2021 台北電影獎 授賞式と受賞者、プレゼンター&パフォーマーもすごい!
3ヶ月延期になった2021 台北電影獎の発表授賞式が、10月9日に三立テレビホールで行われました。
すでにお知らせしたように、百万元大賞は2年ぶりにドキュメンタリー映画『捕鰻的人』が獲得し、『消失的情人節(1秒先の彼女)』は作品賞など4部門、『無聲』が3部門、『詭扯』が2部門と続きました。
影帝・影后と呼ばれる主演男・女優賞は、邱澤(ロイ・チウと陽靚(ピース・ヤン。
審査委員長の王童(ワン・トン)監督は「今回の作品を見て、台湾映画はますますエキサイティングになっていると感じています。台北電影節のテーマは、イメージの蝶の如く革新的で多様性があり、それぞれが非常に美しく、ユニークで、自由度が高いです。本映画祭は、多くの若者の創造力を奨励しています。それがノミネートにつながり、とても素晴らしいことだと思います」と語っていました。
百万元大賞とドキュメンタリー映画賞、撮影賞を獲得した『捕鰻的人』は、2006年からドキュメンタリーを撮り続けている許哲嘉(シュー・ジャージア)監督が5年かけて製作したもので、台湾の鰻漁をする漁民たちの生活を描き、現実に直面した彼らの苦難と様々な思いを真摯に記録し、台湾の人々の生活を存分に表現している、というのが授賞理由です。
鰻を捕まえるるプロセスは、監督のこだわりの美学によりシャッタースピードを落としたモノクロで撮影したそうです。
長編劇映画賞は陳玉勳(チェン・ユーシュン)監督の『消失的情人節(1秒先の彼女)』、金馬奨の5冠に続き、監督賞、編集賞、視覚効果賞の4部門を制しました。
選考経過は、最初が本作6票、『無聲』と『同學麥娜絲(同級生マイナス)』が3票ずつで、2回目に10票をとった本作に決定。
オリジナリティーに溢れたストーリーと表現、卓越した技術により監督の創作理念が見事に結実している、という選考理由です。
脚本賞は、『我沒有談的那場戀愛(つかみ損ねた恋に)』の徐譽庭(シュー・ユーティン)。
新しい語彙を大胆に試し、これまでにないリアルな若い世代の会話を表現した。 キャラクターの台詞には深い感情が精密に描かれ、キャラクターのやりとりは繊細でエキサイティングだ、と評価されました。
徐譽庭は、「努力が報われ、幸運が見方してくれて、とてもうれしい」と語り、審査員たちがちゃんと自分の挑戦を見てくれ、わかってくれたことに感謝していました。
主演男優賞は2018年の『先に愛した人(原題:誰先愛上他的)』に続き2度目の邱澤(ロイ・チウ)が、『當男人戀愛時(君が最後の初恋)』により受賞。張震(チャン・チェン)や吳慷仁(ウー・カンレン)と接戦かと思いきや、最初から13人中10票を獲得し圧勝だったそうです。
「人生で最も素敵な贈りもの、それは映画を撮っている時にいろいろ啓発される時です。これからも努力を続けます』とスピーチし、「僕の主演女優許瑋甯(アン・シュー)に感謝します」というひと言がメディアに大きく取り上げられ突っ込まれましたが、「共演者として敬意を表した」と説明していました。
最も難航した主演女優賞は、『愛.殺』の陽靚(ピース・ヤン)と『消失的情人節(1秒先の彼女)』の李霈瑜(パティ・リー)の一騎打ちだったそうで、45分間の討論の後に8票獲得した陽靚に栄冠がもたらされました。
ダークホースと思われた陽靚でしたが、最初から高い評価を受けていたことがわかりました。
トロフィーを受け取るとまず客席の周美玲(ゼロ・チョウ)監督に「この役を任せていただき、ありがとうございます」に謝意を述べ、この難しい役を演じることを決心した時から支えてくれた恋人に、感謝していました。
