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2023/11/02

2023東京国際映画祭 台湾映画『成功補習班』藍正龍(ラン・ジェンロン)監督Q&A

1102lan1 2023東京国際映画祭で台湾映画『成功補習班』が上映され、10月25日と10月27日に藍正龍(ラン・ジェンロン)監督のQ&Aが行われました。
本作は『ぼくの人魚姫(原題:傻傻愛你,傻傻愛我)』から3年ぶりの藍正龍(ラン・ジェンロン)監督二作目で、かつて予備校の講師を務めていたドキュメンタリー映画監督陳俊志(チェン・ジュンジー)からインスピレーションを得て製作されました。
2018年に陳俊志が亡くなった時、藍正龍はこの映画を作って恩師に捧げようと思ったそうです。

1102lan6 この映画は今年の台北電影節のクロージング作品として上映され、9月22日に台湾で一般公開になりました。
藍正龍にとって本作は自身の青春期に別れを告げるための映画であり、長年の師であり友人でもある陳君志との友情、彼の人生のひとときを記録したいと思ったと、台北電影節で語っていました。
映画では、予備校の講師が友情や家族愛、さまざまな問題に直面する高校生をアイデンティティの確立に導きます。
この3人を詹懷雲(ジャン・ファイユン)、邱以太(チウ・イータイ)、巫建和(ウー・ジエンハー)が演じ、そのうち成長した3人をそれぞれ藍正龍と陳柏霖(チェン・ボーリン)、謝欣穎(シエ・シンイン)が特別出演しているのもファンにはうれしいサプライズ。

陳俊志をモデルにした予備校講師役は、侯彥西(ホウ・イエンシー)。
数々の映画やドラマで幅広い役を演じ、『あの頃、君を追いかけた(原題:那些年,我們一起追的女孩)』はじめ九把刀(ギデンズ)監督作品に多く出演しています。
本作でも藍正龍の思いをしっかりと受け止めて、難しい役を好演していました。

1102lan5 この日のQ&Aでは、まず質問を受ける前にこの映画の製作の経緯を話したいということで、藍正龍監督の話から始まりました。
「この映画は、大切な友人であり恩師であるミッキー先生(陳俊志)を祈念したいと思い撮りました。楽しかった思いをこの映画にこめて、完成したら彼のことを思い出しても泣かないようにしようと思いました。
この映画を見て皆さんと共有したいのは、毎日を大切に生きて欲しいということ。人生には良いことも悪いこともあるけど、その中で大切な友人と過ごす時間を大事にして欲しい。
この映画は自分の成長過程を描いたのでかなり主観が入っているけど、重ねて皆さんに言いたいのは、短い人生の中で嫌なことが多くても楽しいことを大切にして生きて欲しいということです」

1102lan3 ◆メインキャラクターの3人について
「3人のキャラクターは実際の友達で、僕の役は詹懷雲。邱以太と陳柏霖が演じた程翔とは今でも毎日のように電話で連絡を取りあっています。
巫建和が演じた和尚、彼というか彼女は、いまは役者もやっています」

◆陳俊志のこと
「先生とは1994年に初めて会い、一緒に自転車に乗って出かけたり、先生の家でご飯食べたりしました。
先生はニューヨーク留学から2年で帰ってきて、1998年頃から僕は俳優になり、彼はドキュメンタリーを撮っていたので、同じ業界にいて先生から友人という感じになりました。
それから一緒に色々な創作をしていき、彼は同性愛者という立場で社会と向き合い、僕も成長過程で色々な事を経験し大人になっていった。2018年にテレビのニュースで彼が亡くなったことを知ったのだけど、いまでも嘘じゃないかと思っています」

1102lan4 ◆映画に出てくる懐かしいアイテム
「今回は自分の子供の頃のストーリーなので、美術さんに1993年の夏頃のアイテムを集めてもらいました。僕が初めて先生の家に行ったとき本がたくさんあり、マドンナの写真集とか色々なものを見せてくれたので、それを再現したかったのです。
そういえば当時ビビアン・スーの写真集を借りたことがあり、2011年に金馬奨の時に彼女に会った時なんとなく気まずく思いました。(笑い)」

1102lan2 ◆劇中で使用された曲
「『モニカ』は1998年当時流行っていた張國榮(レスリー・チャン)のヒット曲で、先生がレスリーファンでした。原曲は日本なので、使用料が高かったのだけど、今回東京で上映するのでこれは運命かなと思いました」

『成功補習班』
監督:藍正龍(ラン・ジェンロン)
出演:詹懷雲(ジャン・ファイユン)、邱以太(チウ・イータイ)、巫建和(ウー・ジエンハー)、侯彥西(ホウ・イエンシー)/藍正龍(ラン・ジェンロン)陳柏霖(チェン・ボーリン)、謝欣穎(シエ・シンイン)

◎東京国際映画祭の作品紹介ページ
https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3604WFC17

10月27日のQ&Aは、以下の東京国際映画祭の公式動画でどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=-HxxodeEWhQ&t=3s

※藍正龍監督第一作に関する記事

2020/08/01
2020台湾映画上映&トークイベント「台湾映画の"いま"〜進化する多様性」第一回『ぼくの人魚姫(傻傻愛你,傻傻愛我)』オンライン開催! 藍正龍(ラン・ジェンロン)監督からのメッセージムービーも!
http://www.asianparadise.net/2020/08/post-fe1646.html

2020/08/11
台湾映画『ぼくの人魚姫(原題:傻傻愛你,傻傻愛我)』藍正龍(ラン・ジェンロン)監督インタビュー!
http://www.asianparadise.net/2020/08/post-6c45b9.html

2020/08/11
Podcast 台湾映画『ぼくの人魚姫(原題:傻傻愛你,傻傻愛我)』藍正龍(ラン・ジェンロン)監督インタビュー!
http://asianparadise.sblo.jp/article/187796134.html

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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コメント

レポートありがとうございます。
ひとつ、記事中で気になったのですが、謝欣穎が演じていたのは当時のミューズ・陳思の成長した姿ではなく、Tiffanyと名を変えた和尚ではないでしょうか。

投稿: T | 2023/11/03 11:39

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