2021台湾映画上映&トークイベント「台湾映画の"いま"〜新鋭と精鋭の挑戦」第1回『ぼくらの後半戦(原題:下半場)』オンライン開催!迫力ある試合と兄弟愛に感動の声!
今年もオンラインでの開催となった台湾映画上映&トークイベント、新作と未公開作品で台湾映画の「精鋭と新鋭の挑戦」を伝えていく第一回は、『光にふれる』『共犯』の張榮吉(チャン・ロンジー)監督による、バスケットボールにかける兄弟の葛藤、成長を描いて数々の賞に輝いた青春映画『ぼくらの後半戦(原題:下半場)』を上映しました。
今年は視聴可能数を増やし、大勢の皆さんにご覧いただくことができ、アンケートの回答から関東圏、関西圏のほか、宮城、広島、九州、沖縄からもご参加いただいたことがわかりました。
ご覧になった皆さんのほとんどが、迫力ある試合の臨場感に胸躍り、兄弟愛と家族愛に感動したということで、たいへん満足していただけました。
期待の新進俳優、主役の范少勳(ファン・シャオシュン)は日本でもドラマが配信されているため、ファンの方も多く参加され、これまで台湾映画をご覧になっていない方も、映画の魅力を感じていただけたようです。
また、アフタートークでの作品の背景やキャスティングについて、撮影裏話などが参考になったということです。
さらに張榮吉(チャン・ロンジー)監督からの心のこもったメッセージが、皆さんに届きました。
そして、3月に行われた大阪アジアン映画祭の監督インタビューを中心にしたレポートが、この時期ですから行きたくても行かれなかった皆さんに、とても喜んでいただけました。
では、アフタートークの採録をお届けします。
台湾ではスポーツ映画はあまり多くはありませんが、本作で取り上げた高校バスケは、台湾でとても人気があります。
これまでバスケットボールを扱った作品は、2008年の周杰倫(ジェイ・チョウ)と陳柏霖(チェン・ボーリン)たちが出演した『カンフーダンク』、そして言承旭(ジェリー・イエン)、羅志翔(ショウ・ルオ)、呉尊(ウー・ズン)など人気アイドル共演のドラマ『ホット・ショット』くらいでしょうか。
どちらも人気スターが主演しましたが、この『ぼくらの後半戦』では新人2人が主役をつとめました。
この映画は2019年8月に台湾で一般公開になり、この年の興行成績は8位でした。
2019年は『返校』という社会現象を巻き起こしたメガヒット作品やこの『返校』と賞を分け合った『ひとつの太陽(原題:陽光普照)』が年末の話題をさらったため、本作はやや埋もれてしまった感がありましたが、金馬奨では范少勳(ファン・シャオシュン)が新人賞を獲得、翌年の台北電影奨で、監督賞と撮影賞、アクション賞、観客賞を受賞しています。
兄弟愛を主軸に、家族愛やちょっぴり恋バナも盛り込まれ、後味の良いさわやかな青春映画ですね。
本作の内容の前に、台湾での高校バスケットボールについて、少しお話しします。
台湾アマチュアスポーツ最大のイベントは、野球でもサッカーでもなく、HBLという高校バスケット・リーグ。11月から予選が始まり、3月の決勝トーナメントまで熱い闘いが繰り広げられます。
観戦チケットは入手困難で、対戦カードによっては入場規制も敷かれるほどの人気があります。ハーフタイムでは人気アーチストの歌やパフォーマンスがあり、たいへんな盛り上がりのため、当然テレビ中継の視聴率も高い、という状況です。
こういうバスケ事情の台湾で、張榮吉監督がこの映画を撮ったのは、最初はドキュメンタリーを撮ろうと思って取材したところ、HBLがとても印象的だったので、これを題材にした劇映画を撮りたいと思ったからだということです。
劇中の主人公となる兄弟に特にモデルはいないそうですが、脚本を書く時に色々なアプローチの中で、兄弟の葛藤をフィーチャーしようと思ったと言っていました。
この兄弟の兄が聴力障害を持っている設定は、、『光にふれる』とは違い、その障害に焦点を当てるのではなく、乗り越えなければならないハードルの一つとして設定したそうです。
