アジアンパラダイス

◆検閲によりカットされた部分を復活

本作は、広州市にあるビルに囲まれた”都会の村”洗(シエン)村を舞台に、1989年から現代まで中国の30年間を、
香港、台湾との密接な関係と、ある家族の姿を通して描くクライムサスペンスです。
2017年春に完成し、北京市の映画関係部署の審査に入りましたが、その後約2年間、当局から繰り返し修正を迫られ、全国での公開日まであとわずか7日というところまで作業は続きました。
2019年4月4日に中国本土で公開されると、3日間で約6.5億円の興行収入を記録し大ヒット。
今回は、2019年の東京Filmexオープニング作品として上映されたバージョンに、検閲によりカットを余儀なくされた部分を復活させた129分の完全版の公開となります。

◆ストーリー

2013年、広州の再開発地区で立ち退き賠償をめぐり、住民の暴動が起こったその日、開発責任者のタン（チャン・ソンウェン）が屋上から転落死する。
事故か他殺か、捜査に乗り出した若手用事のヤン（ジン・ボーラン）は、捜査線上に浮かぶ不動産開発会社の社長ジャン（チン・ハオ）の過去をたどる。
その過程で見えてくる、ジャンのビジネス・パートナーだった台湾人アコン(ミシェル・チェン）の失踪事件。
政府の役人タンの転落死と不動産会社の幹部アコンの謎の失踪、2つの事件を生んだ愛憎の根本は、 ジャンと死亡したタン、タンの妻のリン（ソン・ジア）が出会った1989年、まさに天安門事件が起きた年だった...。

◆若手スター井柏然（ジン・ボーラン）の成長と魅力

『モンスター・ハント』『クライマーズ』等で、日本でもファンの多い中国の若手スター、井柏然（ジン・ボーラン）。今回は婁燁監督のリアルさを追求したフィクションの中で、今まで以上に色気とかっこよさを合わせ持つ大人の俳優としての輝きを増しています。
「最初は長回しで撮るから、慣れなかった」と語る彼は、「とにかくアクションがきつくて、身体がついていかない。初めの頃は撮り終わるといつも、吐き気やめまいがした。撮影の翌日は、1日中寝ていた」と笑いながらインタビューに答えています。

◆とにかく走る、井柏然！

冼（シエン）村の路地、広州の街中でドローンカメラ、ジェイク・ボロックの手持ちカメラ、レールを引いた上に設置されたカメラなどが、井柏然の姿を追いかけている。
ジェイクが撮影前に「走る。ひたすら走る」と説明しているように、井柏然は“ひたすら走って”います。
婁燁監督の指示で、皮膚の表情の変化が見える程度の量でしかメイクをしていないため、彼のリアルな感情がより伝わってきます。

◆秦昊（チン・ハオ）、馬思純（マー・スーチュン）、陳妍希（ミシェル・チェン）ら豪華なキャスト

野心家の不動産会社社長ジャンに、婁燁組常連の秦昊（チン・ハオ）。市の開発責任者タンに、張頌文（チャン・ソンウェン）。その妻で精神を病んだことがあるリンに、『SHOCK WAVE ショック・ウェイブ 爆弾処理班』の宋佳（ソン・ジア）。
タンとリンの娘ヌオ役で、『ソウルメイト 七月と安生』の馬思純（マー・スーチュン）。
チャンのビジネス・パートナーで台湾人アユン役で、『あの頃、君を追いかけた』の陳妍希（ミシェル・チェン）も出演しています。

◆メイキング映画『夢の裏側』

同日公開される『夢の裏側』は、婁燁監督のパートナーで脚本家として『天安門、恋人たち』（共同脚本）『ブラインド・マッサージ』（脚本）の馬英力（マー・インリー）が監督を務めました。
婁燁監督作品がいかにして作られるのか、『シャドウプレイ』の中国公開まで、制作の詳細を撮り切っています。

1月20日(金)　新宿K‘s cinema、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺他 全国順次公開

『シャドウプレイ（原題：風中有朶雨做的雲）【完全版】』
監督：婁燁（ロウ・イエ）
出演：井柏然（ジン・ボーラン）、秦昊（チン・ハオ）、張頌文（チャン・ソンウェン）、馬思純（マー・スーチュン）、陳妍希（ミシェル・チェン）、陳冠希（エディソン・チャン）
2018年/中国/129分/北京語・広東語・台湾語/DCP/1.85:1

『夢の裏側』
監督：馬英力（マー・インリー）
出演：婁燁（ロウ・イエ）、井柏然（ジン・ボーラン）、秦昊（チン・ハオ）、張頌文（チャン・ソンウェン）、馬思純（マー・スーチュン）、陳妍希（ミシェル・チェン）、陳冠希（エディソン・チャン）
2019年/中国/94分/北京語・広東語・台湾語/DCP/1.77:1

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