2023東京国際映画祭 台湾映画『Old Fox』Q&A
蕭雅全監督作品は、2010年デビュー作の『命帶追逐』から『第36個故事(台北カフェストーリー)』(2010年)、『范保德』(2018年)、そして本作まで全て侯孝賢がエグゼクティブ・プロデューサーを務めています。
Q&Aでは侯孝賢監督について「こわい」と何度も言っていたのが印象的です。
その侯孝賢監督が、10月25日にご家族の声明によりアルツハイマー病の為に引退を発表。
プロデュース作品は、本作が最後となりました。
この映画の舞台は1989年、変動する社会でつましく暮らす父子を描いています。
劉冠廷は妻を亡くし息子とふたり暮らしのシングルファザー役で、自分の店を持つ夢を抱きつつレストランで働いていますが、自分のことより人の感情を思いやる優しい人。
彼の幅の広い演技力は、ここでも素晴らしい父親像を見せてくれました。
Q&Aでは、「監督の脚本を読み込んで演じると、自然と親子になれた」と言っています。
そして天才子役と言われる白潤音は、時折日本語を交ぜながら「1990年代が舞台なので、スマホを使わず、ルービックキューブなどで遊んでいた」と、役作りについて語っていました。
金持ちの家主に気に入られ、世の中の厳しさを知っていくという少年を、見事に演じています。
彼の日本語力は、お母さんが日本人ということに起因します。そして、お父さんは彼と彼の姉で俳優の白小櫻(バイ・シャオイン)のマネジメントをしています。
門脇麦の起用は、監督が侯孝賢プロデューサーから日本の俳優と仕事をしてみると良いと言われていて、『浅草キッド』の彼女がとても印象的だったので、小坂史子プロデューサーに紹介してもらったということです。
初めての台湾映画出演に、門脇麦は台湾語の発音をどうやって演技に落とし込むかがたいへんだったそうです。
でも、台湾映画の製作環境が素晴らしく、幸せな現場だと言っていました。
本作はこの時代の社会や家庭の環境の中で一人の少年がどういう選択をして成長していくのくかを丁寧に描き、素晴らしい映像、俳優達の見事な演技で、感動というひと言では言い表せないほど心に刺さる映画でした。
東映ビデオが出資しているので、おそらく日本で見られる日が来るのではないかと期待しています。
『Old Fox』(原題:老狐狸)2023年 台湾
監督:蕭雅全(シャオ・ヤーチュエン)
出演:白潤音(バイ・ルンイン)、劉冠廷(リウ・グァンティン)、陳慕義(アキオ・チェン)、門脇麦、劉奕兒(ユージェニー・リウ)
◎東京国際映画祭の作品紹介ページ
https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3604WFC19
10月23日と31日のQ&Aは東京国際映画祭の公式YouTubeでどうぞ。
10月23日
https://www.youtube.com/watch?v=zmC5Gdlv4w4
10月31日
https://www.youtube.com/watch?v=aZd61B0Mb50
※これまでの『Old Fox(原題:老狐狸)』に関する記事
2023/09/29
台湾映画『老狐狸』が東京国際映画祭において『Old Fox』の邦題でワールドプレミア!
http://www.asianparadise.net/2023/09/post-3a3a12.html
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