これまで予選リーグにも上がれなかったチームが、新しいコーチによって選手の個性が生かされた戦術で決勝戦まで上りつめるというカタルシス。
強豪を相手に善戦、負傷したキャプテンがコートに上がり点差を詰めるが、破れて準優勝…台湾スポーツ映画の金字塔を打ち立てた『KANO』を思い起こすようなロジックを、張榮吉監督のほどよく抑制された演出で見せてくれています。
あらためて、その手腕に拍手を贈りたくなる完成度の高い作品だと思います。
あらためて監督についてご紹介しましょう。
張榮吉監督は2001年からドキュメンタリー映画の監督として多くの作品を撮り、
2006年に楊力州(ヤン・リージョウ)と共同監督した、花蓮の中学校のサッカー部の少年たちを描いた『奇蹟的夏天』が金馬獎でドキュメンタリー映画賞を受賞。
2008年、盲目のピアニストを記録した『天黑』が台北電影奨の短編映画賞を獲得しました。これを2012年に長編劇映画として発表したのが『光にふれる(原題:逆光飛翔)』で、国内外で高い評価を得ました。
2014年に長編第二作『共犯』を制作し、『光にふれる』に続き日本でも公開されました。
2016年には島田莊司原作の中国映画『夏、19才の肖像』の監督として起用され、これを含め長編劇映画3作全てが日本公開されたことになります。
そして最新作である本作では高校バスケットリーグHBLを描くにあたり、かなりの時間をかけリサーチをしたそうです。
このリサーチでわかったことは、お金のあるチームとそうでないチームでは全然雰囲気も違うということ。粗末な練習場と立派なコート、そしてコーチの雰囲気も違うので、それがこの映画で描かれた中に盛り込まれています。兄の所属するチームが前者で、弟の方が後者になっていますね。
厳しい監督、特に英語をバンバン使って厳しくテンポ良くやる人もいれば、 ほんわかしたゆるめの指導をしている監督もいるという監督の性格の違い。見事に反映されています。
さて、主役ふたりはどうやって見つけたのか…。
これは、台湾の北部と南部で200人くらいのオーデイションをして、決めたそうです。
基本的なバスケットの技術を持っているということが条件でしたが、足りない部分はトレーニングで補うという方針で選抜。
絞り込んだ人たちに演技とバスケットの訓練をし、実際のバスケチームに入っている人とそうでない俳優をミックスしてトレーニングしたということです。
その方法は、チームとしての一体感も出て良かったと思う、と監督が言っていました。
兄役の范少勲の起用のポイントは目。確かに目ヂカラがありますね。自分の気持ちをなかなか表に出せないこの役にふさわしいと思い、そして学校のバスケ部で活躍してたので、技術的にも問題なかったということです。
范少勲はモデルから俳優へと進んできましたが、日本のドラマファンの皆さんは「HIStory2-越界」をご覧になった方が多いと思います。
2019年に本作で金馬奨の新人賞を獲得し、ドラマ「通靈少女2 」でも主役、今年放送予定のドラマ版『悲しみよりもっと悲しい物語(原題:比悲傷更悲傷的故事)』に主演するなど順風満帆です。
一方の朱軒洋は自分が一番という自信家で、何事にもぶつかっていくという弟の役がぴったりだったそうです。
ただ、バスケの技術が足りませんでした。でも、それはトレーニングで補えるだろうということで起用されました。
トレーニングでは負けず嫌いの性格が功を奏し、みるみるうまくなり、筋トレで身体もバスケ選手らしく作っていったそうです。
2018年のデビューで、映画二作目の本作で主役。今年は話題のドラマ『歩道橋の魔術師(原題:天橋上的魔術師)』のメインキャストに選ばれるなど、勢いのある若手の一人として注目されています。
主役の二人を支えるベテラン達も、豪華です。
