2021大阪アジアン映画祭 短編『夜番』『すてきな冬』『守望』〜多様な作家性
大阪アジアン映画祭で上映される短編は、各国の多様な作家性を見ることができるプログラムです。
その中で中華圏の3作品について、監督インタビューも含めてお伝えします。
まずは、昨年の金馬奨で最優秀短編映画賞を獲得した香港の『夜番』。
タクシードライバーのある一日の夜シフトで出会った客や街の様子を、小さなエピソードで繋いでいく構成になっています。
監督は『十年』の『エキストラ(原題:浮瓜)』を撮った郭臻(クォック・ジョン)。
警察とデモ隊の激しい衝突、それに対する人の反応によって、ドライバーの心理が動いていく描写が興味深いですね。
タクシードライバーを演じたのは蔡志強(ピーター・チョイ)という議員だそうですが、実際にタクシードライバーで車も貸してくれたそうです。
議員が映画に出ても大丈夫なのか、劇中の警察や市民の行動は、どのように撮影したのか、など聞いてみたいことはたくさん。
インタビューは16日の予定なので、Podcastをお楽しみに!
大阪アジアン映画祭の作品紹介ページ(監督のメッセージ動画あり)
https://www.oaff.jp/2021/ja/program/sl08.html
ブルーのトーンが印象深い『すてきな冬』は、新疆ウィグル自治区のエメットジャン・メメット(艾麦提 麦麦提)監督の作品。
シンプルな構図や無表情に近い登場人物など独特の作風で、不思議な世界に誘われます。
インタビューで監督は、俳優の表情の減算法で伝えていくことを信条としていると言っていました。そして、それを託すにはアマチュアが一番ということで、めったにプロの俳優は使わないそうです。
しかも、出演者の決め方がおもしろくて、そのお話しでインタビューで盛り上がってしまいました。
監督が好きな作家を聞いたら、ハンガリーのタルベーラ、スペインのアルモドバル、小津安二郎、アキ・カウリスマキ、ジム・ジャームッシュなどの名前を挙げていました。
インタビューのPodcastをお楽しみに!
大阪アジアン映画祭の作品紹介ページ(監督のメッセージ動画あり)
https://www.oaff.jp/2021/ja/program/sl02.html
そして中国の『守望』は、コロナ渦で閉店の危機が迫るフットケアの店を舞台にした心温まる作品でした。
ストレートな人情ドラマで、この時期だからこその作品かもしれません。
監督のインタビューでは、コロナ渦においてこの映画に出てくるフットケア店などで働く人々を記録しておかなくては、と思い本作を作ったとおっしゃっていました。
そして、劇中の路上の酔っ払い役は、監督が演じたのだそうです。
この映画はすでに2回目の上映が終わっていますが、後日配信するPodcastで監督インタビューをお聞き下さい。
大阪アジアン映画祭の作品紹介ページ(監督のメッセージ動画あり)
https://www.oaff.jp/2021/ja/program/sl03.html
『夜番』と『すてきな冬』の2回目の上映は、3月14日(日)12:15からシネ・リーブル梅田4。
チケットはオンライン、窓口とも発売中。
★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。
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