« 第32回流行音樂金曲獎 歌王蛋堡=杜振熙(トー・チェンシー)、歌后には田馥甄(Hebe)! | トップページ | Podcast 台湾映画『Mickey On The Road(中文題:迷走廣州)』陸慧綿(ルー・フイミエン)監督インタビュー! »

2021/08/23

第32回流行音樂金曲獎授賞式のトピック!

0823gma18月21日に台北流行音樂中心で行われた第32回流行音樂金曲獎授賞式は、感染予防対策のため無観客で、PCR陰性證明を提出したノミネート者と関係者らがマスク着用で、間を空けた座席で参加しました。
メディアも人数を制限する為に事前に抽選を行うほか、厳しい条件のもとでの取材となり、当然私も現地に行くことができないため抽選にはエントリーせず、オンライン取材の形をとりました。
それでもテレビ中継と配信でレッドカーペットも通常通り行われ、授賞式はたいへん盛り上がりました。

0823gma2今年はは阿爆(アバオ)の「找路」、「嚇一跳」、「跳一波」、「母親的舌頭」、「Thank You」のメドレーで、原住民のコーラスとダンスによる力強いパフォーマンスで幕を開け、Lulu=黃路梓茵(ホアン・ルー・ズーイン)の司会により、各賞の発表と授賞が進みました。
どの賞も激戦だったようで、ダントツというのはありません。受賞の最多は曹雅雯(オリビア・ツァオ) 、田馥甄(Hebe) 、杜振熙(トー・チェンシー) 、五香放克樂團で3つずつ。続いて桑布伊(サンブーイ) が2つ、あとは1つずつという結果です。
言語も華語、台湾語、客家語、原住民語の曲がバランス良く並び、英語曲も受賞しました。

今回は、トピック形式で授賞式を振り返ります。

★原住民語で始まり、原住民語で終わる
0823gma3前述のように、阿爆のパフォーマンスに始まり、最後の授賞は年度專輯獎(アルバム賞)で、桑布伊(サンブーイ)の「得力量」でした。
桑布伊はその前に住民語歌手賞も獲得しており、「天国のお父さん、お兄さん、そして故郷の皆さん、私は台東のプユマ族として多くの人々が土地と環境の正義に注関心を持ってくれることを願っています」と、メッセージ性の強いスピーチをしていました。
そして最後の年度アルバム賞では「マンゴーを作っているママをはじめ、私を育ててくれた全ての人に感謝します。今日のオープニングパフォーマンスにとても感動しました。台湾の音楽はどんどん良くなっていきます。もっともっと大きな力を付けられるように、みんなで励まし合っていきましょう」という連帯の言葉に、場内から大きな拍手がわいていました。

★オリンピックのメダリストがプレゼンター
0823gma4最後の華語アルバム賞発表の時には、阿爆(アバオ)が東京オリンピックの重量上げ金メダリスト郭婞淳 (グオ・シンチュン) と柔道の銀メダリスト(ヤン・ヨンウェイ)を伴って登場しました。
阿爆と楊勇緯はパイワン族、郭婞淳はアミ族ということで、プユマ族の桑布伊にトロフィーを渡すということになったわけです。

★激戦の華語男女歌手賞
0823gma5審査委員長の鍾成虎(ジョン・チェンフー)がどの賞も激戦だったと言っていましたが、大勢が注目する華語男女歌手賞は、投票と討論に相当時間がかかったそうです。
華語男性歌手賞は、5回の投票になり、最後は蛋堡=杜振熙(トー・チェンシー)と韋禮安(ウェイ・リーアン)、吳青峰(ウー・チンフォン)の三つ巴。最後の投票で過半数を取ったのが蛋堡でした。
「なんと言って良いかわからない、みんな凄いので、僕はただ運が良かっただけだ」とスピーチしましたが、審査の講評では
「蛋堡の歌は生活と密着しており、ヒップホップと人生の統合を超えている。言葉とリズム感は新しい常識と言えるだろう」ということでした。

0823gma6一方の華語女性歌手賞は、田馥甄(Hebe)の頭上に。
こちらも討論を重ね3回の投票後に決定、「アイドルからシンガーへ、すでに成熟したスタイルを創り上げた」というのが授賞理由です。
スピーチではEllaとSelinaに感謝して「私は登山が好きで、100を超える山を登りました。でもステージでのステップは足が弱かった。幼い頃から歌うのが大好きだったので、よくお風呂で歌っていました。 ママ! お湯を無駄にせず、金曲奨を受賞しました! この喜びは言葉では言い表せないです。また、すべての人が心身共に健康であることを祈っています」と、コロナ渦での現状を気遣っていました。

★年度歌曲獎は「刻在我心底的名字」
0823gma7すでに金馬奨で主題歌賞を獲得している映画『君の心に刻んだ名前(原題:刻在你心底的名字)』の主題歌、「刻在我心底的名字」は、本当に多くの人に愛され、映画の主人公を演じて劇中で歌っている陳昊森(エドワード・チェン)もCDを出していますが、Maydayの阿信はじめ多くのアーチストがカバーしています。
盧廣仲(クラウド・ルー)にとっても、珍しく自分が作ったのではない曲で2つの大きな"金"を獲得したのですから、とてもうれしそうでした。

