2021大阪アジアン映画祭 中国映画『君のための歌(原題:他与罗耶戴尔)』〜チベットの新しい風
色々新鮮な驚きをもらえる大阪アジアン映画祭ですが、『君のための歌(原題:他与罗耶戴尔)』ではチベットの新しい風を感じました。
本作は、ダムニェンというチベットの伝統楽器の弾き語りで歌手を目指す遊牧民の青年の成長を描いたロードムービー。
賈樟柯(ジャ・ジャンクー)と萬瑪才旦(ペマ・ツェテン)という、とんでもない豪華なエグゼクティブ・プロデューサーのバックアップで監督デビューした德格才让(ドゥッカル・ツェラン)監督は、もともと録音や音楽のキャリアが長いクリエイターです。
チベット映画というと、大自然、広々とした草原、聖地ラサを舞台に繰り広げられる人間ドラマ、そしてペマ・ツェテンが描くアイデンティティの物語をイメージしますが、この『君のための歌』は、タイトルにもあるように音楽をキーワードとした青春映画と言えるでしょう。
主人公は歌手を夢見てコンテストに出場するも、あえなく敗退。歌手になるにはアルバムを作らないといけないと言われ、アルバム作りのためにチベットからバイクで中国・青海省の西寧へ向かいます。
アルバムは歌手デビューしてから出すものでは…と思いますが、まずはインディーズからのスタートということになります。
大自然の中を疾走するバイク、やはりチベットの風景は素晴らしい!
そして、主人公を演じる旦正才让(ダムティン・ツェラン)がイケメンで、とっても雰囲気があります。演技は初めてだそうですが、本物の歌手。
彼にとって初めての都会 西寧で出会った人やポップス音楽に刺激を受けるのですが、自分の目標は“伝統音楽の歌手”と、ブレません。
恋や挫折という青春ストーリーのモチーフをきっちり盛り込みつつ、伝統と革新、価値観の揺らぎの中での葛藤が描かれていきます。
監督自身がミュージシャンということもあり、音楽という要素を効果的に取り入れた青年の成長ものがたりは、とても新鮮でした。
2回目の上映は3月13日の16:00から。
チケットはオンライン、梅田ブルク7の窓口で発売中です。
本作の中で自ら音楽プロデューサー役で出演もしている德格才让監督にインタビューしましたので、2回目上映後にPodcast配信します。
どうぞお楽しみに!
大阪アジアン映画祭の作品紹介ページ
https://www.oaff.jp/2021/ja/program/c11.html
大阪アジアン映画祭の德格才让(ドゥッカル・ツェラン)監督インタビュー動画
https://www.youtube.com/watch?v=nW4Un7S1_bQ
★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。
| 固定リンク
コメント