2022年の台湾映画を振り返る
2022年の台湾映画はジャンル映画の中でもホラー花盛りで、興行収入で一億超えはトップの『呪詛(原題:咒)』のみですが、ベスト10内に合わせて4作ランクインしました。
しかし、トップの『呪詛(原題:咒)』と二位の『我吃了那男孩一整年的早餐』は1億台湾ドルの差があり、社会派作品『流麻溝十五號』は二位の半分、以下は大きな差がないという状況です。
年々製作数が減ってきている青春映画が二位で善戦していることはうれしいことですが、ベスト10の中で金馬奨や台北電影奨でトロフィーを多数獲得しているのは『アメリカから来た少女(原題:美國女孩)』だけ。
金馬奨で評価の高かった『哈勇家』は興行成績12位と健闘しましたが、受賞と興行成績がリンクしている作品が少ないことが残念です。
もうひとつ残念だったのは、東京国際映画祭で台湾の新作が上映されなかったことです。
もちろんエントリーの数は例年と変わらなかったと想像するのですが、選ばれなかった…。
でも、台湾が誇る巨匠楊德昌(エドワード・ヤン)監督の『エドワード・ヤンの恋愛時代(原題:原題:獨立時代)[レストア版]』が上映され、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督の特集上映が東京フィルメックスとのコラボで開催されたのはとてもうれしく思いました。
そして、大阪アジアン映画祭では例年通り短編映画を含め新作とデジタル・リマスターされた貴重な作品が上映されました。
作品一覧のところに取材記事と監督のインタビュー音声Podcastのリンクを貼ってありますので、ご参照下さい。
日本では旧作含め台湾ホラーの公開や配信が多く、ちょっとしたブームになり、私もELLEに原稿を書かせていただいたりしました。
ホラー映画をきっかけに、台湾映画の他のジャンルにも興味を持ってくれる方が増えることを願っています。
また、俳優の柯震東(クー・チェンドン)が『黑的教育』 で監督デビューして、金馬奨の新人監督にノミネートされたことはうれしい驚きでした。