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2020/10/10

2020台湾映画上映&トークイベント「台湾映画の"いま"〜進化する多様性」第6回『アウトサイダー(原題:鬥魚) 』オンライン開催!懐かしさと新しさを!

1010flier2000年以降の台湾映画の新しい流れがどのように台湾映画の"いま"に繋がってきたのか、そして"いま"何が起きているのかをお届けする台湾文化センターとアジアンパラダイス共催のイベントシリーズ、今年は新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、オンラインでの開催に変更しています。
この上映イベントは2000年以降の台湾映画の新しい流れがどのように台湾映画の"いま"に繋がってきたのか、そして"いま"何が起きているのかをお届けし、5年目を迎えました。今年は全て新作と未公開作品で台湾映画の「進化する多様性」を伝えていきたいと思っています。
ラブ・ファンタジー、シリアスな社会派、アクション・サスペンス、ドキュメンタリー、短編、青春映画、コメディなど、ここでしか見られない話題作と注目作を集めました。
第6回は、2004年に大ヒットした純愛青春ドラマの、時代を1987年に移して映画化した『アウトサイダー(原題:鬥魚) 』を上映しました。

ドラマ版を見ている方には懐かしさを感じていただき、見ていない方でも映画として楽しめたという声をアンケートで多くいただきました。
「テーマ、ストーリーはたしかによくあるパターンだと思いましたが、きらきら若者たちを見ていると2時間があっという間。台湾では1987年を背景にした映画が多いんだなとあらためて感じた」「恋愛+アクションで見ごたえ十分、新旧の役者がコラボする演出は素晴らしいアイディアだと思った」「映画版は期待通りの完成度で 終盤のドラマキャストと曲が流れた時は 泣けた」「ドラマとは時代が違いますが違和感なく入っていけた。14年後のシーンで藍正龍が出てきた時は思わず声をあげた」「時代の情景と友情や家族の関係、縛られた生活から解放された主人公の変化と恋愛、全て良かったです。涙が止まらなかった」

アフタートークの感想でも、ドラマからの経緯をお話ししたことでより理解を深めていただき、新世代俳優達についても着たいと興味を持っていただけたようです。
「ドラマ版のことからこの映画の背景、キャストのことまでとてもよくわかり、作品への深みが増した」「毎回台湾映画やドラマについて新しい知識が得られて素晴らしい」「面白さと感動が伝わる解説。最新情報はここでしか聞けない貴重な話なのでありがたい」「台湾の若手俳優がよくわかった。どんな映画に出演しているのかが良く分かり、次に繋がるトーク」「この映画の背景やドラマとのつながりなど、とても有益」「30分があっという間!ドラマのおっかけをしたいと思った」「今回紹介された若手俳優を注目しながら、今後も台湾映画を観たい」

1010outsider0本作は不良とお嬢様の恋、という古典的ラブストーリーですが、2018年の興行収入第七位という成績を上げました。
もちろん大ヒットドラマのリメイクということと、当時のメインキャストがその後のキャラクターとして登場する話題性は、宣伝効果として充分だったでしょう。
私はロードショーで見逃したので、台北市内の名画座ミニシアターにこの作品を追いかけました。
懐かしさと、終盤に当時のメインキャストが出て来た時には涙滂沱。
きれいなシネコンでなく、80年代の雰囲気たっぷりのミニシアターで見たのも、感情を高める大きな要因だったかも知れません。

1010outsider1まず、2004年のドラマについてお話ししましょう。
2002年の「流星花園~花より男子」から始まった台湾ドラマは、日本のコミックスを原作とした「イタズラなKiss」や「薔薇之恋〜薔薇のために」がヒットして一大ブームを起こしました。こういったドラマが続く中、台湾のオリジナル作品も作られ始め、ネット小説をドラマ化したのがこの「アウトサイダー~闘魚~」です。
ラブコメが中心だったアイドルドラマの中で異彩を放った"痛い青春ドラマ"は人気となり、記録的な視聴率を上げ、“臺灣版古惑仔”とも呼ばれました。
郭品超(ディラン・クォ)というスターを生み出し、安以軒(アン・アン)、藍正龍(ラン・ジェンロン)、張勛傑(マイケル・チャン)らが織りなす愛と友情の物語は、多くの人を夢中にさせました。

