機感も持ったと言います。

0829slide8過疎、原住民、貧困、学校へ行かれない、2人の主人公の身の上からは多くのキーワードが読み取れます。しかし問題はそんなに簡単ではありません。これは構造的な貧困問題だと監督は言います。
貧困の特効薬はない。セメントで固められたような構造的な貧困問題から脱出するのは容易ではない、と。
社会の主流にいる人たちは、なぜ自分で努力しないのだと非難しますが、輝珍(フイチェン)のような子にとっては、日常の中で処理しなければならない問題が多すぎて、高校を卒業するのもままならない状況です。

0829slide9さて、台湾には、この映画で追った輝珍(フイチェン)と沛穎(ペイイン)のように、様々な要因で家庭にいられない子どもが5000人近くいるそうです。そのうち30%が里親のところ、70%が施設にいます。施設を出た後、より良い場所が見つからない場合、子供は傷ついた場所=家庭に戻らなければなりません。
この映画の輝珍(フイチェン)がそうですね。
こどもの安全の為に、一日も早い行政の改善が必要だと思います。

0829slide10そういう社会の中で、この映画で記録される少女たちはそれぞれの現実により、自分の力で早く大人にならなければならなりませんでした。
アルコール依存症の母と8人の兄弟を守ろうとしている輝珍(フイチェン)は、家族を守りたいという一心でテコンドーを身につけ、自分の境遇を嘆くことはなく、周りの人を気遣います。耐えがたいこと、悲しみ、喜び、その全てが彼女を勇敢な人に変えました。

0829slide11恋人の家で同居する沛穎(ペイイン)は、愛を求め新しい家族を持つことを急ぎます。
なぜ自分の家に帰らないのか詳しくは描かれていませんが、色々な事情から、自分の居場所を探しているのでしょう。
ただ、子供が生まれてお祝いに来た実家の母親が、パートナーと手を繋いで帰って行くのを見送る沛穎(ペイイン)の表情が複雑な事情を感じさせます。

0829slide12監督はこの映画はでおよそ100ものバージョンを編集しています。
というのは、なぜ彼女たちのストーリーをみんなに見せたいのか?という自問自答を繰り返しながら完成へ向かっていたからだそうです。
数年間に及ぶ撮影期間中、繰り返し彼女たちの意思を確認ながら記録していったものの、「彼女達は犠牲者でなく、ひとりで立ち上がる戦士。こういう二人を受動的に切り取るのは難しい」という思いも、その迷いを助長させていたようです。
最終的に、監督が多くのカットを放棄したのは、映画が完成した後も、少女達は自分の人生に向き合わければならないから。という判断でした。

0829slide13そして、監督は映画の公開後の影響を恐れたと言います。彼女達が心ない人たちの悪意にさらされたり、危害を加えられたりしないか。そういう恐怖とも真っ向から対決しなければなりませんでした。
しかし完成した本作はニューヨーク、オランダ、ポルトガル、釜山、イギリスのシェフィールド、シンガポールの映画祭に出品して高評価を得て、台北電影節ではメデイア推薦奨を獲得しました。

0829slide14授賞理由は
「この映画は二人の少女の人生を個人的に記録したもので、ここで表される様々な問題は氷山の一角に過ぎないが、傷つきながらも、彼女たちの生命力の強さを見ることができる。 監督と二人の少女の信頼関係は、映画のいたるところで確認できる。これに基づいて、監督は二人の少女に忠実であり、抑制された方法で撮影され、二人の少女の並外れた勇気が画面を通して伝わって来る」
というものでした。

0829slide15台北電影節で舞台挨拶に立った2人。
輝珍(フイチェン)は「皆さんが周りの人々を愛してくれることを願っています。 母はかつて私が彼女を憎むかどうか尋ねました。そして私は許すと言いました。 人は、永遠に憎しみの中で生きることはできません」と言いました。
沛穎(ペイイン)は涙で言葉が出てこなくて、途切れ途切れの言葉から監督が「前は自分のことを可哀想だと思っていました。でも今は自分を愛する方法を知っています」とまとめました。
勇敢な彼女達には、きっとより良い未来が待っているでしょう。

