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2021/06/19

2021台湾映画上映&トークイベント「台湾映画の"いま"〜新鋭と精鋭の挑戦」第3回『逆走♡ONE WAY LOVE(原題:可不可以,你也剛好喜歡我)』オンライン開催! 主役の曹佑寧(ツァオ・ヨウニン)からムービーメッセージ!

0619lovemeオンラインによる台湾映画上映&トークイベント、新作と未公開作品で台湾映画の「精鋭と新鋭の挑戦」を伝えていく第三回は、2020年の興行成績3位の大ヒット青春ラブストーリー『逆走♡ONE WAY LOVE(原題:可不可以,你也剛好喜歡我)』を上映しました。

今回のアンケートは、たくさんの方から回答をいただきました。
「まっすぐで可愛い作品、とても甘酸っぱい、若い頃のいろいろな気持ちが呼び起こされるような素敵な映画」「温かい、やさしい映画でした。今のこの時期はこのような映画がうれしいです」「観終わってスッキリ、爽やかな気分になれました。これぞ台式王道の青春ラブコメ映画ですね。楽しかったです」「まさに王道!こういうの観たかったです!」「ありがちなストーリーながらも、何とも切ない気持ちをかき立てる内容に仕上がっている」「やっぱり青春映画って良いなぁ。きっちりハッピーエンドで終わってくれたのも良かった」「こちらまで元気がもらえました!」「とても爽やかでかわいい」「KANOのアキラ君が更にかっこよくなっていてビックリ」「キラキラしたストーリーと、キラキラした俳優さんたちが眩しい、爽やかな気分になれる作品」
などの声をたくさんいただき、王道の青春ラブストーリーを楽しんでいただけたようです。
一方で、「好みではなかった」「という方も、僅かにいらっしゃいました。

また、アフタートークでは本編の解説と青春ラブストーリーについてお話ししましたが、「作品やキャストについて詳しく解説は毎回大変ありがたく思います。ビデオメッセージも嬉しかったです」「青春ラブストーリーの分布図がおもしろく参考になった」「主人公役だけでなく脇役の説明もあってよかった」「行き届いた解説で映画を何倍も楽しむことができた」「いつもながらの圧倒的情報量で勉強になる」「簡學彬監督と曹佑寧のコメント映像がうれしい」「毎回詳しい解説と貴重な情報がありがたい」「青春恋愛映画の系譜ではいろんな発見があり、再び見返してみたくなった」など、鑑賞の手引きとしてお役に立ったようです。

06191本作はこれが長編劇映画デビューとなる簡學彬(ジエン・シュエビン)。
メインキャストの曹佑寧(ツァオ・ヨウニン)、陳妤(チェン・ユー)、林映唯(リン・インウェイ)というフレッシュなスターにかつての自分を重ね合わせ、あの頃のときめきを思い出した方も多いのではないでしょうか。
この映画は昨年、2020年の夏休み映画として公開され、興行成績第3位という大ヒット作です。
画像をご覧になってわかるように、ベスト10作品すべて日本で公開・上映・配信されています。
とても幸せなことですね。
そして、このうち青春映画が『君の心に刻んだ名前』『逆走♡ONE WAY LOVE』『ハクション!』の3本。
ラブストーリーはこれに『恋の病 〜潔癖なふたりのビフォーアフター』と『1秒先の彼女』が加わって約半数となります。

06192本作は、台湾で映画館の座席数が半分に制限された時期での公開ですから、この状況下での第3位はたいへんなことだと思います。
ヒットの要因は、想定したターゲットだけでなく、幅広い年齢層の人たちが劇場に足を運んだことが大きいと言われています。
そして、当時感染を抑えた優等生の台湾でも、やはりコロナ渦への不安は少なくなく、そんな時に肩の力を抜いて楽しめる映画に多くの人が集まったのではないか、とも思われます。

06193本作は、台湾で人気の作家 肆一(シー・イー)の同名エッセイをもとに映画化が企画されました。
キャンパス・ラブストーリーは、台湾映画でテッパンのジャンルですから、プロデューサーたちはこのベストセラーの原作を『あの頃、君を追いかけた(原題:那些年,我們一起追的女孩)』や『私の少女時代(原題:我的少女時代)』などに続く作品を目指し制作を開始。4年という時間をかけて脚本を完成させました。
脚本家チームには、2018年の大ヒット映画『悲しみよりもっと悲しい物語(原題:比悲傷更悲傷的故事)』の監督林孝謙(ギャビン・リン)監督も参加しています。

