台湾映画『台北アフタースクール(原題:成功補習班)』監督・キャストインタビュー!
7月26日からシネマート新宿他にて公開される台湾映画『台北アフタースクール(原題:成功補習班)』の、藍正龍(ラン・ジェンロン)監督と主演の詹懷雲(ジャン・ファイユン)のインタビューをお届けします。
なお、監督インタビューはオフィシャルだけでなくオリジナルもあります。
また、張國榮(レスリー・チャン)の大ヒット曲(オリジナルは吉川晃司)「モニカ」が使用されたエンディング映も解禁になりました。
本作は藍正龍の監督二作目で、監督自身の輝かしい青春時代を思い出す形で描かれる青春回顧録です。
2023年の東京国際映画祭で上映され、話題になりました。
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藍正龍(ラン・ジェンロン)監督インタビュー/オフィシャル
Q1.本作は、ラン・ジェンロン監督の恩師であるミッキー・チェン監督をモデルに描かれたとお伺いしました。製作までの経緯や、ミッキー・チェン監督との実際の思い出を描いたシーンがあれば教えて下さい。
A1.実際にジュンジー先生(ミッキー・チェン監督)の家や塾にも行ったことがあり、ジュンジー先生との思い出を基に、シャオジー先生の家や塾を描いているので、かなり実際の思い出に近しいものになっています。
Q2.これまで主に俳優をメインにご活躍されていたかと思いますが、本作は俳優のみならず、監督、脚本そしてプロデューサーに挑戦された理由をお聞かせ下さい。
A2.俳優のみならず、監督、脚本家、プロデューサーとして裏方の様々な仕事を経験することで、映画の完成に必要な一通りの流れを理解することができると思ったためです。実際に経験してみて、一つの映画が完成するまでには、多くの人々の協力が必要であることを知り、本当に感謝しています。
Q3.作中には、日本とのつながりが感じられるものがいくつか登場しますが、監督ご自身、日本にまつわる思い出などあればお聞かせ下さい。
A3.90 年代に初めて日本に行きましたが、その時の印象は清潔で整然としているということでした。また、当時の台湾では日本のドラマや映画が盛んに観られており、それらは私たちを成長させてくれた存在でした。その時代、ストリートも日本文化の影響を強く受けていたので、映画には当時の日本のストリート要素が多く含まれています。
Q4.劇中、エンドロールで使用されていたレスリー・チャンの「Monica」の選曲理由をお聞かせ頂けますでしょうか?
A4.「Monica」という曲を選んだ理由は、レスリー・チャンがジュンジー先生にとってアイドル的存在であったためです。この曲を選んだのはジュンジー先生の青春に敬意を表す意味があります。「Monica」が日本で人気の曲であることは後に分かりました。
藍正龍(ラン・ジェンロン)監督インタビュー/オリジナル
Q1.恩師である陳俊志(ミッキー・チェン)からの教えで、一番心に残っていること、大事にしていることは何でしょうか?
A1. 1994年に、俊志先生が私たちに教えてくれたことをよく覚えています。彼は、塾の英語の先生でした。当時の私たちは思春期の悩みを抱えていて、先生を追いかけて質問したり、先生の家にご飯を食べに行ったり、先生が私たちにビーフンを作ってくれたりもしました。先生のことで一番印象的だったのは、彼が自信に満ち溢れていたことです。自分を表現することの大切さについて、先生から本当に多くの事を学びました。
Q2.ご自身の少年時代に詹懷雲(ジャン・ファイユン)を起用した理由を教えて下さい。どんなところがポイントだったのでしょうか?
A2. 懷雲は、人生のエピソードをたくさん持っている俳優です。インタビューの時、彼は自分の内面について、実際に悩んだ状況も含めてたくさん話してくれました。あまり深く考えすぎず、こどものように単純な人で、そこが良いと思ったのです。そして、とても背が高くてハンサムだしね!