兄のチームのコーチを演じた段鈞豪(ドウアン・チュンハオ)、人間味溢れる指導ぶりで、金馬奨と台北電影奨の助演男優賞にノミネートされました。アイドルドラマから文芸映画まで、幅広い俳優です。
弟のチームのコーチは吳大維(デビッド・ウー)、広く中華圏で活躍するアメリカ国籍の俳優で、香港映画にもたくさん出演しているので、顔を見てあ!と思った方も多いのではないでしょうか。
英語を駆使するコーチ役という、監督のリサーチにぴったりの配役でした。
兄弟の父役は庹宗華(トゥオ・ゾンホア)、子役の時から台湾の映画とドラマで大活躍し、受賞歴もある俳優で歌手。代表作の映画『報告班長』シリーズの兵士から警官、ヤクザ、教師など演じていない職業はないのでは、と思うほどのキャリアです。
10月に上映する『家へ帰ろう〜国会脱出』でもいい味を出していますので、楽しみにしていて下さい。
そして名優陸弈靜(ルー・イーチン)は、珍しくシンプルなキャラクターの校長を、楽しそうに演じていましたね。この人が出てくると、作品がビシッと締まります。
さて、イケメン兄弟が火花を散らす迫力ある試合のシーン、監督はほかのバスケ映画との差別化を重視し、アングルにこだわりました。
例えば、中継の画面では俯瞰になったりロングショットになりますが、そこを変えたかったそうです。
カメラが、動いている選手のそばにいるという撮り方をしたかったので、カメラもコートの中に入れました。
選手の近くで撮ることで、感情や息づかいも捉えることができます。その為に、事前にどうすれば選手の動きを撮れるか、徹底的に設計、デザインをしたと言っています。
試合中、カメラ2台で撮影していたので、ずうっと選手と一緒に走っているカメラマン2人は、かなり痩せたそうです。
☆監督メッセージの内容
「みなさんこんにちは、監督のチャン・ロンジーです。
この映画を日本で上映してくれたことは本当に光栄です。
いまコロナで色々な人の生活が一変してしまったと思いますが、
この映画で皆さんが少しでもエルルギーを感じてもらえたらうれしいです。
何事をやるにも大きな苦難、高い壁を乗り越えなければいけません。
そこから出口をみつけなければなりません。
皆さんがどんな試合の局面にいるかわかりませんが、
それぞれ違う試合の中で後半戦をどのように戦うか、
この映画を見て頑張ってもらえれば、うれしいです。
みんな自分が望む人生の出口を見つけてください。」
監督はいま杭州で、5月にクランクインする新作映画の準備中です。
中国映画になりますが、SFで少女とロボットの物語だそうです。
日本とのコラボもあるそうですが、コロナのためオンラインで打ち合わせしていると言っていました。
どんな作品になるのか、楽しみですね。
では、ここからは3月5日から14日まで行われた大阪アジアン映画祭についてお話しします。
コロナ渦の中でも昨年と同じく、海外からのゲストはないものの、会場でのスクリーン上映で開催されました。
それに加えてオンライン上映が行われたのが、今年の特徴です。
受賞結果は公式サイトを見ていただくとして、ここでは台湾を中心に中華圏の作品と取材エピソードをお伝えします。
今年も私は現地へ行かれませんでしたが、スクリーナーで映画を見せてもらい、12人の監督にリモートインタビューを行いました。ゲスト、映画祭事務局、通訳さん、そしてインタビュアーの私、それぞれ違う場所にいてもひとつの画面に集まって話せるというのは、とても感慨深いものでした。
オープニングの香港映画『映画をつづける』は、香港の許鞍華(アン・ホイ)監督を追ったドキュメンタリーです。多くの映画人へのインタビューで浮き彫りにされる許鞍華監督は、彼女の創作世界しか知らない観客にとってとても興味深く、またドラマチックでもありました。
プライベートにも迫った文念中(マン・リムチョン)監督の映像記録では、少女のような許鞍華監督も見ることができました。
