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2023/05/20

2023年台湾映画上映&トーク 第2回『今日も彼の朝ご飯』やっぱり台湾青春映画はいい!と大満足の声

0424breakfast1 2016年から始まりました台湾文化センターとアジアンパラダイス共催の台湾映画上映イベント「台湾映画のいま」は、2020年から2022年までコロナ禍によりオンラインで実施してきましたが、ようやく状況が落ち着いて来たことにより、今年は会場+オンラインのハイブリッド形式で開催することになりました。
第一回の4月15日は諸事情により会場開催のみでしたが、今回からオンラインもスタート。

第2回の『今日も彼の朝ご飯(原題:我吃了那男孩一整年的早餐)』をご覧になった皆さまからは、やっぱり台湾青春映画はいい!ということと、美味しそうな朝ご飯がたくさん登場することからお腹が空いた!という感想が多かったのが、今回の反響の特徴でした。
(以下、アンケートからの抜粋)
「台湾青春映画らしい清々しさと台湾の美しい風景、下町の活気、美味しそうな朝食が堪能でき、期待以上の作品」「劇中の音楽もよくサントラが欲しくなった」「ホラーが苦手なので、こういうキラキラした物語が途絶えることなく作り続けられることを願う」「久しぶりにドキドキしながら観た」「主人公の李沐の表情が豊かでチャーミング、とても魅力的」「久々の台湾映画で心が洗われた」「ストーリーも音楽も台湾おにぎりみたいにギュギュっと詰まった作品で大満足」「俳優達の演技にあらゆる場面でグッときた」

0520event また、アフタートークでは映画の背景、台湾の食文化や習慣、東京で食べられる台湾の朝食店の情報がたいへん好評でした。
(以下、アンケートからの抜粋)
「出演者、映画の背景について面白かった。撮影場所の踏切は行ってみたい」「いつも丁寧な解説がうれしい」「出演俳優に見覚えのある人が多く、トーク解説でいろいろわかってとてもよかった」「とても的を射た解説で、映画のみならず食文化の解説も興味深かった」「要点を得た解説と感想はあっぱれ、次回は会場で聞きたい」「いつもながら痒い所に手が届く解説」「映画とその背景、台湾文化に結び付いた情報に感謝」「!台湾の朝ご飯事情の調査、とても興味深かった。紹介されていた東京のお店も行ってみたい」「台湾の朝食事情やキッチン情報などもアンケートまでしてくれておもしろかった」

※写真はクリックすると別ウィンドウで拡大表示します

本作は、ネットで人気のTrueストーリーをもとに、映画初出演にして初主演の人気シンガーソングライター周興哲(エリック・チョウ)と、モンスター級新人女優として注目を集める李沐(リー・ムー)はじめ人気若手スターたちが恋模様を繰り広げる王道のラブストーリーに、台湾の食文化が見事に融合した青春映画。
好きな女の子に朝食を届けるというのが、台湾では普通に習慣になっているというのも興味深いですね。
ホラー映画ブームで賑わった2022年の台湾映画界の中で、Trueストーリーをもとにした本作、台湾映画の代名詞的だった青春映画は、ジャンル映画に押されて年々製作数が減ってきている中で、この健闘ぶりは本当に頼もしい限りです。
 
05202 映画のもとになったTrueストーリーは、台湾の人気SNS「Dcard」で5万いいね!が付き、多くの学生達がこの二人の恋について語り合いました。
そして当のカップルはついに結婚するという、ネット上の有名人だそうです。
この物語は小説として、多くの言語により各国で翻訳出版されました。
このブームに目を付けたのが、昨年この上映&トークで上映した『逆走♡ONE WAY LOVE(原題:可不可以,你也剛好喜歡我)』の製作チーム。早速映画化に向けて走り出しました。

05203 脚本・監督を担当したのは、Netflixで大人気のドラマ『華燈初上-夜を生きる女たち(原題:華燈初上)』はじめ数々の人気ドラマの脚本家 杜政哲(トー・チェンジャ)。
2001年から脚本家として『Silence〜深情密碼』、『光陰的故事~Story Of Time』、『16個夏天』など多くの名作ドラマを手がけ、2017年に『酸甜之味(英語:Family Time)』でテレビアワード金鐘獎の最優秀脚本賞を獲得。
2021年の『華燈初上-夜を生きる女たち(原題:華燈初上)』の大ヒットを経て、本作で映画監督デビューとなりました。

