2022大阪アジアン映画祭『凪』祝紫嫣(サーシャ・ジョク)監督インタビュー
開催中の大阪アジアン映画祭で上映されている台湾の短編映画『凪』の祝紫嫣(サーシャ・ジョク)監督に、オンラインインタビューしました。
本作は、香港の監督が台湾の高雄電影節のプロジェクトに参加して制作された短編で、恋が始まったふたりを通して香港、台湾、日本の立ち位置を見事に描き、とても心に刺さる作品です。
主な登場人物は、高雄の居酒屋で働く香港女性と日本人男性。これを監督自身と、日本の松㟢翔平が演じています。
本作は若いふたりの異国でのラブストーリーが展開していくのですが、その背景にうっすら描かれるの激動の香港。
“小さな世界”と“大きな世界”と表現される二人の生き方と未来、何を選び何を捨てるのか、それをラブストーリーの中に見事に織り込んで創り上げたのは、中国の婁燁(ロウ・イエ)監督の『天安門、恋人達(原題:颐和园)』の中の台詞に感銘を受けたからだそうです。
「愛とは何かをはっきり語れば良い、そうすればこの世界を知ることができる」ここから、「大きな出来事は大上段に振りかぶった描き方でなくても良いのではないか、それはすでに多くの人が事実として知っていることであるし、自分はそういう手法はとりたくないと思った。愛を描くことで、そこから大きな出来事を皆さんに伝えることができれば良いと思った」と、語っていました。
私ごとで恐縮ですが、婁燁監督は大好きな監督で、中でも一番好きな作品が『天安門、恋人達(原題:颐和园)』。だから祝紫嫣のこの作品に強く惹かれたのだ、と、ひとり納得しました。
本作の台詞はほとんど日本語ですが、監督はもともと日本語を話せるのではなく、全て台詞として覚えたそうです。
相手役の松㟢翔平は、日本のドラマ『テラスハウス』を見てオファーしたと言っていました。
生まれも言葉も違いながらも惹かれあうこのふたりの小さな世界、ラブストーリーとしてとても素敵です。
静かな海でたゆたう美しい二人の映像…凪…ここにも実は監督の思いが詰まっていたことがこのインタビューでわかり、もう一度見たくなりました。
『凪』は、明日3月16日の18:20から2回目の上映があります。
ぜひ多くの皆さんに見ていただければ、と思います。
そして、後日Podcast配信する監督のインタビューを聞いていただき、この映画の素晴らしさを再確認していただければ、と思います。
『凪』(台湾)
監督:祝紫嫣(サーシャ・ジョク)
出演:祝紫嫣(サーシャ・ジョク)、松㟢翔平
大阪アジアン映画祭の紹介ページ
http://www.oaff.jp/2022/ja/program/t06.html
★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。
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