06194プロデューサーたちは企画の段階で、本作には新しい監督を起用したいと意見が一致、公共電視のテレビ映画『乒乓(ピンポン)』が高い評価を受けた簡學彬(ジエン・シュエビン)に白羽の矢を立てました。
『乒乓(ピンポン)』はサスペンスでしたが、簡學彬監督のスタイルやストーリーテリングをぜひこの作品でも生かして欲しいということで新しいジャンルに挑戦してもらうことになったそうです。
簡學彬監督は、見かけはワイルドですが、とても繊細な感性の持ち主であることも起用のポイントだということです。

06195では、簡學彬監督についてご紹介します。
1983年台北生まれ、2009年にCM、ドラマ、映画、ドキュメンタリーでキャリアをスタート。
2010年の八八水害と呼ばれる台風による災害のドキュメンタリー『我不只是一個人』では人手が足りず、編集、録音、撮影、監督、プロデューサー全てを担当し、学びました。
2010年、王育麟(ワン・ユーリン)監督の『父の初七日(原題:父後七日)』の制作スタッフとして参加、2011年『天龍一座が行く(原題:龍飛鳳舞)』では助監督をつとめ、王育麟監督が先生だったと語っています。

061962014年、日本でも放送された張庭瑚(チャン・ティンフー)主演ドラマ『新世界〜The New World』の助監督、2015年にファミリードラマ『If God Loves(原題:天若有情)』で監督となり、2018年公共電視のテレビ映画、吳慷仁(ウー・カンレン)主演の『乒乓』で金鐘獎のテレビ映画部門の作品賞にノミネートされました。
そして、本作が長編劇場用映画のデビュー作となります。

06197長編劇場用映画の監督デビューのチャンスにもかかわらず、監督はこのオファーを受けて、かなり迷ったそうです。
高校生から大学生がターゲットのこの作品を、すでにおじさんである自分に青春ストーリーが撮れるのか、と。
監督はこう言いますが、まだ30代ですから全然問題はないのでは…と思います。
結局引き受けたのは、青春、ラブストーリーという題材は台湾で人気があり、商業的に成功する可能性があると思ったからだそうです。そして、これは自分も若い頃に戻って楽しく撮れるだろうと思い、実際にもとても楽しかったと言っていました。
  
06198すでにスタートしていたこのプロジェクトに参加した監督は、複数の脚本家により書かれた脚本の修正から始めました。
原作者の肆一(シー・イー)が、自身の思いや、この原作が収録されている散文集の他の所からこれを使ったらどうか、などのアドバイスをしてくれ、キャラクターの恋愛の悩みの表現方法とか、映画にとって大切な要素をたくさんもらった、と監督が言っていました。
具体的には、3組のミッション・エピソード、例えば、黃健瑋演じるジムのトレーナーが愛する人を見守ることや、優等生で周りから変人と言われている阿余(アユー)がどのように自分に向き合うか、ということを提案されて取り入れたそうです。
脚本完成までには3年かかり、それからクランクインしたということです。

06199さて、次はキャスティングについてです。
監督が参加した時はまだ決まっていなかったので、大勢の候補者と会ってメインキャストの曹佑寧 , 陳妤、林映唯を決定したそうです。
起用理由としては、この3人は、台湾でとても注目されていたということ。曹佑寧は国際大会でも活躍していた野球選手から俳優になり、陳妤は新人発掘育成プログラム「Qプレスイス」出身で数々のドラマで頭角を表し、林映唯は人気モデルで演技でも活動をしていました。

061910曹佑寧といえば、映画『KANO 1931海の向こうの甲子園(原題:KANO)』で鮮烈なデビューをし、台北電影奨で助演男優賞を受賞。
大学野球のスター選手として数々の国際大会にも出場するアスリートでしたが、卒業を控えてプロ野球ではなく、俳優という職業を選びました。
私は映画『KANO』の制作スタッフをしていたので、曹佑寧とは4〜5年一緒に仕事をしていましたが、誰もが当然と思っていたプロ野球への進路には、常に迷いを持っていた姿を思い出します。

