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2023/12/31

2023年の台湾映画を振り返る

0720jiaren 今年の台湾映画は、『關於我和鬼變成家人的那件事(僕と幽霊が家族になった件)』の一人勝ち。3億6千万元というメガヒットでダントツの一位、歴代ベスト10の7位に浮上しました。
金馬獎で8部門にノミネートされ、脚色賞を受賞、米アカデミー賞外国語映画賞の台湾代表としてエントリーしましたが、ノミネートはされず。
日本では8月に特別上映が行われ、その後Netflixで配信中です。

今年の1億越えの作品は、2022年12月30日に公開された『想見你』(『時をかける愛』の邦題で日本でも放送された大ヒットドラマの劇場版)のみです。しかし、こちらは映画賞には全く縁がありませんでした。
同じくヒットドラマの劇場版は『做工的人電影版』と『我的婆婆怎麼把OO搞丟了』がベスト10入りし、やはり強いホラー映画は、『粽邪3 :鬼門開(縄の呪い3)』、『女鬼橋2:怨鬼樓』、『化劫』と3本。
安定の九把刀(ギデンズ・コー)作品『請問,還有哪裡需要加強(ミス・シャンプー)』は、東京国際映画祭でも上映されました。
唯一アクション映画として、香港の黃精甫(ホアン・ジンポー)監督が初めて台湾で撮った『周處除三害』がランクインしたのが、目を引きます。

それにしても、興行成績ベスト10の中で金馬奨や台北電影賞のトロフィーを獲得したのは 『關於我和鬼變成家人的那件事(僕と幽霊が家族になった件)』(脚色賞/脚本賞)と『周處除三害』(アクション賞)だけというのは、残念です。
一方で、マレーシア映画ですが、金馬奨で吳慷仁(ウー・カンレン)が主演男優賞を受賞した『富都青年』は、年が明けたら1億に届くのではないかという勢いで動員をのばしています。
もちろん、この快挙は台湾におけるマレーシア映画で初めてのこと。

さて、日本の映画祭では、大阪アジアン映画祭は3作とやや少なめでしたが、昨年ゼロだった東京国際映画祭で5作上映されたのはうれしい限りです。

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2023/12/30

2023年の香港映画を振り返る

1230hk_20231230122701 香港をとりまく政治と社会状況は決して良くないのですが、コロナ禍を過ぎて映画界は通常運転に戻りました。
そんな中で興行成績トップ10を見ると中国資本の大作がなく、庶民の生活を描く作品、ローカル性の高いエンターテインメント、そして社会派作品が増えています。
昨年の振り返り記事に、「〜何かが変わってきている〜」というサブタイトルを付けましたが、今年それがはっきりした形=興行成績で見えています。

若手監督たちが中心となって作る香港人のための香港映画に、大物スターがノーギャラという形で協力することが増え、こういう"香港映画魂"がクォリティアップを下支えしているのではないでしょうか。
また、これまでの傾向から見ると、『白日之下(白日の下)』や『年少日記』のような大物スターが出ているわけでもないインディペンデントに近い社会派作品が上位に食い込むことはあまりなかった現象だと思います。
香港の人たちがどこを見て何を求めているかが、感じられるような気がします。

日本では香港特別行政区設立25周年を記念して2022年に初開催された「香港映画祭 Making Waves」が今年は「Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力」というサブタイトルがつき、若手のクリエイターたちによる秀作を見ることができました。
そして、映画祭やこういった上映会から、小作品でも配給会社や個人での活動により一般公開に繋げてくれるのは有り難い限りです。

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2023/12/29

2023年の中国映画を振り返る

1229cn_20231229124501 2023年の中国映画市場は、2020年以来3年ぶりの500億元突破という見通しで、コロナの影響から回復から安定、さらに成長への方向に向かっていると、人民日報(11月15日)が伝えています。
この数字は2019年と2018年の600億元以上の歴史的最高額には及びませんが、2017年(559億元)に匹敵するそうです。
その500億元の中でも国産映画が全体の83.4%を占め、興行収入10億元以上のトップ10は全て国産映画。
国産映画が興行成績のトップ10を占めたのはこれまで2020年だけということで、今後ますます注目されることになるでしょう。

