第35回東京国際映画祭閉幕 東京グランプリは『ザ・ビースト』!
10月24日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第35回東京国際映画祭が、11月2日(水)に閉幕を迎え、東京国際フォーラムにてクロージングセレモニーが行われました。
各部門における各賞の発表・授与、さらに小池百合子東京都知事も会場に駆け付け、【東京グランプリ/東京都知事賞】を受賞した『ザ・ビースト』へのトロフィー授与をおこないました。
◆各賞受賞
コンペティション部門
東京グランプリ/東京都知事賞『ザ・ビースト』(スペイン/フランス)
審査員特別賞『第三次世界大戦』(イラン)
最優秀監督賞ロドリゴ・ソロゴイェン監督『ザ・ビースト』(スペイン/フランス)
最優秀女優賞アリン・クーペンハイム『1976』(チリ/アルゼンチン/カタール)
最優秀男優賞ドゥニ・メノーシェ『ザ・ビースト』(スペイン/フランス)
最優秀芸術貢献賞『孔雀の嘆き』(スリランカ/イタリア)観客賞『窓辺にて』(日本)
アジアの未来作品賞『蝶の命は一日限り』(イラン)
AmazonPrimeVideoテイクワン賞 該当者なし
特別功労賞 野上照代
◆受賞者コメント
特別功労賞受賞野上照代コメント:
ありがとうございます。なんて言ったって(今年で)95歳ですからね、よく保ったものです。私は、映画が本当に好きだし、映画という表現をここまで続けてきてくれた色々な監督たちに感謝します。いろいろな表現があるけれど、やっぱり映画ほどリアルで具体的で真実に迫るものはない、やはり素晴らしい表現だと思います。今年は、安藤さん(チェアマン)も来られて素晴らしい会になって良かったと思います、ありがとうございました。
Amazon Prime Video テイクワン賞プレゼンター行定勲(監督)コメント:
Amazon Prime Video テイクワン賞、今年の該当作品はありませんでした。私たちプロの立場であっても、映画の企画が生まれ、完成するまでに至るというのは奇跡的なものです。私たち自身も完成した作品より、消えていった作品の方が多いのが現実です。このAmazon Prime Video テイクワン賞は、新人監督に長編映画の企画を実現するチャンスを与えるという夢のような賞です。しかし、それに見合う実力を、この人に獲らせたいという想いを、今回のファイナリストの作品から見出すことが出来ませんでした。審査会議では辛辣な意見も飛び交った「それぞれの作品には良さがある、しかしそれは世界に繋がっていない、15分という短編には強い作家性が込められるべきで、それを感じられなかった」どの作品にもイメージの飛躍が我々の想像を超えるものではなかった。しかし、今はまだ賞に値するものではないが、今回のファイナリストに残ったいつか評価される才能が、この中にいるのではないかと期待したいと思います。
ここ数年、さまざまな短編映画祭の審査委員を務めてきましたが、昨年のテイクワン賞のレベルには正直驚かされました。こんなにも才能のある作家がまだいるのかと。実力はあるが商業ベースではない若手を見出す、世の中をもっと広く意識した作品を作ろうとじゃないか、とする才能をAmazonスタジオが支援をするテイクワン賞にふさわしいのは辛辣な意見を聞いてきた作り手であり、この賞はそれでも作り続けるという作り手にこれから手を差し伸べるべきだと思います。今回の結果を是非、来年のAmazon Prime Video テイクワン賞に繋げていただきたいと切に思います。
来年は、更なる飛躍をしていただいて、また若い人たちがどんどん応募してきていただけたらなと思っております。
<アジアの未来>
作品賞受賞『蝶の命は一日限り』モハッマドレザ・ワタンデュースト(監督)コメント
この賞をいただくことはとても感銘を受けることなのですが、今は芸術性の高い映画が中々色んな映画祭で賞を貰ったりしないので、東京国際映画祭は今でも芸術性を大事にする映画、芸術の言葉で一つの物語を語る映画を大事にすることということに、私たちは感銘を受けました。私たちは監督として一つの社会問題を、映画の言葉で表現することはとても重要なことであると信じてます。この場を借りて、この賞をイランの大変素晴らしい女性たちに捧げたいと思います。世界の平和、そして戦争がない平和を願って、スピーチを終わりたいと思います。
<コンペティション>
観客賞受賞『窓辺にて』今泉力哉(監督)コメント:
