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2023/12/30

2023年の香港映画を振り返る

1230hk_20231230122701 香港をとりまく政治と社会状況は決して良くないのですが、コロナ禍を過ぎて映画界は通常運転に戻りました。
そんな中で興行成績トップ10を見ると中国資本の大作がなく、庶民の生活を描く作品、ローカル性の高いエンターテインメント、そして社会派作品が増えています。
昨年の振り返り記事に、「〜何かが変わってきている〜」というサブタイトルを付けましたが、今年それがはっきりした形=興行成績で見えています。

若手監督たちが中心となって作る香港人のための香港映画に、大物スターがノーギャラという形で協力することが増え、こういう"香港映画魂"がクォリティアップを下支えしているのではないでしょうか。
また、これまでの傾向から見ると、『白日之下(白日の下)』や『年少日記』のような大物スターが出ているわけでもないインディペンデントに近い社会派作品が上位に食い込むことはあまりなかった現象だと思います。
香港の人たちがどこを見て何を求めているかが、感じられるような気がします。

日本では香港特別行政区設立25周年を記念して2022年に初開催された「香港映画祭 Making Waves」が今年は「Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力」というサブタイトルがつき、若手のクリエイターたちによる秀作を見ることができました。
そして、映画祭やこういった上映会から、小作品でも配給会社や個人での活動により一般公開に繋げてくれるのは有り難い限りです。

※写真はクリックすると別ウィンドウで拡大表示します

日本の映画祭での上映作品は、取材記事と監督&俳優のインタビュー音声Podcastのリンクを貼ってありますので、ご参照下さい。

★2023香港映画興行成績ベスト10

1.『毒舌大狀(毒舌弁護人〜正義への戦い〜)』
1230dokuzetu 城市とのトラブルで職場を去った五十代の治安判事が法廷弁護士として復活し、手がけた児童虐待事件で大きな権力闘争に巻き込まれる。
監督:ジャック・ン(呉煒倫)
出演:ダヨ・ウォン(黃子華)、ツェー・クワンホウ(謝君豪)、ルイーズ・ウォン(王丹妮)、フィッシュ・リウ(廖子妤)、マイケル・ウォン(王敏德)、ホー・カイワ(何啟華)
10月27日から公開
香港映画祭2023で上映

2.『死屍死時四十四(四十四にして死屍死す)』
0216deadbody2 あるマンションの廊下に全裸の死体が放置され、風評被害を恐れた住民達が無責任に次々と死体を移動するブラックコメディ。
監督:何爵天(ホー・チェクティン)
出演:黃又南(ウォン・ヤウナム)
監督:何爵天(ホー・チェクティン)
脚本:江皓昕(コン・ホーヤン)
出演:毛舜筠(テレサ・モー)、鄭中基(ロナルド・チェン)、黃又南(ウォン・ヤウナム)、余香凝(ジェニファー・ユー)、呂爵安(イーダン・ルイ)、楊偉倫(ヨン・ワイルン)
大阪アジアン映画祭で上映
http://www.asianparadise.net/2023/03/post-4029fd.html
http://asianparadise.sblo.jp/article/190248552.html

3.『白日之下(白日の下)』
0927in_broad 実際に起こったケアハウスでの虐待事件を女性ジャーナリストの視点から描いた作品。ジェニファー・ユーが社会問題に果敢に向き合うヒロインを演じる。
監督:簡君晋(ローレンス・カン)
出演:余香凝(ジェニファー・ユー)姜大衛(デビッド・チャン)林保怡(ボウイ・ラム)
東京国際映画祭で上映
http://www.asianparadise.net/2023/10/post-0bfd60.html

4.『年少日記』
0927time_still 中学校教師のチェンは教室で自殺をほのめかすメモを見つける。書いた生徒が誰かを捜索するうち、チェンの脳裏に自らの少年時代の記憶がよみがえる。
監督:卓亦謙(ニック・チェク)
出演:盧鎮業(ロー・ジャンイップ)鄭中基(ロナルド・チェン)黃梓樂(ショーン・ウォン)
東京国際映画祭で上映
http://www.asianparadise.net/2023/11/post-7adc4d.html