金馬奨で作品賞、主演男優賞、新人監督賞など7部門にノミネートされた香港映画『手巻き煙草(原題:手捲煙)』は、俳優でもある陳健朗(チャン・キンロン)監督の商業映画デビュー作。返還を機に変わっていく香港を、林家棟(ラム・カートン)演じる元イギリス軍兵士の視点で描いた力作です。
香港ノワールの世界に浸りながらも歴史や人種問題、社会問題も考えさせられ、香港アイデンティティを強く感じさせる映画です。
インタビューで香港で唯一残っている古いカバン工場というとっておきのロケ地のことをお話ししてくれたのですが、場所を聞くと監督のお答えはは地名だけだったのに、通訳のサミュエル周さんがとても詳しい補足をして下さいました。さすが!です。
香港では政府による新しいクリエイターの発掘・育成を目的としたプロジェクト「首部劇情電影計劃」がありますが、大阪アジアン映画祭でほぼその入選作が上映されています。
今年は先ほどご紹介した『手巻き煙草(原題:手捲煙)』と、『エリサの日(原題:遺愛)』が上映されました。
、『エリサの日(原題:遺愛)』は、定年退職間際の警察官が麻薬運搬で逮捕された若い女性と出会うところから始まり、時を遡り若いヤクザと15才の少女の恋愛の行方を時間軸が行きつ戻りつしながら描かれていきます。
刑事役の鄭中基(ロナルド・チェン)がノーギャラで新人監督をサポートしたというのも、この「首部劇情電影計劃」ならではですね。
馮智恒(アラン・フォン)監督の創作意欲がインタビューの端々に出ていて、次回作が楽しみです。
中国の短編映画『守望』は、コロナ渦の西安を舞台で閉店の危機が迫るフットケアの店を舞台にした、心温まる作品でした。
有名な俳優は出ていませんが、ストレートな人情ドラマで、この時期だからこその作品かもしれません。
農村出身の馮萬裡(ウォレス・フォン)監督は、こういう時期に一番影響を受けるエッセンシャル・ワーカーの人たちを記録しておかねばならないということで、この映画を作ったそうです。
インタビューでは、中国映画の現状なども話して下さいました。
同じく中国の短編『すてきな冬』は、新疆ウィグル自治区のエメットジャン・メメット(艾麦提 麦麦提)監督の作品です。
シンプルな構図や無表情に近い登場人物など独特の作風で、よくアキ・カウリスマキ監督の作品に近いと言われていますが、監督ご自身もカウリスマキ監督が大好きということでした。
出演者は素人を多く使い、通りがかりの事に声をかけて出てもらう事もあるという、とてもユニークなキャスティング。その事について色々エピソードをお話して下さり、インタビューは盛り上がりました。
もうひとつの短編は、昨年の金馬奨で最優秀短編映画賞を獲得した香港の『夜番』。
2017年の『十年』の『エキストラ(原題:浮瓜)』を撮った郭臻(クォック・ジョン)監督が、タクシードライバーのある一日の夜シフトで出会った客や街の様子を、小さなエピソードで繋いでいく構成です。
リアルな香港の街の混乱と、様々な立場の乗客のドラマによって浮かび上がる香港のいま。監督の着目とそれを切り取る手法が見事です。
主役は実際にタクシードライバーで議員という方。その出演の経緯や、警察と市民が衝突する街中をどうやって撮影したのか、そして今後どのように創作活動を続けていくのかなど興味深いお話しばかりで、予定時間をかなりオーパーしてしまいました。
7年ぶりに、大阪アジアン映画祭で待望の続編として上映された香港映画『狂舞派3』。
汗と涙のどストレートの青春ダンス映画から、商業ベースにのったメンバー達の変貌、若者が大人になるとき、悩み苦しみながら誰もが通る道を、かなり重い負荷を負いながら歩む姿を、ラップとダンスのカタルシスと共に見せてくれます。香港そのものの変化とオーバーラップする“いま”を描き、胸に迫る物語でした。