1010outsider2放送終了後、多くのファンの声に応え、シーズン2が製作され、オリジナルメンバーに人気アイドル羅志祥(ショウ・ルオ)が加わるという強力な布陣になりました。
この続編は、第1シリーズ中盤の第10話、第11話の間で空白だった4年間の真実を描いたもので、羅志祥はヤクザ組織の壊滅を任務とする潜入捜査官役として登場します。
主人公ユーハオと親友になりますが、一方でユーハオの恋人であるシャオイェンツに思いを寄せ、使命と友情そして愛情の間で揺らぐ切ないドラマが展開します。

1010outsider3監督は、ドラマ版と同じ柯翰辰(クー・ハンチェン)、若手の胡寧遠(フー・ニンユエン)も参加しています 。
柯翰辰監督は言承旭(ジェリー・イエン)主演のドラマ『君には絶対恋してない~就想賴著妳』ほか、大陸でドラマを多く手がけています。
映画はこの『アウトサイダー』だけになります。

1010outsider4さて、この14年前のドラマがなぜ映画として蘇ったのか、この作品のキー・ウーマンであるプロデューサーに聞いてみました。
プロデューサーの柯宜勤(クー・イージン)は、もともと原作を読んだ時にこの物語は映画にふさわしい題材だと思っていたので、ご自身の会社「多曼尼」が映画製作を始める時に、第一弾としてこれを選んだ、ということです。
実はこのプロデューサーは、台湾ドラマブームのきっかけとなった『流星花園~花より男子』の一年前に、『明星学園(原題:麻辣鮮師)』というドラマを作り、後に社会現象にもなったF4のメンバーとなる言承旭(ジェリー・イエン)や朱孝天(ケン・チュウ)をいち早く起用し、その他多くの若い俳優や歌手をこのシリーズに抜擢して、この会社はアイドル製造機と言われていました。

1010outsider5ドラマ版は、藍正龍が演じたシャンヅが語る20話に及ぶ物語ですが、この映画版は主人公達の10代の時期に絞り、とてもよくまとめられています。
特に時代を1987年に設定したことで、戒厳令解除という社会背景の中で、厳格な家庭で両親の言われるままの生活から自由を求めるヒロインの気持ちが強調されています。
また、ユー・ハオが校内放送で、もう縛られることにない自分たちの未来を全校生徒に伝え、始末書を紙飛行機にして飛ばし、生徒達がそれに触発されて学校の中庭に無数の紙飛行機が飛び交うシーン。ここはとても象徴的で素敵ですね。

1010outsider6さて、ドラマのヒットと共に、F.I.Rが歌う主題歌「Lydia(リディア)」も話題になり、歌っているF.I.R.も人気アーチストの仲間入りを果たしました。
F.I.R.は男性2人に女性ボーカルという、いわゆるドリカム編成で、Folk rock、Rock、Jazz、レゲエといった様々なテイストを盛り込み、歌詞には愛、社会現象、宗教、心理、哲学的な視点も加えられていました。
この主題歌「Lydia(リディア)」のヒットで、台湾の大きな音楽賞「金曲奨」で、新人賞を受賞しています。
切ないメロディーと、表現力豊かなボーカルが、この作品の大きく後押ししました。

1010outsider7では、キャストをご紹介しましょう。
ヒロインの王淨(ワン・ジン)は、いま台湾で一番勢いのある若手女優と言って良いでしょう。
小説家としても活躍する才女で、映画やドラマで次々主演してきましたが、本作やドラマ『子供はあなたの所有物じゃない モリーの最後の(原題:你的孩子不是你的孩子 茉莉的最後一天)』、『あすなろ白書』の主役に続き、2019年に一番話題を呼んだ映画『返校』に主演。
この演技で金馬奨の主演女優賞にベテラン勢の中で唯一の若手ノミネート者となり、今年の台北電影奨では見事に主演女優賞を獲得しました。