5.『超神經械劫案下』
韓国映画を元に、台湾で『詭扯』というタイトルで2022年にリメイクされた、ダイヤ争奪アクションコメディの香港リメイク版。
監督:應智贇
出演:張敬軒(ヒンズ・チャン)、王菀之(イヴァナ・ウォン)、 魏浚笙(ジェフリー・ゲイ)

6.『別叫我「賭神」』
理髪店を営むギャンブル好きのダメ親父と、突然現れた自閉症の息子とのハートウォーミングストーリー。
監督:潘耀明
出演:周潤發(チョウ・ユンファ)、袁詠儀(アニタ・ユン)、方中信(アレックス・フォン)、柯煒林(ウィル・オー)

7.『掃毒3人在天(ホワイト・ストーム 世界の涯て)』
1230whitestorm 「掃毒」シリーズの第3弾だが、続編としてストーリーの関連性はなく、麻薬捜査班と麻薬組織の激闘を描くというテーマのみを引き継いだ麻薬王三兄弟の犯罪アクション。
監督:邱禮濤(ハーマン・ヤウ)
出演:劉青雲(ラウ・チンワン)、郭富城(アーロン・クォック)、古天樂(ルイス・クー)、ラム・シュー(林雪)、ロー・ガーリョン(羅嘉良)
香港映画祭2023で上映

8.『命案(マッド・フェイト)』
1230mad 多重人格のサイコパスよる娼婦の殺人事件から「運命」をキーワードに描かれる、残虐で重厚なサスペンス。杜琪峰(ジョニー・トー)プロデュース。 
監督:鄭保瑞(ソイ・チェン)
出演:林家棟(ラム・ガートン)、楊樂文(ヨン・ロクマン)、吳廷燁(バーグ・ン)、呉玉壽(ン・ティンイップ)、陳湛文(ピーター・チャン)
香港映画祭2023で上映

9.『風再起時』
1230fuun 1960〜70年代、汚職が横行していた暗黒時代の香港を舞台に、実在した汚職警察官を描いたクライム・サスペンス。
監督:フィリップ・ユン(翁子光)
出演:アーロン・クォック(郭富城)、トニー・レオン(梁朝偉)、パトリック・タム(譚耀文)、リチャード・ン(呉耀漢)、マイケル・ホイ(許冠文)
香港映画祭2023で上映

10.『給十九歲的我』
英華女學校の再建時に6人の女子学生を描いたドキュメンタリー。倫理的争議により香港での公開を停止したが、香港電影金像獎で作品賞を受賞。
監督:張婉婷(メイベル・チャン)、郭偉倫(ウイリアム・クォック)

◆東京国際映画祭上映作品

『離れていても』(原題:但願人長久)
0927fly_me_to_the_moon 香港返還の1997年に始まり、10年おきの2007年、2017年の3部からなる一家族の年代記。父と娘をめぐる20年の歳月に香港社会の変化が映り込む。
監督:祝紫嫣(サーシャ・チョク)
出演:吳慷仁(ウー・カンレン)祝紫嫣(サーシャ・チョク)袁澧林(アンジェラ・ユン)
http://www.asianparadise.net/2023/11/post-654eba.html

『緑の夜』(原題:緑夜)
0927green_night 過去の記憶を消し去るため、韓国で抑圧された人生を送っているシア。ある夜、自由を求め謎の女とともに危険な世界に巻き込まれていく。
監督:韩帅(ハン・シュアイ)
出演:范冰冰(ファン・ビンビン)イ・ジュヨン、キム・ヨンホ
2024年1月19日より日本公開

『白日の下』(原題:白日之下)
ベスト10の項参照

『年少日記』2023年
ベスト10の項参照

『バイタルサイン』(原題:送院途中)
0927vital_signs 人命を救うという任務を完遂するためには規則を破ることもいとわない救命士をルイス・クーが演じた作品。
監督:卓韻芝(ヴィンシー・チェク)
出演:古天樂(ルイス・クー)游學修(ネオ・ヤウ)袁澧林(アンジェラ・ユン)