劇中のニューヨークのHIP-HOPのインタビュー映像が短編ドキュメンタリーのようで、とてもおもしろかったので、監督にお聞きしました。そうすると、監督はとても話したかったことのようで、たっぷりと聞かせて下さいました。
実は、このインタビュー、リモート取材にありがちな通信の不具合で、何度も最初の質問を繰り返し、ついにはリスケという事態になってしまいました。それでも真摯に答えて下さった黃修平(アダム・ウォン)監督、本当に感謝しています。
毎年色々新鮮な驚きをもらえる大阪アジアン映画祭ですが、今年はチベットの新しい風を送り込んでくれました。
チベット映画というと、大自然、広々とした草原、聖地ラサを舞台に繰り広げられる人間ドラマ、そしてペマ・ツェテンが描くアイデンティティの物語をイメージしますが、この『君のための歌』は、タイトルにもあるように音楽をキーワードとした青春映画です。
ダムニェンというチベットの伝統楽器の弾き語りで歌手を目指す遊牧民の青年の成長を描いたロードムービーで、伝統と革新、価値観の揺らぎの中での葛藤が描かれていきます。
ご自身がミュージシャンである德格才让(ドゥッカル・ツェラン)監督からお聞きした撮影中のエピソードは、とってもおもしろかったです。
台湾の周美玲(ゼロ・チョウ)監督久々の劇場用映画『愛・殺』は、3人の性別を超えた人間の情欲を描いた物語。
理性を超えた性愛、心を裏切るからだ…人が奥深く閉じ込めているものを引き出し、これでもか、とサスペンスフルに見せます。
インタビューで監督は、とにかくメインキャスト3人を見つけるのがたいへんだったと言っていました。それにしても長い髪をバッサリ切り、ボーイッシュな陽靚(ピース・ヤン)の格好良さ。台北からの監督の背景には、彼女のポスターが貼ってありました。
そして、本作では濃厚なベッドシーンだけでなくバイオレンスな部分もあるので、これまでの作品から癒やしを感じていたファンは驚くのではないか、と監督が言っていました。
台湾で3月9日から公開されたのですが、残念ながら興行成績はあまり伸びていないようです。
今年の薬師真珠賞を受賞した李玲葦(リー・リンウェイ)が主演した台湾映画『人として生まれる(原題:生而為人)』は、中国の倪曜(リリー・ニー)監督が台湾で撮ったインターセックスを扱った作品です。
思春期の主人公が向きあわなければならない現実はあまりに突然で、そこからの連鎖でいじめという社会問題も浮き彫りにされ、医学的な検証や当人のアイデンティティ、社会環境など複雑に絡み合っていきます。受賞した李玲葦の演技は本当に素晴らしく、監督も彼女なしではこの映画の成功はなかったと言っていました。
そして、この監督は歌手として活躍していた時代があり、本作の主題歌を歌っています。
台湾でいつ公開されるのか、まだ決まっていないようです。
特別招待作として上映された中国映画『A SUMMER TRIP~僕とじいじ、1300キロの旅(原題:[川流不“熄”)』は、俳優出身の冯钶予(フォン・クーユー)監督のデビュー作です。
北京オリンピック直前の2008年、浙江省の寧波から天津を経由して北京までの1300キロを、老人とその孫が旅をする物語。旅の途中での様々なアクシデントもありの出来事と人との関わりが丁寧に描かれ、さわやかでハートウォーミングな映画です。
新人監督ながら、映像は李屏賓(リー・ピンビン)、音楽が久石譲という大物に参加してもらえたのはのは、監督自身の夢が叶った、とインタビューで言っていました。
そして、日本公開に向けて鋭意努力中ということです。
日台合作で小川洋子の原作を映画化した『ホテルアイリス』は、中年の翻訳家と若い女性の究極のエロティシズムを描いた作品、台湾の金門島で撮影されました。
監督は中国などアジアで活躍する奥原浩志監督。主演は永瀬正敏で、李康生(リー・カンシェン)と馬志翔(マー・ジーシアン)が競演という興味深いキャスティングです。ヒロインは台湾の新人陸夏(ルーシャ)ですが、この演技指導をしたのが台湾で活躍する俳優で監督・脚本家の蔭山征彦さん。『KANO』のスタッフが何人かクレジットされていたので、色々繋がりが読めました。