1010outsider8王淨は、すでにこの原作を読んでいて、とても感動し、自分でもこういう作家になりたいと創作活動を始めたということです。
ですから、このオファーが来た時はとても光栄だと言っています。
プロデューサーは、設定した時代の従順さがありながら、強い意志を持った目をしていたので、この役にピッタリだと思ったと起用の理由を語りました。

1010outsider91987年の少女を演じるにあたり、王淨は当時を描いた本や映画を見て保守的な生活の中での少女像を作っていったそうです。
監督からは、映画版の小燕子は、反逆精神を強くして、従順でなく自由を求める女性にして欲しいとだけ言われ、それ以外は自由に演じさせてくれたと言っていました。
ユー・ハオと知り合ったことで解放されていく自分を、バイクの風を受ける手の動きで表現しているのは、とても印象的なシーンです。

1010outsider10于皓を演じた林柏叡(チャールズ・リン)は、モデル出身で、俳優としては2017年にドラマ出演、本作がスクリーンデビューになります。
この役は多くの候補者をオーディションし、かなり長い時間をかけて討論したそうですが、最終的に林柏叡の声に惹かれるものがあったので選んだと、プロデューサーが言っていました。
初演の郭品超からは、「自分の于皓を創り上げていた」とプレミアで褒められていましたが、郭品超よりも熱のある感じが出ていましたね。。
今は、大陸での仕事がメインになっているようです。

1010outsider11于皓の仲間でヒロインに片想いしている單子(シャンヅ)役の吳岳擎(アンデイ・ウー)は、有名監督王小棣(ワン・シャオディ)が主宰する若手俳優育成プログラムQ Placeの出身で、すでにドラマ5作品に出演。この後、王淨とはドラマ「あすなろ白書」でも共演することになります。
映画は、2017年にゲスト出演はありますが、本作が本格的なスクリーン・デビュー作。
單子のような反逆少年を演じるにあたり、「可愛い犬系に見えるけど、狼のような野生の側面もあるので、挑戦を恐れず修行する」と言っていました。
その修行の成果は、阿豹(アバウ)を殺すシーンの表情で出ていたと思います。初演の藍正龍を彷彿とさせるものがありました。

1010outsider12もう一人の仲間阿奇を演じた林輝瑝(リン・フイファン)と、小燕子の親友役虹茜(ホン・チアン)も、これが映画初出演です。
どちらも初演のキャストのイメージを受け継ぎつつも、フレッシュな魅力でそれぞれの役を好演していました。
林輝瑝は今年『哈囉少女』という新作に出演していますが、甘いマスクと柔軟な演技で、ますます幅を広げて欲しいですね。
虹茜はまだ大学在学中で、女優活動は本作だけ。製作会社の「多曼尼」のマネジメント部門に所属しているので、これからの動向は要チェックです。

1010outsider13主人公たちの適役で悪玉阿豹(アバウ)を演じたのが、邱宇辰=毛弟(モーディ)です。
毛弟は、模範棒棒堂というテレビ番組からデビューしたアイドルで、JPMというグループのメンバーです。
2008年に林書宇(トム・リン)監督の『九月に降る風(原題:九降風)』でスクリーンデビューし、映画やドラマでも活躍。
本作では初の悪役で、レイプシーンもあり、ファンからの反発を恐れて、SNSを一ヶ月封鎖したということです。
私も取材する事が多く良く知っているので、こういう役もできるようになったのだ…と、なんだかお母さんのような気持ちで見ていました。
役の幅が広がり、これからも楽しみです。