Q3. 程翔役について、青年時代の陳柏霖(チェン・ボーリン)と少年時代の邱以太(チウ・イータイ)は、どちらを先に決めたのでしょうか?そして、先に決めた方のイメージから青年時代もしくは少年時代の俳優を探したのですか?キャスティングの経緯を教えて下さい。
A3.程翔役のふたりは、大体同じくらいの時期に決まったと思います。
私は、ハンサムと呼ばれる男性はみんな似ていると思うんですよ(笑)。表情も似ているし。柏霖と、以太をキャスティングできたことはとてもラッキーでした。この映画に参加してくれた柏霖にとても感謝しています。
Q4. 次の監督作品の予定について教えて下さい。
A4.この年齢になったためか、家族の絆に関する物語を語りたいと考えています。
詹懷雲(ジャン・ファイユン)インタビュー/オフィシャル
Q1. 本作のオファーが来た時のお気持ち、またオファーを受けた理由をお聞かせ下さい。
A1.企画書を見て、映画の一部が同性愛者についてのものであることを知ったとき、最初は正直、出演することに少し抵抗がありました。なぜなら、キャラクターを上手く演じられないのではないかと心配だったのです。しかし、完成した台本を受け取った時、マネージャーは私に、台本を読んでから話し合うよう求めました。そう言われて読んでいくうちに、自然と物語に引き込まれていき、台本を読み終えると、心が温かくなり、昔のことを思い出しました。そして、チャン・ジェンハンとチェン・シャンがお互いに抱いている愛も、私自身にも、このようなとても親しい友人がいるため、とても心に響きました。愛にはいろいろな種類がありますが、愛とは、実際、非常にシンプルなものなのだと感じました。
Q2. 台湾の映画公式 SNS でメイキングやオフショットなどを拝見して、楽しそうな現場の様子が印象的でした!撮影期間中の思い出や”青春”を感じられる印象的なエピソードがあれば教えて下さい。
A2.撮影過程全てが、私にとって忘れられない思い出になりました。チャン・ジェンハンの父親が、チャン・ジェンハンとチェン・シャンを警察署から連れ出すシーンがあります。実際、その場面は重いはずなのですが、監督が付け加えたセリフと演技がとても面白かったので、イータイと私は笑いをこらえることができませんでした。必死でこらえようとしましたが、こらえきれなかったので、あの短いシーンを何度も撮ることになったのです。自分の若いころの思い出がたくさん蘇ります。世代は違っても、若いころはみんな同じようなことをやっていたんだな。とても興味深いし、笑えるなと思いました。
Q3. 本作の監督であり、ご自身の大人になった役を演じられたラン・ジェンロンさんとの印象的なエピソードがあれば教えてください。
A3. 初めて監督にお会いしたときは、ラン・ジェンロンさんということでかなり緊張しました!監督はクールでちょっと近寄りがたい…という印象があったのですが、話してみると、実はとても面白い人だということに気づき、撮影中に打ち解けることができました。実は、私は自分にあまり自信がない人間なので、監督から「カット!」と叫ばれると、緊張して、うまくできたか心配で、黙って監督の顔を見てしまうことが多いのです。監督はそれに気づいてくれたのか、私が監督を見ていることに気づくと、肯定の表情を浮かべて褒めてくれたので、安心して続けることができました。私が緊張しているのを監督が気づいてくれて、すれ違いざまに背中をポンと叩いて励ましてくれることもありました。最初は、監督は近寄りがたい人だと思っていたのですが、後になって、実はとても面白くて温かい人だと気づきました。
Q4.日本の観客の皆さんにメッセージをお願い致します
A4.愛には様々な形があります。必ずしも一つだけとは限りません。皆さんと一緒に映画の中で、純粋で若々しい勇気を取り戻せることを願っています。
【ストーリー】 1994年、台北の予備校「成功補習班」に通った3人組、チャン・ジェンハン、チェン・シャン、ワン・シャンハー。イタズラ好きな彼らは、予備校で“成功三剣士”と呼ばれた問題児。
卒業後それぞれの人生を送っていた3人は、入院中の恩師、シャオジー先生のお見舞いを機に久しぶりの再会を果たす。先生の言葉をきっかけにかつての予備校へ足を踏み入れると、そこに残された青春に触れ、懐かしい日々が次々と蘇ってくるのだった——。
高校3年、大学入試まで残り約1か月。成功補習班に新たな代理講師が着任してくる。——それが彼らの人生を大きく変えることになる、シャオジー先生との出会いだった。枠にとらわれない授業で、生徒たちに寄り添い、心を掴むシャオジー先生。自分らしく生きる先生と過ごすうちに、3人それぞれが自分自身と向き合い、本当の自分を見つめ直していく。
【CAST・STAFF】
監督:藍正龍(ラン・ジェンロン)
出演:詹懷雲(ジャン・ファイユン) 、邱以太(チウ・イータイ)、 巫建和(ウー・ジエンハー)、林奕嵐(シャーリーズ・ラム)、侯彥西(ホウ・イェンシー)
2023年/台湾/シネスコ/5.1ch/118分/中国語/原題:成功補習班/日本語字幕:小木曽三希子/字幕協力: 東京国際映画祭/配給:ライツキューブ
公式サイト:https://x.gd/i2PnQ
© 2023 ALL RIGHTS RESERVED.
※本作に関するこれまでの記事
2024/05/27
台湾映画『台北アフタースクール (原題:成功補習班)』7月26日より公開!
http://www.asianparadise.net/2024/05/post-7578e4.html
2023/05/05
2023台北電影節 オープニングは九把刀(ギデンズ)監督の『請問,還有哪裡需要加強』、クロージングに藍正龍(ラン・ジェンロン)監督『成功補習班』!
http://www.asianparadise.net/2023/05/post-eae033.html
2023/11/02
2023東京国際映画祭 台湾映画『成功補習班』藍正龍(ラン・ジェンロン)監督Q&A
http://www.asianparadise.net/2023/11/post-1fe6bb.html
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