05204 杜政哲監督はもともと脚本の担当でしたが、執筆中にプロデューサーから監督の打診があり、もう若くはないので10代のラブストーリーはどうだろうかと迷ったそうですが、脚本に2年くらいかけていた中で何度も強いオファーがあり、引き受けることにしたと言っていました。
途中から監督をすることになったため、まず実際のカップルに会って色々話を聞き、彼らの物語が監督の中で立体的になっていったそうです。
そして、ヒロインが一年もの間好きな先輩の朝ご飯を食べ続け、自分の気持ちを言えなかったところや、彼女の家庭環境を背景にした成長過程などを深めて、脚本を書き上げたということでした。

05205 ヒロインを演じた李沐(リー・ムー)は、2017年にモデルデビューし、2018年の『子供はあなたの所有物じゃない(原題:你的孩子不是你的孩子)』に出演した後イギリスに留学、2020年に日本でもNetflixで配信されたヒットドラマ『次の被害者(原題:誰是被害者)』で金鐘獎の新人賞に輝き、その演技力にモンスター級新人女優と賞賛されました。
李沐はそうして潜在能力を発揮し続け、2019年の映画『返校 言葉が消えた日(原題:返校)』、2021年の『青春弒戀(テロライザーズ)』などに出演し、本作で満を持しての初主役。

05206 実際には26才の李沐ですが、どう見ても高校生にしか見えません。
でも実はこういう学園ラブストーリーの女子高校生役は初めてのため、実際に色々な青春映画を見て勉強したそうです。
監督は、李沐が個性的な役が多かったので、普通の女子高生はどうだろうと思っていたのですが、実際に会って色々話をするとその危惧は吹き飛びんだそうです。違和感なく日常の中に溶け込みながらも、他の女の子とはちょっと違うという部分を表現できると確信し、彼女の起用を決めました。
失恋の哀しみを堪えながらのギターの弾き語りシーンは、難しいワンカットの撮影もなんのその、監督の要望通り見事な演技だったということです。

05207 水泳部の先輩陶宥全(タオ・ヨウチュアン)を演じた周興哲(エリック・チョウ)は、台湾の人気シンガーソングライターです。
2014年に大ヒットした『16個夏天』の挿入歌「以後別做朋友」の担当と出演もして注目され、2017年には4曲がYouTubeで再生数一億回を超える大ヒットとなりました。
自身のアルバムは現在までに5枚、艾怡良(イブ・アイ)やA-Lin、莫文蔚(カレン・モク)、李玖哲(ニッキー・リー)ほか多くのアーチストにも曲を提供しています。

05208 ブレイクのきっかけとなった『16個夏天』では周興哲本人役でしたが、その後日本でもNetflixで配信された人気ドラマ『ママ、やめて!(原題:媽,別鬧了!)』や短編映画を経て、本作で映画初出演にして初主役となりました。
監督は『16個夏天』で彼に音楽を依頼した時からの付き合いなので、今回もまず音楽を頼んだところ、彼から演技に興味があるということを聞き、じゃあこの役をやってみる?ということで決まったそうです。
演技経験がないためトレーニングもしましたが、監督はこの主人公が心で何を思ったか、それを表現して欲しいと言い、彼は十分に応えてくれました。

05209 李沐演じるヒロインに振られるギター部の部長役の宋柏緯(エディソン・ソン)。
2014年の映画『共犯』でデビュー以来、ドラマ『太陽を見つめた日々2(原題:他們在畢業的前一天爆炸2)』、『あすなろ白書(原題:愛情白皮書)』、『歩道橋の魔術師(原題:天橋上的魔術師)』、映画『搖滾樂殺人事件』、今年大阪アジアン映画祭で上映された『黒の教育(原題:黑的教育)』など順風満帆のスター街道を歩んでいます。

052010 こんなイケメンで毎日完璧な比率のミルクティーを作ってくれる優しい人なのに、ヒロインはなぜこの人じゃダメなのか?と思わせますね。
監督は、前作で主役を演じてもらい気心が知れていたこともあり、そんなにかっこいいから失恋なんてしたことないんじゃないの、今度こういう片想いする役があるけどどうかな、と聞いてみたそうです。
そうしたらぜひやってみたいということで、決定。
さらに、音楽活動もしているので一曲作ってもらい、自身で歌うシーンはアフレコではなく現場録音を採用したということです。