0829slide16ここからは、台湾のドキュメンタリー映画の歩みと現状についてお話しします。
この上映イベントでも、『餘生–賽德克巴萊餘生(原題:セデック・バレの真実)』『擬音』『明日へのタッグ(原題:拔一條河)』を上映しましたが、台湾ではドキュメンタリー映画の製作が活発で、映画祭や上映会だけでなく劇場で公開され、"普通に見る映画"として親しまれています。
長い統治の歴史の中で、最初は統治者側の社会的矛盾を覆い隠すための道具として利用された時代や、政府主導の教育や宣伝的なものがありましたが、1960年代後半から徐々に新しい作家達が"自分たちの生活や社会"を描く作品が生まれました。
そして1990年頃から民主台湾のアイデンティティを追求するツールとして作品を世に送り、興行成績も映画賞も、劇映画と同じ土俵でしのぎを削っています。

0829slide17日本で最初に台湾のドキュメンタリー映画が話題になったのは、2003年の『無米樂』(顏蘭權・莊益增共同監督)ではないかと思います。
この映画は台南の農家の生活から後継者問題、政治まで浮き彫りにしたものですが、決して堅苦しいものではなく、笑いとペーソスのバランスが見事で、東京国際映画祭でも話題になりました。台湾では大ヒットし台北電影節でグランプリを獲得しています。

0829slide182005年には器械体操の少年達を描いた林育賢(リン・ユーシェン)監督の『翻滾吧男孩(ジャンプ!ボーイズ)』が金馬獎の最優秀ドキュメンタリー賞を獲得し、日本でも一般公開されました。
7人の少年達は来日して、とても可愛かったことを覚えています。そして、2017年に、この少年たちのうち2人が今年予定されていた東京オリンピックを目指し日々奮闘している姿を記録した『翻滾吧男人』を製作し、間に劇映画として作った『翻滾吧!阿信』を含め、最終的に三部作になりました。

0829slide19ドキュメンタリー映画の活況は、台北電影節でも証明されています。
2010年の『乘著光影旅行(風に吹かれて―キャメラマン李屏賓(ルビ:リー・ピンビン)の肖像)』(姜秀瓊・關本良共同監督)から『沉沒之島』(黃信堯監督)『爸爸節的禮物-小林滅村事件首部曲』(羅興階・王秀齡共同監督)『金城小子(Hometown) Boy』(姚宏易監督)『築巢人(A Rolling Stone)』(沈可尚監督)『不能戳的秘密2:國家機器』(李惠仁監督)と、なんと2014年まで5年連続で最高賞の100万元大賞を獲得しているのです。

0829slide202013年の台北電影節のエントリー締切に間に合わなかった齊柏林(チー・ボーリン)監督作品『看見台灣(天空からの招待状)』は、金馬獎で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。そしてドキュメンタリーとしては最大の2.2億元という興行収入を上げ、劇映画に混じって歴代14位というすごい成績を残しました。

0829slide21『看見台灣(天空からの招待状)』は台湾の美しい自然と、環境汚染によってそれが破壊される様子をヘリコプターからの空撮による映像で見せ、感動と問題意識を呼び起こしました。
齊柏林監督はこのパート2を撮影中にヘリコプターが墜落、この一作だけを残して旅立ってしまいました。
大阪アジアン映画祭で上映され、日本での一般公開の時は、西島秀俊がナレーションの吹き替えをしています。

0829slide22次に話題になったのは、2015年、日本統治時代に台湾で生まれ育った日本人たちを記録した黄銘正(ホアン・ミンジェン)監督の『湾生回家』です。
見知らぬ祖国・日本に送還された「湾生」の人々が、生まれ故郷である台湾に里帰りし、懐かしい人々を探し求める姿を追った感動の記録で、台湾では大ヒット。
2016年に大阪アジアン映画祭のオープニングを飾り、秋に日本でも配給されて大きな話題を呼びました。