監督インタビューでは、李康生の現場に必ず付いてくるという蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督について色々伺い、とても楽しいインタビューでした。
ここまでご紹介した作品の監督インタビューは、すべてアジアンパラダイスでPodcast配信していますので、ぜひお聞きになって下さい。
さて、監督のご都合でインタビューはできませんでしたが、お伝えしたい作品を2つご紹介します。
まずは、陳可辛(ピーター・チャン)監督なので香港映画となっていますが、実際は中国映画の『中国女子バレー(原題:奪冠)』。中国女子バレーのレジェンド、郎平を主人公にして、1978年から2016年リオデジャネイロ・オリンピックまで、国家代表チームの歴史を背景に人間ドラマが展開します。
中国がその資金力で創り上げる国策映画という感も拭えない作品ですが、陳可辛の緩急自在な演出で、鞏俐(コン・リー)と黃渤(ホアン・ボー)という大スターをうまく使い、商業映画としての潔さも心地よい作品でした。
1981年に中国が優勝する日本で行われたワールドカップのシーンなど、バレーボールファンにとっても胸が躍ります。
最後は台湾映画『逃出立法院』。
国会で議員がゾンビ化、そこから脱出しようとする主人公たちを描くコメディですが、プロレス技を駆使したゾンビとの闘いのテンポの良さなど新鋭王逸帆(ワン・イーファン)監督のシュールなセンスが爆発。メインキャスト達の奇演好演もハンパなく、超絶おもしろい映画に仕上がっています。
主役の赖雅妍(メーガン・ライ)と、これで金馬奨の助演女優賞にノミネートされた高慧君(フランチェスカ・カオ)の格好良さにしびれます。そして禾浩辰(ハー・ハオチェン)、庹宗華(トゥオ・ゾンホア)や大鶴(ダーハー)が良いところで良い味を出していて、コアな台湾映画ファンにはお楽しみです。
この映画、去年の『ギャングだってオスカー狙いますが、何か?(原題:江湖無難事)』と同様、大阪アジアン映画祭とセレクトが被り、協力体制のもと、こちらでは10月16日(土)に『家へ帰ろう〜国会脱出』というタイトルで上映します。
その時は、監督インタビューも果たしたいと思っていますので、どうぞお楽しみに。
さて、お知らせです。
「台湾巨匠傑作選2021―侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督デビュー40周年記念<ホウ・シャオシェン大特集>」の全ラインナップが発表されています。
この中で、今年も【隠れた名作台湾映画発掘!貴重な未公開映画上映&解説】特集コーナーで、江口スペシャルを実施いたします。
この上映&トークでご覧いただいた未公開作品『大仏+』『狂徒』『よい子の殺人犯』『High Flash〜引火点』に加え、東京国際映画祭以来のお披露目となる『アリフ・ザ・プリン(セ)ス』もご期待下さい。
台湾巨匠傑作選2021江口スペシャルは、4月24日〜28日、5月9日〜13日に新宿K’s cinemaで上映です。
詳しくは、公式サイトをご覧下さい。
https://taiwan-kyosho2021.com
このアフタートークは、映像として10月31日までアーカイブ配信しています。
良かったら、ご覧下さい。
https://v.classtream.jp/tw-movie/#/player?akey=32387ed2c666f6250ee847a10edddfe3
★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。
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