1010outsider14そして、ドラマのオリジナルメンバーたちが、終盤でそれぞれのキャラクターの大人になった時代を演じて、ドラマファンを泣かせてくれます。
ヒロインを演じた安以軒は、『アウトサイダー』シリーズでブレイクし、続くドラマ『秋のコンチェルト(原題:下一站,幸福)』の成功後は大陸に拠点を移し中国の時代劇ドラマや映画で活躍しています。
今回は特別出演するだけではなく、この映画版の投資家として、またプロデューサーとしても名を連ね、久々に台湾に戻ったことでも話題になりました
單子との再会シーンは、こちらも色々な思いがつのって胸がいっぱいになります。

1010outsider15私がこの映画を見て一番泣けたのは、藍正龍の登場シーンです。廃車置き場に14年後の文字が出て「Lydia」が流れる。なかなか藍正龍の顔を映さないじらされ方も、涙腺を刺激するのに充分でした。
藍正龍はいまさら説明するまでもない俳優ですが、アイドルドラマからシリアス作品、コメディまで本当に幅広い演技を見せてくれ、今年のこの上映会の第一回『ぼくの人魚姫』は初の監督作品です。
今回は最後の短い出番、そして台詞も「小燕子、まだピアノは弾くのか?」のひと言だけですが、その動きと表情は多くを語っていました。
單子はきっと、一生小燕子を見守っていくのでしょう。

1010outsider16本作でブレイクした張勛傑は、一貫してドラマで活躍しています。映画は本作が初というのは意外ですね。
今回ゲスト出演した時は、林輝瑝がずうっとそばで張勛傑の演技を見ていたそうです。そして14年前の阿奇がそのままそこにいたことに驚いていたということです。
確かに、明るくて元気な阿奇そのままで、紅豆に頭が上がらない様子は懐かしさに溢れていました。

1010outsider17そしてその紅豆を演じた陸明君は、当時すでにアイドルドラマでひっぱりだこ、その後も変わらずの大活躍です。
キリッとした独特の雰囲気が持ち味で、今回もその魅力をあますところなく見せてくれました。
今回の特別出演に際しては、14年前の現場が甦り、当時の自分を思い出してとても愛おしい感じがしたそうです。
ドラマ版では終盤に命を落としてしまうのですが、この映画では相変わらずの強気な姐さんぶりを見せてくれ、阿奇と結婚式を挙げるという結末は、唯一ハッピーな気持ちにさせてくれ、とてもバランスの良い構成だと思います。

1010outsider18このオリジナルメンバーたちの出演は、最初から計画されていたのか、プロデューサーに聞いてみました。
そうすると、当初は予定がなかったが、製作過程で色々話し合っていくうちに、新人たちとオリジナルメンバーの組み合わせはマーケティング的にも有効なのでは、ということになったということです。さすが敏腕プロデューサー。
ストーリー上、于皓は死んでしまうので、14年後に郭品超(ディラン・クォ)の出番がないのは残念ですけど、これはしかたありません。

1010outsider19でも、公開時のプレミアには、郭品超も駆けつけました。
新キャストとオリジナルキャストが集結し、たいへんな盛り上がりだったそうです。
大陸で撮影中だった郭品超は、この為に台湾に戻り、 自分の役を新たに演じる林柏叡は弟みたいなものだと言っていました。
そして、映画版では阿奇と紅豆が結婚する設定なので、張勛傑が陸明君にひざまずいてプロポーズする一幕もありました。

1010outsider20ここからは、明日を担う若手俳優たちについてお話しします。
まず筆頭は、ご覧いただいた『アウトサイダー』の王淨ですね。
さきほどご紹介したように、デビュー3年にして高い評価を得て、昨年の映画『返校』で大ブレイクしました。
2017年のデビュー作『痴情男子漢』は『全ては愛のため』という邦題で京都国際映画祭で上映されました。
準主役ではありますが、しっかりと存在感を示しています。

1010outsider21王淨の名前を大きく知らしめた『返校』は、人気ゲームを映画化して興行収入 2.59億台湾ドルを叩き出し、金馬獎でも5つのトロフィーを獲得しました。
単にヒットと受賞というだけでなく、白色テロと正面から向き合った題材は、10代の若者たちが台湾の歴史を再認識する絶好の機会となり、台湾映画史的にも特筆すべき事象だと言えます。
激戦だった台北電影奨の主演女優賞を獲得したのは、独特の気質とインパクトを持つキャラクターを創り上げたということで、ベテラン勢を制しました。