052011 青春映画に必ず出てくる学園のミューズ役は、新進の何思靜(ジーン・ホー)が演じました。
ドラマ『華燈初上 -夜を生きる女たち(原題:華燈初上)』で楊謹華(シェリル・ヤン)の少女時代や、映画『つかみ損ねた恋に(原題:我沒有談的那場戀愛)』にゲスト出演したくらいで、本作が初の大役です。
でもその直後にサスペンス映画『藏匿處』でヒロインに抜擢されたので、期待の新人と言えるでしょう。
監督のこの役はとにかく美しくなければならないという基準により、たくさんのオーディションの中からフレッシュな美女、ということで彼女が選ばれました。

052012 そして、その学園ミューズの初恋の人、金髪の管浩威(グァン・ハオウェイ)を演じたのはラッパーのSHOU。
2014年にソロ歌手としてデビューし、2018年に4人組のラップグループCHING G SQUADを立ち上げてそののメンバーとして活躍しています。
実は彼は自らオーディションに応募してきて、こんな有名なラッパーが!とびっくりしたと監督が言っていました。演技は未知数だったものの、表現も素晴らしいし、場面が少なくてもこの役をやってみたいと言ってくれたので決めたそうです。
本作がスクリーンデビューですが、演技への興味は強く、活動の場が広がって第二作の映画もクランクアップしています。

052013 ヒロインの母親役は、映画にドラマに活躍する劉品言(エスター・リウ)。
2002年に今は同じく俳優の曾之喬(ジョアンヌ・ツァン)とアイドルユニットSweetyとしてデビューし、多くのアイドルドラマに出演していました。
2007年に芸能活動を停止して2年間パリでデザインを学び、帰国して俳優として復帰しました。
それからは主演も助演もできる俳優として多くの映画やドラマで活躍しています。
『華燈初上-夜を生きる女たち(原題:華燈初上)』での依存度の強い女性から、本作での独立心あふれる女性まで、振り幅の広い演技を見せてくれています。

052014 一方の父親役は、邱凱偉(ダレン・チウ)。
周杰倫(ジェイ・チョウ)がプロデュースした音楽グループ「浪花兄弟(ドリフターズ)」のメンバーとして活躍し、同時にアイドルドラマに出演が続き、映画にドラマに大活躍。
2021年にはドラマ『我的婆婆怎麼那麼可愛(可愛いおばあちゃん)』で金鐘獎の助演男優賞に輝いています。
本作でのミュージシャンの夢を見続ける父親役は、見事にはまっていました。

052015 出番は少ないのですが、ぜひご紹介しておきたいのが、ギター部でヒロインに振られた部長に告白するルームメイトを演じた、大鶴(ダーハー)こと林鶴軒(リン・ハーシュアン)。
2013年に舞台でデビューし、2018年の『怪奇温泉旅館(原題:切小金家的旅館)』で注目され、様々な役どころで独特の存在感とツボを得た笑いによって印象づける若き演技派です。
監督も、すでに一緒に仕事をして爆発力のあるうまい俳優だと思っていて、衝撃のシーンをとてもうまく演じてくれたと絶讃。
台湾でもこのシーンは大きな反響を呼んだそうです。
これからも台湾映画になくてはならない存在として、多くの爪痕を残していくでしょう。

052016 主人公2人の15年後を演じるのが、特別出演の林柏宏(リン・ボーホン)と李霈瑜(パティ・リー)。
まずは林柏宏からご紹介します。
2009年にデビュー、新人ながらその演技力が注目され、様々な役をこなし2016年の『六弄咖啡館』で金馬賞の助演男優賞を受賞しました。
最近日本で公開された作品では『恋の病 〜潔癖なふたりのビフォーアフター〜(原題:怪胎)』や、『青春弒戀(テロライザーズ)』、そして今年の旧正月に台湾で公開されたアクションコメディ『關於我和鬼變成家人的那件事(Marry My Dead Body)』が、メガヒットを放ちました。
期待の若手から、今ではすっかり台湾映画の中核を担う俳優になっています。
監督は、この役は誰もが知っているスターでなければならないということで、お願いして出てもらったということです。

