2021大阪アジアン映画祭 香港映画『手巻き煙草(原題:手捲煙)』〜これぞ香港ノワール!
大阪アジアン映画祭で上映された香港映画『手巻き煙草(原題:手捲煙)』は、昨年の金馬奨で作品賞、主演男優賞、新人監督賞など7部門にノミネートされた力作です。
1997年の返還を機に変わっていく香港を、元イギリス軍兵士の視点で描き、香港ノワールの世界に浸りながらも歴史や人種問題、社会問題も考えさせらる重層的な作りになっています。
監督は、2014年に陳果(フルーツ・チャン)監督の『那夜凌晨,我坐上了旺角開往大埔的紅VAN』で俳優デビューした陳健朗(チャン・キンロン)。これまでインディーズ作品は監督していますが、監督の発掘・育成プロジェクト首部劇情電影計劃に入選し、本作が商業映画デビューとなりました。
主役の林家棟(ラム・カートン)は、これまで首部劇情電影計劃に出演してきた多くの有名俳優と同じく、ノーギャラで参加。
その他袁富華(ベン・ユン)、太保(タイ・ボー)、錢小豪(チン・シウホー)、何華超(トニー・ホー)など錚々たるメンバーが脇を固めています。
さきほど監督にインタビューした時に、「みんな香港映画を守ろうという気概を持っているから、協力してくれました。この場を借りてお礼を言います」とおっしゃっていました。
この映画には重慶マンションやスターフェリー、廓街など香港映画ではお馴染みの場所が出てきて、ファンにはたまらない映像です。コロナ渦で撮影されたため重慶マンションでの撮影はたいへんだったそうですが、監督としてもこういう香港映画らしい場所で撮りたい、観客に届けたいと意識していたそうです。
「気づかなかったかも知れないけど、ヤクザの事務所は葵青貨櫃碼頭(葵青コンテナターミナル)に唯一残っている古いカバン工場なんだ」
と、監督は貴重なロケ地情報も明かしてくれました。
香港ノワールのテイストに、登場人物それぞれのアイデンティティを模索する姿を見事に描き出した『手巻き煙草(原題:手捲煙)』、2回目の上映は、3月14日(日)17:55から梅田ブルク7:シアター7。
チケットはオンライン、窓口ともに発売中。
大阪アジアン映画祭の作品紹介ページ
https://www.oaff.jp/2021/ja/program/hk02.html
そして、陳健朗監督のインタビューは2回目の上映以降にPodcast配信予定です。
ぜひスクリーンで見た後にお聞き下さい。
★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。
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