0829slide23この年はもう一本話題の作品がありました。
金馬奨50周年に伴い、政府文化部からのオファーを受けて製作した50年の台湾映画の歴史をたどるドキュメンタリー『あの頃、この時(原題:那時此刻)』です。
台湾ドキュメンタリー界の第一人者、楊力州(ヤン・リージョウ)が、一年かけて監督や俳優ほか関係者の証言を集め創り上げた、歴代最強の豪華キャストの記録映画です。桂綸鎂(グイ・ルンメイ)がナレーションをつとめたことでも話題になりました。
これも大阪アジアン映画祭で上映された後、他にも上映の機会がありました。

0829slide24そして2016年に発表された日本統治時代台湾の文学者たちの活動テーマにした、黃亞歷(ホアン・ヤーリー)監督の『日曜日式散步者』のように、ドキュメンタリーとしてもこれまでの常識を破るような斬新な手法の映像作品が出てきたことは、うれしい驚きでした。
これも、日本で買い付けられて一般公開しました。

0829slide25そして2018年、台湾の伝統芸能、布袋戯の大家である李天禄(リー・ティエンルー)を父に持つ人形操演師陳錫煌(チェン・イーファン)が、プレッシャーの中で独自の人生を歩んだ姿を描いた『紅盒子(台湾、街かどの人形劇)』が台湾で公開されました。
これは、台湾ドキュメンタリー界の第一人者、楊力州(ヤン・リージョウ)の作品で、2019年に大阪アジアン映画祭で上映された後、一般公開されました。

0829slide26この後も、優れたドキュメンタリーが次々作られていますが、最近の面白かった作品をご紹介します。
まず、去年の12月に公開になってヒットした『黑熊來了』。
これは、動物学者で屏東科技大學野生動物保育研究所副教授である黃美秀(ホアン・メイショウ)の11年にわたる臺灣黑熊の生態を追ったドキュメンタリーです。

0829slide27ちなみにこの黑熊は、台湾観光のゆるキャラ喔熊=「Oh!Bear」です。
毎年10月過ぎに、台湾の黑熊は各地の山岳地帯を縦走します。長年黑熊の生態を研究調査とをしている黃美秀のチームは、2ヶ月前に山へ入り、罠を仕掛け、野生の黑熊と出会うのを待ちます。
何故なら、台湾の絶滅危惧種の黑熊の安全を守り快適な生活をおくれるようサポートする為。
熊に出会うと、チームは麻酔銃で熊を眠らせ、その間に身体測定や採血をし、タグを付けるのです。その様子がもちろん真剣なのですが、時にユーモラスで、とても興味深い映像でした。

0829slide28もうひとつは、台湾最大のインディーズ音楽レーベル角頭音樂の20年の歴史を綴ったドキュメンタリー『我不流行二十年』。これは去年金馬影展で上映されて、興味深かった作品です。
アーチストとして、プロデューサーとして活躍する“台湾インディーズ音楽の父”と呼ばれる張四十三は、台湾最大のインディーズ音楽レーベル「角頭音樂」を立ち上げました。

0829slide29彼は陳建年(チェン・ジエンニエン)、紀曉君(サミンガ)、五月天(Mayday)をはじめ多くのアーチストやバンドを発掘して育て、「Ho-Hai-Yan Music Festival貢寮国際海洋音楽祭」という大きな音楽イベントを続けていましたが、最近行き詰まり、角頭音樂をたたんで引退しようと考えます。
張四十三が角頭音樂を率いる苦労、見えない展望、引退も視野に含めた迷いを軸に作られたこのドキュメンタリーは、世界的に抱える音楽業界の問題点の縮図にも見えました。

実はこの2作、今年ここで上映したかったのですが、諸事情により契約ができませんでした。
どこかでまた見られる機会があれば…と期待したいです。

0829slide30さて、台湾には多くのドキュメンタリー作家がいます。
現在、その筆頭と言われるのが、1996年から一貫してドキュメンタリーを撮り続ける『台湾、街かどの人形劇』などの楊力州(ヤン・リージョウ)監督です。

