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2024/03/09

大阪アジアン映画祭 台湾映画『トラブル・ガール(原題:小曉)』靳家驊(ジン・ジアフア)監督アフタートークとインタビュー

0307troublegirl大阪アジアン映画祭で3月7日にABCホール上映された台湾映画『トラブル・ガール(原題:小曉)』では、靳家驊(ジン・ジアフア)監督がアフタートークに登壇しました。
本作は靳家驊監督の長編第一作で、2023年の金馬奨で林品彤(オードリー・リン)が最年少主演女優賞を獲得したことで話題になり、母親役の陳意涵(チェン・イーハン)も女優助演賞にノミネートされた作品です。

監督は観客と一緒にこの映画を見ていたそうで「久々に見て、台湾と大阪では笑いのツボが若干違う部分もありましたが、ストーリーが進むにつれて、観客の皆さんが深く物語に入ってくれているのがわかりました。重いラストではあったと思いますが、この重さをあまり心に残さずに、ある程度の希望もあると思うので、その暖かみを少しでも持ち帰っていただきたいです」と語っていました。

0308troublegirl 観客から、主人公小曉に対して最初は理解をして仲良くしていた優等生曉珊が、最後に態度を翻したことについての質問がありました。
監督は、「私たちが子供の頃とは違う友情の形になっていることを表現しています。インターネット社会の今、たわいない話をしていた世代とは違い子ども達はスマホの中に全ての喜怒哀楽を見つけ、その関係は複雑化しています。スマホの中が全ての世界なのです。曉珊の友情はとても危ういものだと、この役で示しました。賢い曉珊は小曉の立場が悪くなると裏切り、教師に取り入ってお互いを排除していく。こういう関係性が社会化していくプロセスなのだと思います」と、子供社会の変遷を答えとしていました。

この映画で母と娘両方に関わる重要な人物として教師が出てきますが、「教育という大きな社会問題が存在していることを、この役を介して表現したかった」と監督は言っていました。
また「これまでは教師というのは社会的地位も高く尊敬されていましたが、今は親に媚びることもしなければならない。子供たちのために情熱を持って、一生懸命がんばっても、教師は親に代わることはできない。自己矛盾を感じているポールのダークサイドも描いた」ということでした。

そして、林品彤のキャスティングについては、200人ほどオーディションをした結果選ばれたのですが、林品彤も監督も手探りでこの役を作っていったそうです。
「彼女は母との関係や環境が成長に大きく影響したのであり、実は多動症ではないということをわかってもらえればと思います」と言う監督の言葉が印象的でした。

大阪アジアン映画祭の作品紹介ページ
https://oaff.jp/programs/2024-co12/

0308jin 翌日の朝、アジアンパラダイスでは監督にインタビューを行いました。
小曉と母親は互いに合わせ鏡のような存在で、複雑な母と娘の感情をとても緻密に描かれていますが、身近に観察できる環境があったのかどうか聞いてみました。
「私の娘と妻を観察し、事あるごとにメモをして脚本に反映させていきました。この脚本は2020年に政府が主催する優良電影劇本(優秀脚本賞)で受賞したので、その賞金を娘に謝礼として少し分けました」と笑っていらっしゃいました。
台湾の公開時には、このお嬢さんもアフタートークに一緒に登壇して、時には監督からマイクを奪い取るように観客の質問に答えたということです。

さらに、先日香港映画『潜入捜査官の隠遁生活』のQ&Aで高子彬(リッキー・コー)監督が、香港のスター女優はなかなか母親役をやりたがらないと暴露していましたが、初めての母親役を演じた陳意涵(チェン・イーハン)は、すんなりとオファーを受けたのかどうか。最近注目度の高い香港の劉俊謙(テレンス・ラウ)を教師役に選んだのは、普通語がネイティブではないという設定の役柄をベースにしたからなのか、或いは彼を選んだのでそういう設定にしたのか、などもお聞きしました。
このインタビューは後日Podcastで配信しますので、ぜひお聞き下さい。

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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