1010outsider22この後も3本の映画が公開町となっており、2018年のメガヒット映画『悲しみよりもっと悲しい物語(原題:比悲傷更悲傷的故事)』のドラマ版が来年放送という超売れっ子ですが、どういう俳優になりたいか聞くと、
「影響力のある俳優になり、より多くの人々が動物保護の問題に関心を持ってもらえるようになることを願っています」というちょっと驚きの答えでした。
そして、作家でもある彼女は「創作活動は私にとって人生の別の旅であり、絶対に諦めません」ということです。

1010outsider23その王淨と共に『返校』でブレイクしたのが、曾敬驊(ツェン・ジンホア)。
オーディションで1万人の中から選ばれた新星で、まだ22才。金馬奨で新人賞に、台北電影節では主演男優賞にノミネートされました。ドラマでは、Netflixで配信中の『次の被害者(原題:誰是被害者)』で主役の張孝全(チャン・シャオチュアン)の少年時代を演じ、台湾語による工事職人たちのドラマ『做工的人』に出演。
期待の新人として、早くも色々な経験を積み始めています。

1010outsider24曾敬驊の二作目の映画は、いま台湾で公開中の今年の大阪アジアン映画祭で上映された『刻在你心底的名字(君の心に刻んだ名前)』。
戒厳令解除直後の男子高校生ふたりの友情から愛情に変化していく心の揺れを、時に激しく時に静かに描いた作品です。
この時代のキャラクターの特質を感じ取るのはかなり難しかったと言い、役作りの為に相手役の陳昊森(エドワード・チェン)と一緒に住んだり、撮影では全ラシーンがあったりと、チャレンジングなところが多かったのですが、精一杯の努力とできる限りの力で役に入り込んだ」と言っていました。

1010outsider25名匠王小棣(ワン・シャオディ)監督が創設した新人育成プロジェクト「Q Place表演教室」から、期待の新星が次々出ていますので、この中から3人ご紹介します。
まず、いまホームドラマチャンネルで放送中のドラマ『時をかける愛(原題:想見你)』の許光漢(グレッグ・ハン)。
2019年の台北と1998年の台南を舞台に、交錯する人物たちと謎解きが見事に構成され。台湾では"神劇"と呼ばれた秀作で、2つの時代に生きる人物を、二役で好演して大ブレイク。金鐘賞の主演男優賞にノミネートされました。

1010outsider262018年にドラマ『1006的房客』のメインキャストに起用され、Netflixのドラマ『罪夢者』に出演、昨年の金馬奨で大勝利をおさめた鍾孟宏(チョン・モンホン)監督の映画『陽光普照(ひとつの太陽)』で主人公の兄役でスクリーンデビューしました。この映画は、東京国際映画祭でも上映され、現在Netflixで配信中です。
あまり出番が多くなかったものの、『路~台灣Express~』というNHKの全国放送のドラマに出演したことも記録すべきことですね。

1010outsider27Q Place出身の女優と言えば、昨年台湾で社会現象を起こした名作ドラマ『悪との距離(原題:我們與惡的距離)』の陳妤(チェン・ユー)。
一つの無差別殺人事件を軸に、加害者や被害者、メディアなど様々な立場からの視点で“悪との距離”を描く本作は、昨年のテレビアワード金鐘奨で多くの賞を獲得しましたが、加害者の妹でメディアで働く役を演じた陳妤がノミネートされなかったが最大の心残りだと騒がれるほどの熱演でした。
この作品に出演したことで、今まではタブーだったテーマがドラマの力で自然と話題になったことで、自分が女優でいる意義をより確信したと語っています。