★プレゼンターの俳優林柏宏(リン・ボーホン)と陳昊森(エドワード・チェン)
0823gma8その「刻在我心底的名字」を歌っている陳昊森は、林柏宏と共にMV賞とパッケージデザイン賞のプレゼンターをつとめました。
なぜ林柏宏が?と思われた方もいるかもしれませんが、新人賞にノミネートされている青虫(aoi)の「無你的故事」のMVの主演&デュエットをしているのです。
そして、実は大学生時代に「星光大道」という歌のオーディション番組で蘇打緑(ソーダグリーン)の「小情歌」を歌って入賞し、これがきっかけで俳優デビュー。しかも主役、サントラで主題歌も歌っています。とても上手なので、インタビューの度に音楽活動はしないのか聞いていたのですが、機会があれば、という答えでした。その機会が今回のMVの主演&デュエットということで、このプレゼンターのキャスティングはなかなかよく考えられたものでした。

★英語のバンド賞
0823gma9冒頭で各曲の言語について触れましたが、今回のバンド賞の落日飛車(Sunset Rollercoaster )は、英語の歌詞が多く、受賞したアルバム"柔性風暴"もそうです。
前評判の高かった告五人を退けての受賞です。
バンド結成から10年、アーバンかつメロウな唯一無二のサウンドで人気となり、2019年にはFUJI ROCKに出演して話題となりました。アジアのみならず、今は世界中から熱烈な支持を得ています。
「我是一隻魚」や「小薇」などカバー曲では中国語で歌っているものもありますが、ほとんど英語の歌詞、というのは珍しいですね。

★あまりの驚きに思わずスラングを発した萬芳
0823gma10審査員賞を受賞した萬芳(ワン・ファン)は、トロフィーを手に「XX、こんなことになるとは思わなかった。なんと言って良いのか…審査員の皆さんありがとうございます。このアルバム"給你們"のテーマは生命です。歌手になって30年、最初の10年はラブソングを歌い、次の10年は多くのことがありました。10年を3回重ねてたくさんのことを伝えたくてテーマを生命にしました」と、最初に出た言葉がスラングだったので、台湾でもかなり注目の報道をされました。
それほど思いも寄らぬ喜びだったのでしょう。

★会えない人に思いをこめて
0823gma11パフォーマンスゲストのひとり李玖哲(ニッキー・リー)は、曹格(ゲイリー・ツァオ)の「世界唯一的你」とサム・スミスの「Lay Me Downほを歌ったのですが、大きなスクリーンにコロナ渦のため帰国できず、家族や愛する人に会えない多くの人々のメッセージが映し出されました。
李玖哲もまた、日本にいる奥様と一年半会えないでいるとのことで、その思いのこもった歌唱に心打たれました。もともと抜群の歌唱力のある彼ですが、それに加えてより感情のこもった歌に、涙があふれました。

★特別貢献賞の羅大佑を祝うパフォーマンス
0823gma12羅大佑(ルオ・ダーヨウ)の特別貢獻獎を祝し、"閃亮的日子"と銘打った5人のアーチストが歌い繋ぐパフォーマンスがありました。
黃韻玲(ホアン・ユンリン)〜告五人(Accusefive)〜家家(ジアジア)〜老王樂隊〜金智娟(Wa-Wa)が「鹿港小鎮」「我所不能瞭解的事」「穿過你的黑髮的我的手」「戀曲1990」「野百合也有春天」を歌い、最後は全員で「家」の大合唱。
この「家」は映画『GF*BF(原題:女朋友。男朋友)』の主題歌として使われ、色々なメッセージを感じることができます。
受賞スピーチでは「私はこの業界に入って44年になりますが、今日の賞は新人賞と同じで、一生に一度しか受賞できないことに気づきました。おじさんも止まらない」と意気軒昂の羅大佑、うれしい限りです。

コロナ渦の中、感染を抑え込んでいる台湾でも厳しい対策で開催され、テレビと配信により数々のパフォーマンスで多くの人に元気を届けた金曲奨。来年は、会場で満員の観客とともに開催されることを祈ります。

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

|

« 第32回流行音樂金曲獎 歌王蛋堡=杜振熙(トー・チェンシー)、歌后には田馥甄(Hebe)! | トップページ | Podcast 台湾映画『Mickey On The Road(中文題:迷走廣州)』陸慧綿(ルー・フイミエン)監督インタビュー! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 第32回流行音樂金曲獎 歌王蛋堡=杜振熙(トー・チェンシー)、歌后には田馥甄(Hebe)! | トップページ | Podcast 台湾映画『Mickey On The Road(中文題:迷走廣州)』陸慧綿(ルー・フイミエン)監督インタビュー! »