052017 そして15年後のヒロインは、李霈瑜(パティ・リー)が演じました。
こちらもスターであることが必須でお願いし、肥満体という特殊メイクも快く引き受けてくれたそうです。
2014年にデビューしてドラマや映画、司会者として活動し、2017年にダイビングの特技を生かして映画『海。人。魚』に出演、2020年の『一秒先の彼女(原題:消失的情人節)』で大ブレイクしました。
この映画は日本でリメイクされ、岡田将生と清原果耶のコンビで男女の設定を逆にした『1秒先の彼』として7月7日から公開されます。
独特の味を持つ俳優として、これからも李霈瑜の活躍の場は広がるでしょう。

052018 周興哲が演じた先輩役には、祖母と母親がいますが、これを演じたのが陳淑芳(チェン・シューファン)と于子育(ユー・ズーユー)。
陳淑芳は2020年の金馬奨で『弱くて強い女たち(原題:孤味)』により主演女優賞、『親愛なる君へ(原題:親愛的房客)』で助演女優賞を獲得したベテランです。
そして歌手で俳優の于子育は『弱くて強い女たち(原題:孤味』で陳淑芳の若い時を演じました。
この二人は一緒に食事をすることで関係修復するのですが、この時に『弱くて強い女たち』のキーアイテムであるエビ捲きを登場させる監督の粋な演出には、ニヤリとさせられましたね。

052019 この映画は台中を中心に撮影されましたが、実際のカップルが住んでいるところではなく、映画のためにロケ地を選んだということです。
最後に二人が互いの気持ちを伝えるのを踏切にしたのは、日本の映画やドラマでよく線路をはさんだ踏切で電車が通過して言葉が聞こえなかったりするシーンがあり、これをやりたかったので、スタッフ総動員でこの踏切を探したそうです。
この踏切は、台中の台湾鉄道海岸線の小さな駅「龍井駅」のそばだそうです。
また、偶然その踏切にの近くに青々とした田んぼがあったので、主人公が自転車で通る道に使ったということでした。

0523to この後、杜政哲(トー・チェンジャ)監督からのメッセージをお聞きいただきました。
「こんにちは、『今日も彼の朝ご飯』の監督杜政哲(トー・チェンジャ)です。
今日はこの映画を見ていただき、ありがとうございます。
映画の中にはラブストーリーだけでなく、とても美味しい朝ご飯が出てきます。
見ていただいた皆さんが暖かい気持ちになり、
台湾に来てこの朝ご飯を食べたいと思ってもらえたら良いなと思います」

052021 ここからは、この映画のテーマにちなみ、台湾映画に出てくる食文化についてお話ししたいと思います。
台湾はグルメでも人気の観光地で、今年のGWは多くの日本人観光客が訪れ、コロナ禍前に近い賑わいを見せたようです。
日本でも台湾グルメのイベントがあると、大勢の人が集まりいつも大盛況ですね。
こういった台湾のグルメを取り上げた映画はたくさんありますが、中でも有名なのが『恋人たちの食卓(原題:飲食男女)』、『祝宴!シェフ(原題:総舗師)』、『弱くて強い女たち(原題:孤味)』です。

052022 『恋人たちの食卓(原題:飲食男女)』は1994年の李安(アン・リー)作品で、台北を舞台に、楊貴媚(ヤン・クイメイ)、呉倩蓮(ウー・チェンリン)、王渝文(ワン・ユーウェン)演じる三姉妹が繰り広げる恋愛模様と、5つ星ホテルのシェフである彼女たちの父親が作り上げる料理の数々が織りなすヒューマンドラマです。
毎週日曜日に中華料理の鉄人だった父の手料理を食べながら、様々な人生模様が描かれ、美味しそうな料理の数々に、"台湾に行きたい"と思った方も多いのではないでしょうか。
3人の娘を男手ひとつで育てたシェフ役の郎雄(ラン・シャン)の味わい深い演技も忘れられません。
この映画では、圓山大飯店や茶藝館の紫藤廬といった、今でもある名店がロケに使われていました。