1010outsider28『悪との距離』では半端ない薄幸感を出していましたが、初主演映画はラブコメ。『KANO(KANO1931 海の向こうの甲子園)』でデビューし、俳優として活躍する曹佑寧(ツァオ・ヨウニン)との共演で、8月に公開されました。
夏休みのバイトで知り合った男女の初恋ストーリーで、なんと7600万台湾ドルという興行成績で、現在今年のトップとなっています。
昨年の台北電影節で、期待の新人10人にも選ばれました。

1010outsider29Q Place出身のもうひとり、劉冠廷(リウ・グァンティン)は、昨年『ひとつの太陽(原題:陽光普照)』で金馬奨の助演男優賞を受賞していま注目の俳優です。先月台湾で公開された陳玉勳(チェン・ユーシュン)監督の新作映画『消失的情人節』で主役に抜擢されました。
実は彼を発掘したのは他でもない、この陳玉勳監督でした。無名の彼をCMで起用し、Q Placeにエントリーさせたのです。
そして彼は期待に応え『お花畑から来た少年(原題:花甲男孩轉大人)』の花明役で、一気に知名度を上げました。

1010outsider30昨年の『ひとつの太』では悪役、8月にこの上映会でご覧いただいた『孤独なあなたたちへ(致親愛的孤獨者)』の第三パート『小薰』では、心を閉ざした受刑者の役、今回のコメディ『消失的情人節』ではバスの運転士役と、ますます演技の幅を広げています。
去年の金馬奨の授賞式ではレッドカーペットの司会者をつとめたり、今年はゲスト出演も含め7本の映画に出演する売れっ子ぶりです。

1010outsider31デビューは2011年と早いのですが、注目されたのが2016年のドラマという邵雨薇(シャオ・ユーウェイ)は、2015年の『若葉のころ(原題:五月一號)』が映画初出演です。ヒロインの適役というポジションでしたが、話題を集めたのは2016年の『樓下的房客』という作品でした。九把刀(ジョウバーダオ)の原作・脚本のサスペンス映画の中で、大胆なヌードシーンがあり、その部分だけがマスコミに取り上げられて複雑だったようですが、それをバネにして努力を積み重ね、着実に成長しました。

1010outsider322019年は3本の映画に出演、NHKで放送された日台合作ドラマ『路~台灣Express~』では井浦新を支えるホステス役を好演。
歌手としてもアルバムをリリースしていますしライブも行っています。また、ドラマの主題歌やエンディング曲を歌い、今年は舞台にもチャレンジしました。
来年放送の話題のドラマ『悲しみよりもっと悲しい物語(原題:比悲傷更悲傷的故事)』にも主演が決まっていて、王淨との共演も楽しみです。

1010outsider33そのドラマ版『悲しみよりもっと悲しい物語(原題:比悲傷更悲傷的故事)』で主役をつとめるのが、范少勲(ファン・シャオシュン)。
大学生が出演する人気バラエティ番組に出演し、2018年のBLドラマ『越界』で注目され、2019年の映画『下半場』では聴力障害のある高校バスケット選手を好演、これで金馬奨の新人賞に輝きました。受賞祈願で赤い下着を穿いてきたそうですが、プレスセンダーで赤い靴底を披露してくれました。

1010outsider34ドラマ版『悲しみよりもっと悲しい物語』では余命少ないソングライターの役ですが、バラエティや司会は経験しているものの音楽には縁がなく、毎日ギターを練習してしているそうです。
オリジナルのクォン・サンウ、映画版の劉以豪(リウ・イーハオ)と違う「K」をどのように作っていくのか、今後に向けて大きなステップになるのではないでしょうか。

1010outsider35イケメンばかりが期待の星ではない、ということもお伝えしておきたいので、王可元(ワン・カーユエン)をご紹介しておきましょう。
ドラマ『悪との距離(原題:我們與惡的距離(原題:の無差別殺人事件の犯人役で、頭角を表しました。
同じ年に『鏡子森林』という社会派ドラマや、映画『陽光普照(ひとつの太陽)』や『返校』にも出演しています。
私が注目したのは『情色小說』という映画で、車椅子生活をする文才のある青年が、有名女性作家のゴーストライターになるという話です。そこに表される人の欲とエロスを見事に表現し、台北電影獎の新人賞にノミネートされました。
今年は間もなく台湾で公開になる『親愛的房客』にも起用されていますが、主役も脇役もできる演技派候補として期待したいです。