0619112018年、俳優として本格的な活動を始めた曹佑寧は、中国、香港、台湾で映画やドラマにひっぱりだこ。そのほとんどが主役です。
今年は周杰倫(ジェイ・チョウ)プロデュースのカー・レースの世界を舞台にした映画『叱咤風雲』が台湾で公開され、主演作2作が公開待ち。
簡學彬監督は、曹佑寧はアスリートだったからスタイルも良いし、イケメン、シャイなところはこの役にピッタリ。背が高くてすらっとした彼と、小柄で可愛い、天真爛漫な陳妤のカップルはとても良いと思った、と語っています。

061912曹佑寧はこの映画のオファーを受けて、人気の肆一の原作であることと、野球漬けで普通の大学生のようなキャンパスライフを送れなかったので、この役でそれを経験したいと思い躊躇なく受けた、と言っていました。
そしてこの役を演じるにあたり、2人の女の子に対する気持ちを観客に理解してもらうことがとても重要だと思い、監督と細かい動きまで話し合い、役を作っていった。そこがちゃんと表現できないとこの役の本質をうまく伝えられないということで、かなり気を配ったそうです。
本当の気持ちを口に出せないまま、好きな人の親友の力になる…その表現は、確かに難しかったと思います。

061913そして同じように親友のために好きな人に思いを伝えられない筱湘(シャオシャン)を演じた陳妤。
名匠王小棣(ワン・シャオディ)監督が創設した新人育成プロジェクト「Q Place表演教室」の優等生で、2017年のドラマ『植劇場-戀愛沙塵暴(Love of Sandstorm)』で金鐘獎の新人賞を受賞しました。
曹佑寧とは、2018年のドラマ『人際關係事務所』で共演しています。
そして、昨年の台北電影節で、期待の新人10人に選ばれました。

0619142019年に台湾で社会現象を起こした名作ドラマ『悪との距離(原題:我們與惡的距離)』、日本でも放送されましたが、これでブレイクした陳妤。
金鐘奨で多くの賞を獲得したこのドラマ、加害者の妹でメディアで働く役を演じた陳妤がノミネートされなかったが最大の心残りだと騒がれるほどの熱演でした。
今回は全く違うキャラクターですが、監督が、彼女は普通の女の子とちょっと違い、甘えたりすることがなく、どちらかというと男っぽい性格で何でも話せる。そういうところが、観客にとって自分の友達のように感じると思って選んだ。と言っています。
確かに、本作でもべたっとしたところのない、可愛いけれどそれを武器にしないキャラクターで、監督の意図を充分に体現していました。

061915モデルからキャリアをスタートした林映唯は、2016年にドラマ『遺憾拼圖(Life List)』で女優デビュー、2017年に日本でも人気のBLドラマ『HIStory』にも出演しました。
公共電視のテレビ映画『濁流』、『疑霧公堂(Mystery in the Mist)』、『訪客(訪問者)』と、社会派作品にも出演し、2018年のアイドル青春映画『有一種喜歡(About Youth)』、2020年はアイドルドラマ『墜愛』など、様々な役にトライしています。

061916本作では、助豪と筱湘の本心に気づきつつも、自分の思いをストレートにぶつける、学園一の美女を演じました。ポジションとしては三角関係の憎まれ役にもなりがちですが、監督は自分が欲しいものをきちんと追い求める勇敢な人という設定にしたのには、理由がありました。
実は彼女は小さい頃に父を亡くし、大学時代に母が病気になったため家計を支えるためにモデルを始め、そのお母さんも亡くすという経験をしています。監督が設定した病気の母を抱えながらも崩れない勇敢さは、そういう背景から反映されているようです。

061917監督は、この3人のメインキャストとは、撮影前にかなり時間をかけてコミュニケーションをとったそうです。
今の若い世代の代表と言うべき彼らと話すことで、色々なことを感じ取れるように、ご自身もできるだけ若い発想でこの映画に取り組みたかった、ということです。
それぞれの役についても、議論ではなく、コミュニケーションの中で話を進め、3人のインスタグラムなどもチェックして、ふだんの様子をリサーチして役に重ね合わせていったそうです。

