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2022/03/26

2022大阪アジアン映画祭 台湾映画『三月的南国之南』李尚喬(リー・シャンチャオ)監督インタビュー

0326offlee 2022大阪アジアン映画祭で上映さた台湾の短編映画『三月的南国之南』の李尚喬(リー・シャンチャオ)監督に、オンラインインタビューしました。
本作は、1947年に台湾で二二八事件が起きた当時、高雄の高校生たちによる白色テロに抵抗した高雄中學自衛隊の物語。
高雄第一中學の学生がリーダーとなり、高雄工業学校、高雄商業学校、そして高雄女中の女子生徒たちが高雄中學自衛隊を組織し、男子は武器を持って憲兵隊に立ち向かい、女子生徒は戦う彼らのためにおにぎりを作って後方支援をした抗議活動です。
(※中學というのは、日本の高校にあたる)

この事実を映画でも見たことがなく、全く知らなかった私は、にわか勉強で監督にお話しを伺いました。
まず、監督が何故この事件を映画にしたのかから聞くと、2019年の香港の逃亡犯条例反対から始まる一連の運動で、"今日の香港は明日の台湾"と緊張感を持つ自分たちが、もう一度台湾の歴史を見直さなければならないと思ったことがきっかけだということです。
それは台湾の若者達を中心に大きなうねりとなり、『返校 言葉が消えた日(原題:返校)』も大ヒットしました。

李尚喬監督は「二二八事件はよく知られていますが、台北以外のこういった活動や事件はほとんど知りません。そこで、自分たちの歴史を知ろうという強い思いがわき、この高雄の事件について調べたいと思いました」と、口火を切りました。
高雄中學自衛隊についてはあまり資料も残されていないと映画の中でも語られているように、そのリサーチにはかなり苦労したそうです。
それでも取材を続けるうちに、高雄中學自衛隊のリーダーだった人を捜し当て、色々話を聞くことができたそうです。取材当時92才という高齢でしたが、当時の事を事細かに語ってくれたと監督が言っていました。

0326offsanyue 本作でアメリカから故郷の台湾・高雄に戻った老写真家の主人公を演じたのは、名女優陸弈靜(ルー・イーチン)。
監督はダメもとでオファーしたところ、脚本を読んだ陸弈靜から快諾をもらったそうです。この主人公が、当時のことを孫娘に語る、という形で回想のストーリーが展開。
ドラマや映画で台頭する若手の林玉書(リン・ユーシュウ)、陳鼎中(チェン・ディンジョン)らが当時の学生を瑞々しく演じています。

今年は3月15日に掲載した短編『凪』で、香港の監督が自ら主演して緊張する香港、台湾の姿をうっすらと背景に忍ばせていました。
抵抗の歴史と現実が描かれた短編二作が大阪アジアン映画祭で上映されたことの意味を、しっかりと受け止めなければならないと思いました。

私たちがあまり知らない台湾の歴史を描いた『三月的南国之南』について色々お聞きした李尚喬監督のインタビューは、ほかにも興味深いことがたくさん語られています。後日Podcast配信しますので、ぜひお聞き下さい。

『三月的南国之南(原題:三月的南國之南)』
監督:李尚喬(リー・シャンチャオ)
出演:陸弈靜(ルー・イーチン)、林玉書(リン・ユーシュウ)、陳鼎中(チェン・ディンジョン)、賴雨霏 (ライ・ユーフェイ)

大阪アジアン映画祭の紹介ページ
https://www.oaff.jp/2022/ja/program/t04.html

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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