052023 5つ星ホテルのシェフに対し、台南を舞台に伝統的な宴席料理を作る出張料理人總舗師(ツォンポーサイ)を描いたのが、陳玉勳(チェン・ユーシュン)監督の『祝宴!シェフ(原題:総舗師)』です。
夏雨喬(キミ・シア)、林美秀(リン・メイショウ)、楊祐寧(ヤン・ヨウニン)が、人々を幸せにする究極の料理"を巡って繰り広げるコメディ。
2013年に台湾で大ヒット。その年の東京国際映画祭で上映され、2014年に日本でも一般公開されました。
おもてなしの心を極めた台湾の宴席料理の数々は、垂涎ものでしたね。

052024 そして、本作にもそのテイストが盛り込まれた『弱くて強い女たち(原題:孤味)』は、2020年に大ヒットした許承傑(シュー・チェンジエ)監督の長編デビュー作です。
こちらは豪華な料理ではなく、台南のソウルフード エビ捲きを揚げながら3人の娘を育てあげた女性の物語。
先ほどご紹介した陳淑芳が演じた主役が、70才の誕生日パーティの日に夫の訃報がもたらされ、慌ただしく進める葬儀の準備の中、3人の娘たちとその家族、そして夫を看取った愛人らの人間模様が描かれていきます。
徐若瑄(ビビアン・スー)、謝盈萱(シエ・インシュアン)孫可芳(ソン・カーファン)、丁寧(ディン・ニン)らの好演で最後は号泣でしたが、こんなに暖かくて気持ちの良い涙は久しぶりでした。
また見たい、何度でも見たいと思う秀作です。

052025 台湾グルメの中でも、朝ご飯をキーアイテムにした映画は『今日も彼の朝ご飯』が初めてではないでしょうか。
台湾に行くと旅行客も早餐店と呼ばれる朝食専門店で食べるのが、楽しみのひとつとなっています。
でも、台湾において当たり前の朝ご飯の習慣が、日本人から見ると実はとても珍しく感じるところも多くあります。
まず、通学や通勤の前に朝ご飯をお店で食べたり、買って学校や職場で食べるという習慣が、日本ではほとんどありません。

052026 なぜ台湾ではほとんどの人が家で朝ご飯を食べず、朝食専門店で食べたり買ったりするのか。
それは、台湾は共働きが多く、しかもフルタイムで管理職である女性が多いため、安くて早い、便利な朝食専門店を利用するからのようです。
単身者用のアパートやマンションの部屋にはキッチンがないところが多いことも、この習慣の証しです。
私も台北に住んでいた頃、キッチン付きの物件探しに多くの時間を費やしました。

052027 台湾ではキッチン付きの部屋でもコンロの上に換気扇がないことが多く、料理をするという仕様にはなっていないのです。
幸い私は換気扇付きのキッチンがある部屋を見つけたので、朝晩は自炊していました。
今回、ふと気になり、台湾で暮らす友人や知り合い達に朝食事情を聞いてみました。
サンプル数は少ないですが、グラフにしてみましたので、ご覧下さい。
その結果、日本人で台湾の男性と結婚した友人は、私と同じように家で食べているということでしたが、その他は圧倒的に外食という答えが多かったです。
それは、やはり便利で安くて美味しいというのが主な理由でした。

052028 台湾には、早餐店がたくさんあり、本当に便利です。
私の友人・知人でも飯糰と呼ばれる台湾おにぎりや蛋餅(たまご巻きクレープ)、サンドイッチ、ハンバーガーが人気ですが、友人が務めるメディアの2019年の調査ではサンドイッチが首位、続いて、サンドイッチ、ハンバーガーの順なので、飯糰が台頭してきたのはこの映画の影響があるのかも知れませんね。
アンケートの結果でもわかりましたが、友人が言うように鹹豆漿(塩味の豆乳スープ)、燒餅油條(揚げパン挟みパン)などは、旅行客には人気ですが、台湾の人たちはそうでもないようです。
どれもできたてのアツアツは、たまらなく美味しく、台湾独特の甘いマヨネーズを使ったサンドイッチも、やみつきになります。
このサンドイッチの名店洪瑞珍(ホンレイゼン)が先月高田馬場にオープンして、毎日行列の人気だそうです。

洪瑞珍
住所:東京都新宿区高田馬場2丁目8−5
営業時間:平日・10:30~19:30 ※営業日や閉店時間は公式Instagramでご確認ください。
Instagram:https://www.instagram.com/hungruichen.japan/?hl=ja

