2024年の台湾映画を振り返る
とにかく強い『角頭』、シリーズ新作が今年のダントツでした。
2位とひと桁違い、約3倍ですから。
ほんとうに台湾の観客はこのシリーズが大好きなんですね。
2位は日台合作の『青春18×2 君へと続く道』(青春18x2:通往有你的旅程)』、ここ数年青春映画が低迷していたのでこのヒットはうれしいですね。いま大人気の許光漢(シュー・グァンハン)を主演にしたことと、台湾人が大好きな岩井俊二テイストを藤井道人監督がうまく盛り込んだのが効果的だったのではないかと思います。
そして近年のホラーブームも相変わらずですが、3位に食い込んだのはホラーではなくゴースト・コメディ。徐漢強(ジョン・スー)監督の潔くエンタメに特化した作りが、観客のツボをしっかり捉えました。
今年は文芸作がヒットしなかったのですが、楊雅喆(ヤン・ヤージャ)監督は新境地『破浪男女』でしっかりランクイン。
秋以降に黃熙(ホアン・シー)監督の『女兒的女兒(娘の娘)』や林書宇(トム・リン)監督の『小雁與吳愛麗』という秀作や、鍾孟宏(チョン・モンホン)監督の豪華キャスト話題作『餘燼』が公開されたものの、興行的には振るわなかったのが残念です。
コロナ禍以降台湾に戻ってきた陳柏霖(チェン・ボーリン)がコンスタントに活躍していて、今年は出演作2本とも興行成績ベスト10に入っています。ただ、これが映画賞で個人賞に反映(ノミネート)されないのがつらいところ。
また、人気と実力で高評価の吳慷仁(ウー・カンレン)が、中国の事務所と契約したことが波紋を呼びました。これまで香港やマレーシアでも活躍しているので、多くの中国映画に出演している張震(チャン・チェン)のように"国際派俳優"として暖かく応援されることを願います。
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