興行成績のトップは、東京国際映画祭で上映された張藝謀(チャン・イーモウ) 監督の『満江紅』で、『消失的她(ロスト・イン・ザ・スターズ)』、『封神第一部:朝歌风云(封神~嵐のキングダム~)』、『八角笼中(ネバーギブアップ)』、『長安三萬里(長安三萬里~思い出の李白~)』の4作品が東京国際映画祭の関連イベント「東京・中国映画週間」で上映されました。

今年は東京国際映画祭でもアート&インディペンデント映画が複数作上映され、東京フィルメックスで3作あり、ここでもコロナ禍からの回復傾向が見えます。

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2023/12/28

台湾の春節映画『還錢』2024年2月8日台湾で公開

1228breaking1 2024年の強力な春節映画『還錢』が2024年2月8日台湾で公開、その予告編が解禁になりました。
この映画は『第九分局』の監督王鼎霖(ワン・ディンリン)と辣腕プロデューサー葉如芬(イエ・ルーフェン)がタッグを組んだ、銀行強盗達のアクションコメディです。
キャストには「最強の頭脳」を持つリーダーに陳柏霖(チェン・ボーリン)、天才ハッカーに蔡凡熙(ツァイ・ファンシー)、変装の達人の李銘忠(リー・ミンジョン)、武闘派林哲熙(リン・ジャーシー)のメンバー、これに巻き込まれる蔡思韵(セシリア・チョイ)、そして銀行家に吳慷仁(ウー・カンレン)という豪華すぎる面々。

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2023/12/27

台湾ドラマ『商魂』台湾で2月から放送開始!(日本での放送は未定)

1227trade1 台湾のビジネスドラマ『商魂』が、台湾で2月からテレビで放送、プラットフォームでの配信が開始になります。
台湾ドラマというと、ひと昔前はアイドルドラマが全盛で、最近はBLドラマが人気ですが、『悪との距離』のような社会派ドラマ、『模倣犯』『次の被害者』などのサスペンス、ファミリードラマ・コメディ、医療ドラマほか多彩なジャンルの作品が日本でも放送と配信で見られます。
今回ご紹介するのは、『商魂』というビジネスドラマです。

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2023/12/23

2023台北取材Day4〜魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)監督に聞く新作『BIG』と監督の原動力

1223wei3 今回の取材旅の大きな目的は金馬奨ともう一つ、魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)監督に会って話を聞くことでした。
『台湾三部曲』製作中断の延長を発表した2021年8月から、このプロジェクトどのようになっているのか、そして新作映画『BIG』の誕生の経緯を、どうしても監督ご自身の口から聞きたかったからです。
そうして、プロモーション時期の忙しい中時間をとっていただき、インタビューしました。
今のところ日本のメディアでは唯一、魏徳聖監督『BIG』独占取材です。

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2023/12/22

Podcast 台湾映画『⾚い⽷ 輪廻のひみつ』九把刀(ギデンズ・コー)監督インタビュー

1222gidens1 12月22日(金)から公開の台湾映画『⾚い⽷ 輪廻のひみつ(原題:月老)』の九把刀(ギデンズ・コー)監督のインタビューをPodcast配信しました。
このインタビューは、10月にプロモーションで来日した時に収録したものです。
2002年に発表した小説の映画化の経緯、キャスティング、柯震東(クー・チェンドン)との深い縁についてなどお聞きしています。
(通訳は池田リリィさん)

インタビューはこちら。
http://asianparadise.sblo.jp/article/190704424.html

シネマート新宿・シネマート心斎橋で公開中!

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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2023/12/18

香港映画『香港の流れ者たち』(原題:濁水漂流)』初日オンライントークイベント開催!

1018drifting1 12月16日に公開になった香港映画『香港の流れ者たち』(原題:濁水漂流)』初日オンライントークイベントが、渋谷のユーロスペースで開催されました。
本作は、2012年に高架下のホームレスが強制退去させられ、政府への賠償請求の裁判が起こされた「通州街(トンジャウ)ホームレス荷物強制撤去事件」をベースに制作されました。再開発のかげで追いやられるホームレスの排除問題を軸に、移民問題、そして薬物に蝕まれる貧困層など様々な社会問題を浮き彫りにしていきます。
日本公開初日は満席となった渋谷のユーロスペースで、上映後に、本作の監督李駿碩(ジュン・リー)がオンライン登壇し、聞き手はリム・カーワイ監督が務めました。

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2023/12/11

2023台北取材Day3〜話題の『五月雪』と魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)監督の新作『BIG』

1211poster 台北3日目は、金馬影展(映画祭)で『五月雪』、そして魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)監督の新作『BIG』を鑑賞しました。
金馬影展のオープニング作品の『五月雪』は、今年の金馬奨で9部門ノミネートされた、マレーシアで起きた暴動「513事件」を背景にした人間ドラマ。
話題作なので、プレス上映で見られて本当に良かったです。
『BIG』はこの時まだ公開前でしたが、すでに1ヶ月前から「包場」と呼ばれる貸し切り上映が毎日行われていたので、そのひとつに入れてもらい見ることができました。

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2023/12/10

2023台北取材Day2〜『富都青年』吳慷仁(ウー・カンレン)の演技はとにかく凄い!