私の作品はすごく、個人的な本当に小さな悩み(を題材に)恋愛映画をずっと作り続けているのですけれども、世界には戦争だったりとか、ジェンダーの問題だったりさまざまな問題がある中で映画の題材にならないような、小さな小さな...本当に小さな取るに足らない悩みとか、個人的な問題とかを、恋愛を通じてコメディ的な笑いも含めて描こうと思って今まで作り続けています。どうしても映画に限らずですけれども、小説とかそういうものっていうのは大きな問題を取り上げてそれについて語るものとしての側面があると思うのですけれども、自分は主人公も受動的だったり、自ら行動できなかったりとか、見過ごさられるような小さな問題について映画きたいというのをずっと作り続けています。自分が映画を作ってきて、こうやってこの場に立って至れるのを嬉しく思いますし、今後も続けていければと思います。まだまだ、戦争だけではないですし色々な問題がありますが、ネガティブに全部捉えるわけではなく、そこにある小さな喜びとか、そういうものについてこれからも、自分なりにできることを考えて行こうと思います。
最優秀芸術貢献賞受賞『孔雀の嘆き』サンジーワ・プシュパクマーラ(監督)コメント:
日本の政府・日本のみなさんに大変多くなサポートいただきましたことを心から感謝したいと思います。私たちの困難の間、みなさんから非常に強力なサポートを得ることができております、ありがとうございます。また、私の映画のまさに源となりました妹、兄弟に感謝しております。この映画を全てのスリランカの人に捧げたいと思います。私たちは税金で教育を受けることが出来ております。そういった意味で私はこの映画そのものをスリランカの人々に捧げたいと思います。
最優秀男優賞受賞『ザ・ビースト』主演ドゥニ・メノーシェコメント:
東京国際映画祭は大好きな映画祭です。賞をいただくことができて光栄です。日本が大好きで、日本の文化を素晴らしく思っております。世界中が「日本的」だったらもっと住みやすくなるに違いありません。ですから受賞を大変喜ばしく思っております。残念ながら、今私はモントリオールにいます。また日本に行くことを楽しみしにしており、いつか日本で映画を作りたいものです。
最優秀女優賞受賞『1976』主演アリン・クーペンハイムコメント:
このような素晴らしい賞をいただいて大変嬉しく驚くと共に、大変光栄に思っております。映画祭審査委員のみなさん、そしてこの役を私に託してくれたマヌエラ・マルテッリ監督、『1976』の素晴らしいチームの仲間たち、非のうちどころのない愛情に満ちたチームワークは改めてお礼を申し上げます。本当はみなさんと一緒に祝いたいのですが、私は文字通り地球の裏側にいるのです。とても遠いチリのサンティアゴからみなさんに暖かい抱擁を送ります。あなた方一人一人の幸運を祈ります。
最優秀女優賞受賞作監督:マヌエラ・マルテッリ監督(『1976』)コメント:
私の作品を上映する機会を与えてくださった東京国際映画祭のみなさま、心から感謝しております。そしてまた、この素晴らしい日本という国、そして素晴らし日本のみなさまに心から感謝しております。実は、10歳の時にこの主演のアリンさんにインタビューをする機会があったんです。それで今彼女がこの作品で賞を獲ったと行くことが、とても感激しております。
審査員特別賞受賞『第三次世界大戦』ホウマン・セイエディ監督(代理:主演マーサ・ヘジャズィ)コメント:
残念ながら監督がこの場に来られなかったので代わりにメッセージをいただいているので私が読ませていただきます。“日本のために、そして全ての私の幻想のために。この世界は山であり、私たちの行動は呼びかけである。呼びかけは声として入ってくる、声には呼吸がないが、声は聞くことができる。私の声は、あなたの元に届くでしょう。私は今、この瞬間みなさんと一緒にいることができません。それは私が望まなかったからではなく、そうせざる得なかったからです。けれど私の声は、そこにあります。あなた方と一緒にいられなかったこと、あなた方の文化や伝統に触れられなかったことが、とても悲しいです。しかし私は何年も前からみなさんの声を聞いているのです。俳句読む度に、村上春樹やカズオ・イシグロの本を開く度に、黒澤映画をみる度に、私はみなさんのことをよく知っています。そしてもうすぐみなさんに会いに飛んでいきます。世界平和を願い、日本のみなさんに会えることを願い、私たちを受け入れてくれたこと深く感謝の気持ちをお送りします。
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