061918一方、おとなのカップルのひとりを演じた黃健瑋(ホアン・ジエンウェイ)、監督は脚本段階から彼に決めていたそうです。
この役はおもしろいところもあり、真面目な部分もあります。さらに男性としての魅力も備えていなければならないということで、これは黃健瑋しかいなかった、と語っていました。
好きな相手を見守る、待ち続けるという役柄を、限られた登場シーンの中でいかに見せて行くか、事前に色々役について話し合い、詰めていったので、撮影の時にはきちんとそれを反映して演じてくれたそうです。

061919黃健瑋は、2001年の映画『シーディンの夏(原題:石碇的夏天)』で台北電影奨の新人賞を獲得、それ以来鄭有傑(チェン・ヨウジエ)監督作品に出演だけでなく若手の演技指導も任されるほどの信頼を得ている俳優です。
多くの有名監督の作品に出演し、幅広い役で存在感を示しています。
舞台やドラマ出演も多く、2015年に公共電視の主演ドラマ『麻醉風暴(ウェイク・アップ)』が印象深かったのでインタビューしたのですが、取材が終わると「妻がこれから仕事なので、僕が育児を交代します」と帰って行った事があります。奥様も俳優なのですが、ほんとに素敵な方だなぁと思いました。
※黃健瑋インタビュー記事
http://www.asianparadise.net/2017/08/2-in-a143.html

061920この黃健瑋の相手役で美術教師役が、台湾エンタメ好きなら知らない人はいないであろう楊謹華(シェリル・ヤン)。
監督が、登場シーンはあまり多くないが、短い時間ながら正確に役を創り上げてくれた、と言っていました。
この正確さの例として、 病気で絵筆をとることがままならなくなったシーンで、別のアングルから2度撮影した時、彼女は2度とも寸分の狂いもない芝居をしてくれて、すごいと思った、と感動していました。
楊謹華は、そのキャリアから、自分と相手の見せ方を素晴らしいバランス感覚で表現できる女優さんだと思います。

061921楊謹華は14才で少女モデルになり、多くのドラマや映画に出演。1999年に劉徳華(アンディ・ラウ)のMVのヒロインに抜擢され、その美貌が話題になりました。
ドラマでは2005年の『ザ・ホスピタル(原題:白色巨塔)』、2008年の『敗犬女王』、2016年の『一把青』、2020年の『鏡子森林』ほかアイドルドラマから社会派まで幅広い役を演じ、映画は本作が11作めになります。
先日、コロナ渦の中で奮闘している医療従事者にお弁当と飲料1000人分を送ったという記事が、台湾の新聞に載っていました。

061922その他、2015年の映画『若葉のころ(原題:5月一号)で注目され、ドラマや映画で活躍する程予希(ルウルウ・チェン)が、イケてない優等生役を演じています。
変人と思われている優等生と、人気DJというふたつの顔を持つこの役、どちらも本来の自分時かけ離れているそうですが、チャレンジし甲斐のある機会をもらったと、語っています。
そして、監督も彼女の演技にはとても満足しているということです。

061923そしてもうひとり、助豪の友人役の阿衝(アチョン)は、大鶴(ダーハー)という愛称で知られる期待の若手林鶴軒(リン・ハーシュアン)です。
様々な映画やドラマで“気になる脇役”としてかなり知名度があります。
彼が登場するだけで独特の雰囲気が生まれ、貴重な存在感を見せてくれます。
昨年は、若手俳優の登竜門的なポジションになっている、金馬奨のレッドカーペットの司会者をつとめました。

061924本作のヒットの現象のひとつとして、おもしろいエピソードを監督が教えてくれました。この映画のタイトルが「あなたも私の事を好きだといいのにな」という告白をするような意味ですが、若い世代ではこの映画を一緒に見に行かないかと誘うことが告白となったそうです。
そして、成功した例もかなりあったとか。
とても素敵ですね。
さらに、高い年齢層でも、自分たちの青春時代を思い出したという声が多くあったそうです。