1010outsider36最後は、宋柏緯(ツォン・ボーウェイ)です。
2014年に『共犯』でスクリーンデビューし、『太陽を見つめた日2(原題:他們在畢業的前一天爆炸2)』で主役をしのぐ人気で話題になりました。
2018年に映画『搖滾樂殺人事件』で初主演、2019年はドラマ『あすなろ白書(原題:愛情白皮書)』でかつて木村拓哉が演じた役で新境地を開きました。

1010outsider37日本では、BLドラマ『IStory - 離れて、離さないで』で知ったという方も多いでしょう。
バンドのギタリストで音楽活動もしているので、ドラマ『あすなろ白書"では主題歌の作詞作曲歌唱も担当する多彩ぶりを発揮。
2019年の台北電影節がプッシュする期待の新人10人に選ばれ、来年放送の話題のドラマ『歩道橋の魔術師(原題:天橋上的魔術師)』にも出演が決まっています。

1010outsider38最新情報をお伝えします。
9月30日に、第五十七回金馬獎のノミネート発表会見が行われ、各賞の候補が発表されました。
今年は465本のエントリー作品があり、いま台湾で公開中の『消失的情人節』が11部門ノミネートで最多。
続いて黃信堯(ホアン・シンヤオ)監督の『同學麥娜絲(Classmates Minus)』が9部門、東京フィルメックスで上映される柯貞年(クー・チェンニエン)監督の『無聲』は8部門がノミネートされました。
作品賞は、『消失的情人節』、『同學麥娜絲』、鄭有傑(チェン・ヨウジエ)監督の『親愛的房客」、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督の『日子(Days)』と、香港映画の『手捲煙(手巻きタバコ)』で競われます。

1010outsider39個人賞は、明日を担う若手俳優たちでご紹介した劉冠廷(リウ・グァンティン)が主演男優賞にノミネート。
林柏宏(リン・ボーホン)、莫子儀(モー・ズーイ)とあわせて台湾から3人。
シンガポールの李國煌(マーク・リー)と香港の林家棟(ラム・カートン)が参戦してどういう闘いになるのか興味深いです。
ちなみに、さきほどご紹介した曾敬驊は、激烈な主演男優賞候補には入ることができなかったそうです。でも、若いのでまだまだこれから機会はたくさんあるでしょう。

1010outsider40主演女優賞は中国の白靈(バイ・リン)以外は台湾勢です。金馬奨では初ノミニーのベテラン陳淑芳、若い李霈瑜(パティ・リー、そして受賞歴のある謝欣穎(シエ・シンイン)と桂綸鎂(グイ・ルンメイ)と、こちらも展開が楽しみです。
この他ノミネートの詳細は、アジアンパラダイスに日本語記事を掲載していますので、よかったらご覧下さい。
http://www.asianparadise.net/2020/09/post-8a6e19.html

このトークはアーカイブとして11月末まで残し、公開することにしました。
映画をご覧になっていない方にとってはあまり有用ではないかも知れませんが、後半の台湾の明日を担う若手俳優たちについては、お楽しみいただけると思います。
https://v.classtream.jp/tw-movie/#/player?akey=be9d63f42fbd69f5e3bacb25de337b05

次回は、すでにお知らせしていますように、10月24日(土)14時から。
日台のアニメ文化を背景に、アニメオタクの主人公の恋と孤独、貧困家庭や引きこもりなどの社会問題も盛り込んだ『よい子の殺人犯(原題:最乖巧的殺人犯)』です。
申込みは明後日、10月12日午前11:00より。※時間が変わりましたので、ご注意下さい。

主催:台北駐日経済文化代表処台湾文化センター/アジアンパラダイス
協力:多曼尼製作有限公司

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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