アジアンパラダイス

製作の発端は、現代人にとって重要なコミュニケーションツールであるFacebookをベースに、人々が"何を考えているのか"、ブロックリストやレビューなどの機能がソーシャルメディアのどんな光と影を創り出しているのか、その複雑な世界を映像化しようということだそうです。
メインキャストは幸せに縁遠いCM監督役の吳慷仁、仕事はできるが人とのコミュニケーションに問題があり嫌われ者のバリキャリ役に、歌手の艾怡良（イプ・アイ）、礼儀正しく誠実なITマネージャー役を傅孟柏（フー・モンボー）、ミッションの半分の時間で倍の仕事をする聡明なリケジョに、注目の人気女性シンガー9m88（ジョウエムバーバー）。

この個性的な4人を支えるのは、林美秀（リン・メイショウ）、萬芳（ワン・ファン）、謝盈萱（シエ・インシュアン）という徐譽庭に縁の深い女優達。
さらにドラマで人気の鍾欣凌（ジョン・シンリン）や嚴正嵐（ベラ・チェン）が出演。
これまで徐譽庭作品のヒロインを演じた安心亞（アンバー・アン）、林依晨（アリエル・リン）、林辰唏（リン・チェンシー）、楊丞琳（レイニー・ヤン）が吳慷仁の元カノ役として声の出演をするという豪華な面々です。
徐譽庭は「参加してくれたみんなが頑張ってくれました。もし適材適所でなかったら、このような価値は生まれなかったでしょう」と記者会見で語っています。

役作りの為2ヶ月で18キロ体重を増やした吳慷仁、そのプロ精神にはみんな大きな称賛を送りました。
街を走るシーンでは、正面、側面など色々な角度から撮る必要があったため、一つのアングルで20回くらい、合計100回以上走らなければならず、息切れも激しかったようですが、完成した映画の中で使われたのは2分足らず。
6年前に一緒に仕事をしようと言っていた徐譽庭は、「彼の演技はどんどん巧くなっている。初めて『秋のコンチェルト（原題：下一站幸福）』の時に、リズムとメロディーのない音楽のような演技に惹かれた。このまま努力を続けて、"いかにも演技をしている"というようにならないことを祈っていました。この映画の中でも、真摯で流れるような感情を表現してくれています」と絶讃。
ちなみに、吳慷仁はクランクアップして一ヶ月で体重を元に戻したそうです。

記者会見で興行成績予想を聞かれた徐譽庭は、「8000万を超えないと製作費が回収できない。もし1億超えたら吳慷仁がみんなにご馳走してくれるでしょう」と言いましたが、それは却下され、チームの最終決議として観客へのお礼としてみんなで映画コンサートを行って、メインキャストが歌うということになりました。
出演者に歌手が多く、吳慷仁も実はとても歌が上手なので、ぜひ大ヒットして実現して欲しいですね。

本作はコロナ渦で一度は去年4月のクランクインの延期も検討したそうですが、対策に成功している台湾だからでしょう、毎日の検温、マスク着用、消毒など基本的な感染予防策で撮影に臨み、無事完成しました。
最もたいへんだったのは、忘年会のシーン。
当時100人を超える集会は禁止という政府の規定があったため、500人での忘年会のシーンは諦め、俳優達も正面や顔が映り込むシーンはマスクをはずしましたが、それ以外は全てマスク着用での撮影だったそうです。

先日行われた関係者試写でも、映画人達がこぞって高い評価を示している『我沒有談的那場戀愛』、なんとか日本でも見られるようになることを祈っています。

『我沒有談的那場戀愛』
監督：徐譽庭（シュー・ユーティン）、許智彥（シュー・チーイエン）
脚本：徐譽庭
出演：吳慷仁（ウー・カンレン）、艾怡良（イプ・アイ）、傅孟柏（フー・モンボー）、9m88（ジョウエムバーバー）、林美秀（リン・メイショウ）、萬芳（ワン・ファン）、謝盈萱（シエ・インシュアン）

◆ストーリー
33歳で独身の郭勤勤（艾怡良）は真面目で責任感があり非常に有能だが、トゲトゲしていて不親切、人を怒らせることをなんとも思わない面倒な女性。
それ故リアルな友達もSNSでの友達も少ない。そして、彼女はSNSで2人の男性をブロックしていた。
一人はCM監督の「南人」、もう一人は善良な元カレ。
そしてリケジョの黃小喵がからんで、4人の思いは複雑に展開する…。

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