0829slide31そして、2006年に金馬獎でドキュメンタリー映画賞を受賞した花蓮の中学校のサッカー部の少年たちを描いた『奇蹟的夏天』は、共同監督をしたのが張榮吉(チャン・ロンジー)監督です。
張榮吉はこの後『逆光飛翔(邦題:光にふれる)』ほかの劇映画で、才能を発揮しています。
今年は台北電影節で、新作『下半場』が、観客賞や監督賞を受賞しました。

0829slide32そのほかにもたくさんいるのですが、なかなかドキュメンタリーだけで生活していくのは難しいようで、他の映画のプロデュースや脚本ほか製作スタッフをする人が多く、中にはジャーナリスト、テレビの司会者をしている人もいます。
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督作品などの有名カメラマン姚宏易(ヤオ・ ホンイー)のように、一作だけ監督として作った作品が台北電影奨で受賞するという特例もあります。
また、張榮吉のように楊雅喆(ヤン・ヤージャ)、林正盛(リン・ジェンシェン)、趙徳胤(チャオ・ダーイン)、侯季然(ホウ・チーラン)、沈可尚(シェン・カーシャン)、黃信堯(ホアン・シンヤオ)など劇映画中心ですが、ドキュメンタリーも製作している監督もいます。

0829slide33今年の台北電影節にエントリーしたドキュメンタリーは49本、写真はノミネート作と受賞作ですが、何故こんなにも多くのドキュメンタリーが作られるのか…。それは張榮吉(チャン・ロンジー)監督のインタビューでわかりました。
「台湾には撮りたいテーマ、撮らなくてはいけないテーマがたくさんあるから」
かつて韓国のイ・チャンドン監督が、台湾のドキュメンタリー映画はどうしてこれほど素晴らしいのかと不思議がったそうですが、"社会を映しだす鏡"であるドキュメンタリー映画は、政治や社会問題から人々の暮らしの隅々まで台湾のアイデンティテイーとも大きく関わっており、監督たちの創作者魂を震わせているようです。
そしてそれをしっかりと受け止める台湾の観客達がいることが、台湾映画の底力となっているのではないかと思います。

0829slide34では、台湾の最新情報をお伝えします。
11月5日に開幕する、2020金馬影展のオープニング作品が発表になりました。
ひとつは2017年に『大佛普拉斯(大仏+)』で新人監督賞と脚本賞を獲得した黃信堯(ホアン・シンヤオ)監督の新作『同學麥娜絲』です。
これは、ティーショップの常連4人の恋愛や結婚、仕事、友情のトラブルなどが人情の機微と風刺を交えて描かれる作品。
去年金馬奨で助演男優賞に輝き、売れっ子の劉冠廷(リウ・グアンティ)、台湾映画界の中軸を担う鄭人碩(チェン・レンシュオ)、鍾孟宏(チョン・モンホン)作品の常連の納豆、そして映画、ドラマ、舞台で活躍する施名帥(シー・ミンシュアイ)がメインキャストです。

0829slide35もう一つは、台湾映画は久々の桂綸鎂(グイ・ルンメイ)主演作『腿』。
競技ダンスの夫婦を描いた物語で、夫役は楊祐寧(ヤン・ヨウニン)。
足の切断手術で夫を亡くした妻が夫の身体を傷つけないようにしたいと思うのですが、病院側とトラブルになり…というストーリーで、男女の愛の苦楽を描いているそうです。
コメディなのかシリアスなのかわかりませんが、かなりの期待作だと思います。
※参照記事
http://www.asianparadise.net/2020/08/post-0dca2f.html

このトークはアーカイブとして11月末まで残し、公開することにしました。
映画をご覧になっていない方にとってはあまり有用ではないかも知れませんが、後半のドキュメンタリー映画の歴史と現状については、お楽しみいただけると思います。
https://v.classtream.jp/tw-movie/#/player?akey=a8d95349c8e6fc914d77e938435eee88

次回は、すでにお知らせしていますように、9月12日(土)14時から。
呉慷仁(ウー・カンレン)がアクションに挑戦したクライムサスペンス『狂徒』です。
申し込みは8月31日(月)午前11:00より。時間が変わりましたので、ご注意下さい。

主催:台北駐日経済文化代表処台湾文化センター/アジアンパラダイス
協力:大照國際影像有限公司

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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