◆大阪アジアン映画祭上映作品

『四十四にして死屍死す(原題︓死屍死時四十四)』
ベスト10の項参照

『流水落花』
0326lostlove4 養育里親として様々な背景の子供たちを受け入れてきた夫婦の再生物語。鄭秀文(サミー・チェン)が2023年香港電影評論学会最優秀女優賞を受賞。
監督:賈勝楓(カー・シンフォン)
出演:鄭秀文(サミー・チェン)、陸駿光(アラン・ルク)、談善言(ヘドウィグ・タム)
http://www.asianparadise.net/2023/03/post-b82161.html
http://asianparadise.sblo.jp/article/190253258.html

『香港ファミリー(原題:過時·過節)』
1230hkfamily 傷害事件スレスレの家族内トラブルをきっかけに、家庭崩壊が始まった香港の中流家庭の物語。
監督:曾慶宏(エリック・ツァン・ヒンウェン)
出演:毛舜筠(テレサ・モー)、謝君豪(ツェー・クワンホウ)、呂爵安(イーダン・ルイ)、談善言(ヘドウィグ・タム)、袁澧林(アンジェラ・ユン)
http://www.asianparadise.net/2023/03/post-43705b.html
http://asianparadise.sblo.jp/article/190263452.html

『白日青春ー生きてこそー(原題:白日青春』
0131sunnyside マレーシア出身の監督による、孤独なタクシードライバーと香港に住む難民の少年と心を通わす姿を描くヒューマンドラマ。
監督:劉國瑞(ラウ・コックルイ)
出演:黃秋生(アンソニー・ウォン)、林諾(サハル・ザマン)、周國賢(エンディ・チョウ)、潘文星(インダージート・シン)、喬加雲(キランジート・ギル)
2024年1月26日より日本公開
http://www.asianparadise.net/2023/11/post-e7c2ce.html

『星くずの片隅で(原題:窄路微塵)』
1230kyouro コロナ禍の静まり返った香港の片隅で、誰にも気付かれずに生きる人々の孤独な心をやさしい眼差しで掬い取ったヒューマンドラマ。
監督:林森(ラム・サム)
出演:張繼聰(ルイス・チュン)、袁澧林(アンジェラ・ユン)、區嘉雯(パトラ・アウ)、董安娜(トン・オンナー)
7月14日より日本公開
http://www.asianparadise.net/2023/07/post-256737.html

『深夜のドッジボール』
1230dodgeball 支援を必要とする若者のために公立体育館の深夜使用枠を立ち上げたソーシャル・ワーカーと、ドッジボールのコーチが選手を集めて大会を目指す。
監督:應智贇(イン・チーワン)
出演:鄭伊健(イーキン・チェン)、周家怡(キャサリン・チョウ)、李靖筠(グラディス・リー)

◆香港映画祭2023 Making Waves - Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力 上映作品

『風再起時』
ベスト10の項参照

『望月(ブルー・ムーン)』
1230bluemoon コンビニで働く娘、妻との別居を隠している息子、そして彼らの母。それぞれに秘密を抱える家族の再生を描く。
監督:羅耀輝(アンディ・ロー)
出演:李靖筠(グラディス・リー)、陳湛文(ピーター・チャン)、李麗珍(ロレッタ・リー)

『七月返歸(7月に帰る)』
監督:ネイト・キー(謝家祺)
出演:アンソン・コン(江𤒹生)、バイ・リン(白靈)

『命案(マッド・フェイト)』
ベスト10の項参照

『掃毒3人在天(ホワイト・ストーム 世界の涯て)』
ベスト10の項参照

『毒舌弁護人〜正義への戦い〜』
ベスト10の項参照

『七月返歸(7月に帰る)
1230july 香港の人気ボーイズグループ「MIRROR」のサブリーダーAKことアンソン・コンが主演を務めた、サスペンス色豊かなホラー映画。
監督:謝家祺(ネイト・キー)
出演:江𤒹生(アンソン・コン)、白靈(バイ・リン)

『夢翔る人 色情男女』2Kデジタル・レストア版/1996年
1230yume 映画業界の内幕を描いた、香港版『アメリカの夜』とも呼ぶべき映画愛溢れる傑作コメディ。
監督:爾冬陞(イー・トンシン)
出演:張國榮(レスリー・チャン)、舒淇(スー・チー)、莫文蔚(カレン・モク)、劉青雲(ラウ・チンワン)

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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