1210jinma 今回は金馬影展(映画祭)の一般上映作品も見られる取材パスをとったのですが、オープニングとクロージングはその対象外で、滞在期間中に見たい作品のスケジュールがあわず、プレス用上映の方で4作見ました。
プレス用の上映は、一般と同じシネコン信義威秀の別スクリーンで行われます。
この日は許鞍華(アン・ホイ)監督のドキュメンタリー『詩』と、吳慷仁(ウー・カンレン)主演のマレーシア映画『富都青年』、中国のドキュメンタリー『這個女人』を鑑賞しました。

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2023/12/09

2023台北取材Day1〜吳慷仁(ウー・カンレン)はジェントルマン

1209aknren

金馬奨レポートでお伝えしたように、4年ぶりに現地取材に行ってきました。
一週間という私にしては短い滞在だったので、無駄のないようにスケジュールをカッチリ組んで動きました。

先日Cinem@rtで金馬奨の取材こぼれ話を掲載していただきましたが、その他の取材と金馬影展(映画祭)で見た作品の感想などを、こちらでお伝えしたいと思います。
まずは、今回主演男優賞に輝いた吳慷仁(ウー・カンレン)の話題から。

Cinem@rtの記事はこちら。
https://www.cinemart.co.jp/article/news/20231207008282.html

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2023/12/06

台湾BLドラマ「VBLシリーズ」第1部「Stay By My Side」楊懿軒(ヤン・イーシュエン)、洪暐哲(ホン・ウェイジョー)/第2部「You Are Mine」毛祁生(マオ・チーション)、蕭鴻(シャオ・ホン)インタビュー

1206bl1 東京国際映画祭に併せて開催されるコンテンツマーケットTIFFCOMの【TAIWAN DAY】で、台湾BLドラマ「VBLシリーズ」第1部「Stay By My Side」の楊懿軒(ヤン・イーシュエン)&洪暐哲(ホン・ウェイジョー)、第2部「You Are Mine」の毛祁生(マオ・チーション)&蕭鴻(シャオ・ホン)の記者会見が行われました。
会見終了後に4人のインタビューを行いましたので、その模様をお伝えします。
<写真は左から、毛祁生(マオ・チーション)、蕭鴻(シャオ・ホン)、楊懿軒(ヤン・イーシュエン)、洪暐哲(ホン・ウェイジョー)>

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2023/12/04

2023金馬奨レッドカーペット

1204lian 11月25日に台北の国父記念館で行われた金馬奨授賞式、60回という節目だけに国内外からのゲストも多く、レッドカーペットはとても華やかでした。
これまではレッドカーペットの突き当たりがカメラマンスタンドだったのですが、今年は終点と平行する位置になり、作品チームごとの大勢口の並びがなく、全てソロショット撮影となったのが大きな変更点です。
それにより撮影時間が短縮され、以前は最後のウォーキング者を撮り終わってダッシュでプレスセンターに移動しても授賞式の開始に間に合わなかったのが、この改善により余裕ができました。
(写真は、レッドカーペットを歩く今年の審査委員長李安(リー・アン)監督です)

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2023/12/02

2023金馬奨授賞式レポート

1202jinma 第六十回金馬獎の発表授賞式が11月25日に国父記念館で行われ、4年ぶりに現地取材に行って来ました。
今年は既報のように日本から金馬影展(映画祭)のマスタークラスに北野武監督、俳優の役所広司、妻夫木聡、満島ひかりが講師として招聘され、金馬獎授賞式でもプレゼンターをつとめたことから、たいへんな賑わいでした。
受賞一覧はこちらhttp://www.asianparadise.net/2023/11/post-367ef8.htmlをご参照いただき、ここでは主な受賞者のスピーチや審査の講評などをお伝えします。

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