052029 人気の台湾おにぎり飯糰は日本のおにぎりと形も具も違いますが、この映画でも、先輩がヒロインのために色々な具材を工夫して入れていましたね。
監督にも好きな朝ご飯をきいてみたところ、以前は色々食べていたけれど、この映画を作った影響で、今は飯糰=台湾おにぎり一択だそうです。
こちらも、去年大久保に「東京巷口飯糰店」がプレオープンして、連日売り切れ大盛況ということです。
また、五反田の「東京豆漿生活」や「四ツ谷一餅堂」、九段下の「台湾豆乳大王」では鹹豆漿や蛋餅が食べられます。
東京で台湾の朝ご飯を味わえるのは、うれしいですね。

東京豆漿生活
住所:東京都品川区西五反田1-20-3 MKYビル1F
営業時間:平日・8:00~15:00、土日祝・9:00~15:00
Instagram:https://www.instagram.com/tokyomamehana/

東京巷口飯糰店
住所:東京都新宿区百人町1-23-11
営業時間:11:00~ ※営業日や閉店時間は公式Instagramでご確認ください。
Instagram:https://www.instagram.com/tokyo_taiwan_onigiri/

四ツ谷一餅堂
住所:東京都新宿区四谷1丁目17−8
営業時間:8:00~18:00 ※営業日や閉店時間は公式Instagramでご確認ください。
Instagram:https://www.instagram.com/yotsuya_ippindo/

台湾豆乳大王
住所:東京都千代田区神田神保町3-9-3 csビル1F
営業時間:月〜金 11:00-15:00 土・日・祝 11:00-15:00(不定休)
Instagram:https://www.instagram.com/taiwan_tonyu_daio/

052030 では、台湾の最新情報をお伝えします。
6月22日から7月8日まで開催される2023年第25回台北電影節のイメージ大使が王淨(ワン・ジン)に決まり、九把刀(ギデンズ)監督によるPRFILMが公開されました。
狭いエレベーター内を舞台にしたミュージカル仕立ての九把刀の世界に、王淨のほかに2020年度と2021年度の台北電影節期待の新星に選ばれた宋偉恩(ツォン・ウェイオン)と李雪(リー・シュエ)も出演してます。
そして、オープニングは九把刀監督の新作『請問,還有哪裡需要加強』、藍正龍(ラン・ジェンロン)監督二作目の青春映画『成功補習班』に決まりました。

052031 次は日本の情報です。
2022年10月に台湾映画上映&トークイベントで上映した『阿修羅/アシュラ(原題:該死的阿修羅)』が、『ガッデム 阿修羅(原題:該死的阿修羅)』の邦題で6月9日よりシネマート新宿他にて全国順次公開されることになりました。
本作は数々の受賞歴を誇る樓一安(ロウ・イーアン)監督が、ジャーナリストの書いた無差別殺人に関する3つの記事に触発されて作った最新作です。
6人の登場人物が織りなす物語が3つのパートで構成され、様々な思いが複雑に絡み合っていきます。

052032 この映画では、大ヒットを記録した『先に愛した人』(2018)で注目された新人俳優、黃聖球(ホァン・シェンチョウ)が主役を務め、その親友役を本作で金馬奨の新人賞にノミネートされた潘綱大(パン・ガンダー)、同じく本作で金馬奨と台北電影奨の助演女優賞を受賞した王渝萱(ワン・ユーシュエン)が不良少女役、記者役を『親愛なる君へ』(2020)はじめ数々の作品で名演を見せる莫子儀(モー・ズーイー)が演じます。
ぜひ劇場の大きなスクリーンでご覧下さい。

このアフタートーク映像を公開しました。
https://v.classtream.jp/tw-movie/#/player?akey=546835140c2ed6486ac92854bfc7590d

さて、次回は6月24日(土)、会場とオンラインでキン・フー監督のドキュメンタリー映画『キン・フー 武俠映画の王(原題:大俠胡金銓)前編』を上映します。
会場とオンライン両方で実施しますので、ご都合の良い方でお申し込み下さい。
詳しいことは、近々台湾文化センターとアジアンパラダイスでお知らせします。
皆さまのご参加をお待ちしています。

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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