助演男優賞の劉冠廷(リウ・グァンティン)は、『詭扯』と『同學麥娜絲(同級生マイナス)』の2作でのノミネートでしたが、『詭扯』での受賞となりました。
こちらも『無聲』の金玄彬(キム・ヒュンビン)との対決で、3回目でやっと過半数を獲った劉冠廷が選ばれたそうです。
「『詭扯』は俳優たちが互いに刺激し合い、とても楽しい現場でした」と語り、長年の恋人孫可芳(ソン・カーファン)に対する長い感謝の言葉に、ゴールインも近いのでは?と思わせました。
助演女優賞は、『詭扯』の百白(バイ・バイ)と『緝魂(THE SOUL:繋がれる魂)』の孫安可(スン・アンカ)が競り、2回目の投票で百白が9票を獲得。
ステージに上がった時から涙の百白は、最後には言葉を詰まらせながらも「屏風劇団と恩師の李國修(リー・グォショウ)の存在がなければ、女優の私は存在しません。喜劇でこの賞をいただけたことは本当に励みになります」とスピーチし、最後に本作の許富翔(シュー・フーシャン)監督に対して3回の「ありがとう」を送りました。
そして新人賞は、昨年の金馬奨に続いて『無聲』の陳姸霏(チェン・イェンフェイ)が受賞。
柯貞年(クー・チェンニエン)監督と、一緒にノミネートされた共演者の劉子銓(リウ・ズーチュアン)に感謝し、「今の自分を超えるため、努力を続けます。自分自身を向上させ続けることが私の人生の目標なので、精進していきます」と、しっかりした口調でスピーチしていました。
さて、今年のパフォーマンスゲストは、林美秀(リン・メイショウ)と馬念先(マー・ニエンシェン)という素敵なふたり。
台湾映画史の様々な作品の主題歌を歌い継ぎました。
台湾語の曲も多く、この選曲には唸らされました。
諾言『我沒有談的那場戀愛(つかみ損ねた恋に)』/林美秀
Pinoy Sunday『台北星期天』/馬念先
峇里島『先に愛した人(原題:誰先愛上他的)』/馬念先
国境の南『海角七号 君想う、国境の南(原題:海角七號)』/馬念先
追追追 『球愛天空』/馬念先
好小子『カンフーキッド(原題:好小子)』/馬念先
報告班長『報告班長』/馬念先
泰國蝦『1秒先の彼女(原題:消失的情人節)』/馬念先
金罵沒ㄤ『祝宴!シェフ(原題:總舗師)』/林美秀
今年も豪華なプレゼンターが揃いましたが、その中で印象的だったやりとりは長編劇映画賞の吳慷仁(ウー・カンレン)と邱澤(ロイ・チウ)。
主演男優賞発表直後で、ライバル視されていたふたりの為どういう展開になるのかと思ったら、吳慷仁が悔しそうに地団駄を踏むというパフォーマンス。
そして、内ポケットからとり出したのは、『當男人戀愛時(君が最後の初恋)』で使われた契約書のパロディでした。あとで吳慷仁のFBで公開されていたのでじっくり見て大笑い。ぜひ、皆さんも見てみて下さい。
こんなもの作っていたのですね。仲の良いふたりだからのやりとりで、楽しかったです。
そして、短編映画賞を発表した胡宇威(ジョージ・フー)。本当は龍邵華(ロン・シャオホア)と一緒にプレゼンターをつとめるはずだったのですが、9月14日に急逝し叶わなくなったことを述べ、全員で1分間の黙祷を捧げました。
昨年の呉朋奉(ウー・ポンフォン)に続いて台湾映画の重要な俳優さんの突然の訃報には驚きましたし、本当に無念です。
助演男優賞のプレゼンター馬志翔(マー・ジーシアン)と陳嘉樺(Ella)は、登壇前に司会者の阿Kenから促され、共演した『聽見歌 再唱』の馬志翔が指揮をしてEllaが歌うという一場面を再現して、大喝采。
Ellaちゃんは、いつも元気で本当に盛り上げ上手です。
その他の皆さんは、写真でお楽しみ下さい。
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