今回は、簡學彬監督と主演の曹佑寧からムービーメッセージが届きましたので、続けてご覧いただきました。

◎簡學彬監督メッセージ内容
「日本の皆さま、こんにちは
逆走♡ONE WAY LOVEの監督、簡學彬(ジエン・シュエビン)です 
この映画は台湾の青春ラブストーリーです
そして台湾の著名な作家、肆一さんの同名エッセイを元に 
この作品を通して観客のみなさんに
誰もが嘗て経験したであろう
純粋(シンプル)で、そして美しい愛をもう一度味わって頂きたいと思いました
この映画をご覧いただいて
感動して頂きたいのは勿論ですが、
更にそんな愛情の温かさを、再び感じて頂きたいです。
この作品をご鑑賞くださり、ありがとうございます。
いつか、キャストと一緒に日本に行き、
皆さんとお会いできるのを楽しみにしています」

◎曹佑寧メッセージ内容
「こんにちは ツァオ・ヨウニンです。
この映画を見ていただいてとてもうれしいです。
この映画で皆さんの青春を思い出していただいたりとか、もしいまこの問題に向き合っている人がいたら
あなたの愛、そして自分にとってより良い選択ができたらいいなと思います。
この映画を気に入ってもらえたら周りの人に推薦して下さい」

最後に、素敵なエンディング曲についてご紹介しておきます。
香港の鄧紫棋(G.E.M.)の作詞・作曲・歌唱で「很久以後」という曲ですが、オファーを受けた彼女は、最初の編集バージョンの本編を見て引き受けたそうです。
そして、この曲のMVは本作の監督簡學彬が撮り、本編映像を織り交ぜながら作られています。
ちなみに本作のサントラには挿入歌の「我喜歡你的時候」(歌:鄭可強)と演奏曲で、「很久以後」は収録されていません。
鄧紫棋のアルバム「摩天動物園」に収録されています。

061925ここからは、台湾の青春ラブストーリーの系譜について。
優れた青春映画が多い台湾映画ですが、その中にはさわやか系、苦悩系、おバカ系、せつない系など様々な要素やスタイルがあります。
それらを可視化した分布図を作ってみましたので、画像をご覧下さい。
やはりさわやか・痛快系の明るい作品の方が多いですね。
そして、監督がデビュー作として青春映画を撮ることが多い為、20代〜30代で撮っている作品がほとんどです。
でも『藍色夏恋』の易智言(イー・ツーイエン)は43才、『私の少女時代(原題:我的少女時代)』の陳玉珊(フランキー・チェン)は41才の時ですが、そのみずみずしさは素晴らしく、年齢ではなく感性が重要だということでしょう。

061926では、このさわやか〜痛快系の作品の中から、あまりにも有名で日本で公開や映画祭上映、配信されている作品以外の映画をご紹介したいと思います。
まずは『愛情無全順(Campus Confidential)』。
2013年の陳柏霖(チェン・ボーリン)と陳意涵(チェン・イーハン)主演の作品です。
大学のミュ ーズとオタクが、絶対あり得ない状況から紆余曲折の末結ばれるというストーリーで、陳柏霖がダサダサのオタクを演じて話題になりました。
ドラマ『イタズラな恋愛白書(原題:我可能不會愛你)』で再ブレイクした後にまた主演映画が4本制作されたのですが、この映画を最後に、また台湾映画から遠ざかっています。
盧廣仲(クラウド・ルー)がオタク役で出演しているのも、注目されました。

061927次は2014年の『等一個人咖啡』。
『あの頃、君を追いかけた』の九把刀(ギデンズ)が自身の原作の映画化で再び製作に関わった作品で、ヒットしました。90年代アイドル周慧敏(ビビアン・チョウ)の特別出演が話題になりましたが、マニッシュな頼雅妍(メーガン・ライ)も素敵でした。
そして、宋芸樺(ビビアン・スン)と布魯斯(ブルース)の主役デビュー作でもあります。
台北のカフェを舞台に物語が展開していきますが、映画の為に作ったカフェはそのまま営業することになり、それ以後も人気のスポットになっています。

0619282015年の『極楽宿舍』は、『若葉のころ(原題:5月一號)』で注目された石知田(シー・チーティエン)が主役に起用されたラブコメです。
大学の寮生活を舞台に、環境改善のためにそれまで対立関係にあった男子寮と女子寮が共闘して学校側と対峙するという物語。
新人の主役ながら、この年の興行成績ベスト10にランクインし、誰が出ているかではなく、おもしろいかどうかでジャッジする台湾の観客の健全さが表れています。
監督の林世勇(HERO)は、この後創作活動がないのが残念です。

061929最後は、2019年の『有一種喜歡(About Youth)』。
イケメン・アイドル李玉璽(ディノ・リー)とシンガーソングライター畢書盡(Bii)がダブル主役の学園ストーリーで、ご覧いただいた『逆走♡ONE WAY LOVE』の林映唯もメインキャストで出ています。
全校99%の女子が憧れる仲の良い2人が、意地悪な下級生から、新入生で全くイケてない“残念な女子”を好きになれるか、という賭けを挑まれる、というストーリーです。
でも、作品の出来も興行成績もいまひとつ。人気イケメンを並べるだけでは難しいという典型で、さきほどの『極楽宿舍』の真逆ということになります。
ちょっと辛口になりましたが、これも現実です。

061931_20210619203601さて、台湾の最新情報をお知らせしたいのですが、ご存じのように残念ながら台湾でもコロナの感染が広がり、いまのところ6月28日まで映画館も閉鎖され、公開を予定していた作品も延期の発表が続いています。
6月24日〜7月10日に予定されていた台北電影節も、コロナ渦により、9月23日〜10月7日に延期になりました。
でも、2019年から始まった新星を選出する「非常新人(Supernova)」のメンバーが発表されました。
ドラマ『次の被害者(原題:誰是被害者)』で金鐘獎のドラマ部門新人賞を獲得した李沐(リー・ムー)、テレビ映画『青苔』で金鐘獎のミニドラマ部門新人賞を受賞した盧以恩(ルー・イーオン)、ドラマシリーズ『子供はあなたの所有物じゃない-ネコの子(原題:你的孩子不是你的孩子—貓的孩子)』で頭角を表した劉修甫(リウ・ショウフー)、BLドラマ『HIStory3—那一天〜あの日(原題:HIStory3—那一天)』で注目された宋偉恩(ツォン・ウェイオン)、短編映画『伏魔殿』で強烈な個性を発揮した林幻夢露(アニカ・パンナ)、今年の台北電影獎にノミネートされた短編『軟弱的梨』に出演している吳翰林(ウー・ハンリン)、日本の奥原浩志監督の映画『ホテルアイリス(原題:艾莉絲旅館)』の陸夏(リウ・シア)、ドラマ版『返校』の韓寧(ハン・ニン)と黃冠智(ホアン・グァンチー)、莫子儀(モー・ズーイ)主演映画『該死的阿修羅』でスクリーン・デビューした潘綱大(パン・ガンダー)。
明日のスターたちのこれから、楽しみですね。

061931一方、日本は東京でも大規模映画館が再開しました。
台湾映画公開ラッシュの第二弾、鄭有傑(チェン・ヨウジエ)監督の『親愛的房客』が『親愛なる君へ』の邦題で7月23日よりシネマート新宿・心斎橋ほか全国順次公開されます。
ミステリアスで重厚なサスペンス調の展開を匂わせつつ、徐々に真実が解き明かされていくと、温かな情感溢れる結末まで一気に導かれる本作は、『一年の初め(原題:一年之初)』以来14年ぶりに鄭有傑作品に出演した莫子儀(モー・ズーイ)が主役。これで、金馬奨と台北電影奨で主演男優賞に輝き、陳淑芳(チェン・シュウファン)が助演女優賞、最優秀オリジナル音楽賞を受賞しています。

061932莫子儀の名演はもちろん、音楽賞を授賞した法蘭(フラン・チェン)のメインテーマが、ストーリーの中で重要なアイテムとして心を揺さぶります。
ミステリータッチという新しい挑戦ではありますが、鄭有傑監督の暖かい目線、登場人物の深い掘り下げ方はこれまでの作風を継承し、更に厚みが加わりました。
窓から基隆(キールン)の港を一望できる主人公達の家ほかロケーションも素敵で、そのひとつひとつが物語に寄り添い、見る者の琴線を震わせます。
ぜひ、劇場で味わって下さい。

このアフタートークは、映像として10月31日までアーカイブ配信しています。
良かったら、ご覧下さい。
https://v.classtream.jp/tw-movie/#/player?akey=1704d8b6c3c5b57e73a721b58fcd4941

また、簡學彬(ジエン・シュエビン)監督と主役の曹佑寧(ツァオ・ヨウニン)のインタビュー音声は、近々Podcastで配信予定です。
どうぞ、お楽しみに!

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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